純粋なリンゴの切なさ

もう一つの意味です。

少し悲しい読み方ですが、幼子を日本に残し戦地に旅立った兵士の心情を重ねることができます。

「さようなら」と伝えても、まだ幼い子どもは、今生の別れの可能性を理解することができません。

首をかしげるということは、その意味を「わかっていない」ということです。

「またあした」と純粋無垢に返事をしたでしょう。

「リンゴ」に重ねた幼子にささやく言葉はきっと「ありがとう」や「しっかり生きてくれ」といったもの。

純粋さは時に残酷です。

けれども、純粋さには希望があります。

何も知らずに明日を思い、夢見る表情こそ、未来への希望なのかもしれません。 

気持ちが表すものは

クライマックスでもあるのがこの4番目の歌詞です。

歌いましょうか リンゴの歌を
二人で歌えば なおたのし
みんなで歌えば なおなおうれし
リンゴの気持を 伝えよか
リンゴ可愛いや可愛いやリンゴ

出典: リンゴの唄/作詞:サトウハチロー 作曲:万城目正

これまで1番目から3番目の歌詞で登場したさまざまな人たちが、集まり歌うイメージが浮かびます。

1人よりも2人よりで、2人よりもみんなで手をとっていこうとする、前向きな歌詞です。

さて、ここで歌われている「気持」は何を表しているのでしょう。

正直、これといった特定の感情は、当てはまりません

恋人や家族が自分に対して抱く、愛の気持ちかもしれません。

自分の中に抱く、「前向きにがんばろう」という気持ちかもしれません。

1番目から3番目の歌詞と同じく、聞く人が自分の思いを重ねることのできる部分です。

明確な言葉にしない、いうならば歌詞の余白のようなものです。

最後に

並木路子【リンゴの唄】歌詞の意味を解説!リンゴに何をささやく?赤く可愛い果物に投影したあの娘の姿とはの画像

流行歌というのは、単によく聞く音楽ではなく、誰もが口ずさめる音楽です。

つまりは、誰もが共感し、自分や誰かを思い重ねることのできる音楽を指します。

音楽は、多くの人に歌われることではじめて、一つの生命を得て広がっていきます。

「リンゴの唄」は、まさに流行歌

戦争や戦後ははるか昔になった今も、人々の願いや思いと重なり合って生き続ける音楽なのです。

ちなみに、椎名林檎さんの「りんごのうた」はこの曲とは関係ありません。

けれども、どこかに共通点が見つけられるかもしれませんので、ぜひ歌詞を比べてみてください。

2003年10月、NHKの子ども向け歌番組「みんなのうた」でオンエアされた椎名林檎の「りんごのうた」。子どもにも分かりやすいように歌詞を全編ひらがなにして世に問いますが、解釈となると大人でも難しく感じます。この歌の歌詞の意味などを紐解いていきましょう。

独特の世界観と高い音楽性で根強いファンを獲得し続ける椎名林檎。今回は椎名林檎の曲の中でも、押さえておかなければならない名曲から、意外と知られていないけどぜひ聞いてほしいおすすめ曲までをランキング形式で紹介します。人によって椎名林檎の好きな歌は千差万別。必ずあなたの心に刺さるおすすめ曲があるはず。

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