「人間の正しさってやつと今勉強してるわけですが、セオリー通りに生きて、
教えられた通りにやることが、そりゃ正しいと思うよ。
でもさ、きっとそれだけじゃないでしょう?」
何かを間違いだって思うから、誰かに間違いだって言われた。
出典: 不可解/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
学校では正しい人間像を教えられます。
みんな同じことをして列を乱さずに進み、枠からはみ出ないように生きていくことを。
でもそれには納得がいかない主人公です。
何かが違う、それは間違っていると意見をいったら、逆に間違っているといわれてしまいました。
人間は皆それぞれ違う個性を持っています。
それはごく当たり前のことなのですが、学校では不自然にも皆同じになるように教えられるのです。
不自然なことをしているのですから納得がいかなくても当然といえるでしょう。
でもそのことを追求すると主人公の方がおかしいといわれてしまうのです。
教えられたこと以外にもたくさん大切なことはあるはず。
そのことに気がついている主人公はどうしても疑問を払拭できません。
素直な感情はダメなのか?
それじゃあこの気持ちはなんだ?愛情とはまたほど遠い。
激動とも言い難い、どうにも表せない歪な感情。
これこそ美しいのではないか?この美しさは間違いか?
ならこんな世界いらない。私の信じるものを信じたい。
「死にたい」とか、「生きたい」とか、
そんな痛みでは嫌われる。
出典: 不可解/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
素直な感情を否定され戸惑いを隠せない主人公です。
何が正しくて何がいけないのか混乱してしまっています。
素直に思ったことが美しいと思うのにそれは間違いだといわれてしまう世界。
感じたことをそのまま表現できないのならそんなものはいらないと思っています。
自分のままで生きられないなら意味がないと感じているのでしょう。
だからといって死や生を語るのはタブーのようです。
主人公からすると八方塞がりのような心境になっていることでしょう。
声をあげる
でも不可解な未完の声明、
それだけが頼りだろう。
ずっと未知なる現実に無力で、
生きることも難しくって、
身動きすら取れない、寂れた肺ががなった。
不可測な異端の照明。
画面に花が咲いて、
現実に社会に反抗する、
不完全な、不安定な魔法。
出典: 不可解/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
自分の中にある声が主人公の頼りです。
良く知らない現実と向き合ってはみたものの完全に無力だと感じます。
ガチガチに縛られ自由に動くことができず、主人公は大声で泣いているのです。
でも自分には声がある。
YouTubeを通して画面上に感じたことをぶちまけます。
それが主人公にとっての社会への反抗なのです。
完璧ではないけれど声が伝われば十分。
きっと主人公と同じように感じている人はいるはずです。
仲間を求めて、共感を求めて声を上げ続けます。
もし満足していたら
このまま、清く正しく、誠実な大人になることが、
それだって正解の一つだ。
でもそれで満足できないのは皆わかってるはずなんだ。
だってそうでしょう?
満足してたらこんなところで歌なんて歌わない。
こんなに苦しくならない。
出典: 不可解/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
世間一般で清く正しいといわれるような大人になることも間違いではありません。
それは分かっているけれど満足の行く結果とはいえないでしょう。
不満があるからこそ主人公は歌を歌うのです。
もし満足していたらわざわざ声を上げる必要などないのですから。
そしてもっと幸せを感じているはずです。
普通の大人になることに価値を感じられない主人公。
みんな一緒の道なんて何が楽しいのでしょう。
誰かに決められた道を何の疑問を持たずに進んでいくこと。
そんな未来に納得がいくはずありません。
涙が固まった感情
こんなところで踊らない。
こんな気持ちで叫んでない。
こんなに美しくはなれない。
こんなに楽しくなってない。
踏み潰された涙が固まってできた、
この不可解な感情に名前はない。
出典: 不可解/作詞:カンザキイオリ 作曲:カンザキイオリ
主人公は今まで相当泣いてきたのでしょう。
それこそ不可解な学校や社会のルールに傷つけられています。
もし満足いく環境だったらこんなに辛い思いはしなくて済むのに現実はうまく行きません。
追い詰められた主人公の気持ちは誰も分かってくれないのです。
土足で踏みにじられてしまった多くの感情があります。
流した涙の量がどれだけだったかももう覚えていないほどです。
悲しさでもないし憎しみでもないし、名前をつけようのない感情が主人公を支配します。