ベノムについて
1000万再生越えの人気曲
「ベノム」は2018年に発表された楽曲です。
かいりきベアの楽曲はそれ以前から人気があり、たくさんのファンがいました。
2018年、ボーカロイド「v flower」のイベント用に作られた本楽曲はたちまち人気になります。
そして2019年、人気動画アプリでこの曲が再生されたことをきっかけに再生数が爆発的に増加。
普段ボーカロイドを聞かない人にも広く知れ渡っていくことになります。
これを機にかいりきベアは一躍人気の音楽プロデューサーとなりました。
歌い手や他のクリエイターとのコラボ、ゲームへの楽曲提供など、引っ張りだこになっています。
使われているボーカロイドは「v flower」
初めて本楽曲を聞いた人の中には、「あれ、聞いたことのない声だ」と思った方もいるかもしれません。
本楽曲で使われているのは株式会社ガイノイドが制作、販売している「v flower」です。
他のボーカロイドに比べると中域の出たキレのある声が特徴で、ロック向きと言われています。
2004年に初のボーカロイド「MEIKO」が登場し、2007年には「初音ミク」が登場しました。
ボーカロイドもかなりの進化をとげ、言われなければ人の声と区別がつかないほどになっています。
本楽曲はかなりジャギジャギとしたギターサウンドがカッコいいですが、歌も全く埋もれていません。
「v flower」特有のパワフルなボーカルを堪能してください。
イントロから1番 Aメロ
初っ端から中毒サウンド!
かいりきベアといえばジャギジャギに切れたテレキャスサウンドが魅力の一つです。
キレッキレの伴奏をバックにトレモロの掛かった不穏なリードギターが始まります。
メロディ自体はシンプルですが、不協和音の短5度から始まるフレーズが緊張感を醸し出します。
不安定で不思議なフレーズでありながら、非常にワクワクするイントロです。
そこかしこに溢れる「Venom」
足りないもの なーんだ 僕らの人生
正解どこなんだ 探せよ探せ
例外ない 二進(にっち)も三進(さっち)も 零下以内なら 劣化以外ない
正味クソゲーだ カラ空回れ
出典: ベノム/作詞:かいりきベア 作曲:かいりきベア
「校内」という言葉やMVのセーラー服を着た女の子から、舞台は学校であると推測できます。
自分たちの人生に足りないものを探していますが、どうも見つからないようです。
「二進も三進もいかない」は「行き詰まって動きがとれない」という意味ですね。
冷めきった状態では足りないものなんて見つからず、どんどん人間は劣化していくのみ。
そんな人生を「クソゲー」と言っています。
倦怠モード「苦」だ 僕らの人生
校内猛毒だ 屈めよ屈め
盛大KNIGHT 和気あいゴッコは成敗DIE by 生産性ない
後悔もう「独」だ 笑えよ笑え
出典: ベノム/作詞:かいりきベア 作曲:かいりきベア
目標が見つからず、無気力な人生を「倦怠モード」と形容しています。
さて、ここで「猛毒」というキーワードが出てきました。
タイトルの「ベノム」は「毒」「毒液」という意味です。
校内にはどんな猛毒が溢れているのでしょうか。
一つは3行目の「和気あいあいゴッコ」でしょう。
生産性もなく、ただみんなと仲良しで馴れ合う生活は主人公にとって毒でしかないわけです。
しかしそうやって斜に構えているうちに、一人ぼっちになってしまうんですね。
後悔した時にはもう遅く、孤「独」になってしまっているのです。
そんな僕を笑えと自虐しているのでしょう。
ここは言葉遊びが非常に面白いパートです。
「モード」の「ド」と「苦」がくっついて「毒」になっており、「独」と「毒」も掛かっています。
つまり主人公にとっては倦怠感も馴れ合いも孤独も、全てが毒なわけですね。