「秋明菊」は、とある人物の恋の終わりを描いた曲。
クローズアップされるのはたった1人の人間のはずです。
しかしPVには、海上を渡っていく鳥の姿や壮大な自然などが切り取られた場面もあります。
小さな人間の心情を、あえて大きなスケールで描く。
終わってしまった愛は、主人公にとって世界のすべてだったのだと想像できます。
そして次の世界に向けて小さな一歩を踏み出そうとする。
後奏で映し出される鳥の姿に、そんな希望を感じます。
「秋明菊」の歌詞を独自解釈!
最後の夜に思ったこと
明けない夜を望んだ
君の消えた部屋を想像しては
そっと濁した
豊かさを得る為だけに
君の愛し方さえ
何処かへ置いてきた
出典: 秋明菊/作詞:柳田周作 作曲:柳田周作
きっと主人公が思い出しているのは、愛する人といた最後の夜のこと。
「君」がいることに慣れていた主人公は、別れた後の喪失感に気づいてしまったのでしょう。
だからこそ「この夜が明けないでほしい」と強く願ったのです。
なぜそれほど愛しているのに、2人は別れなければならなかったのでしょうか。
「豊かさ」という言葉から、2人がそれぞれ違う未来を求めていることが想像できます。
人によって、何を「豊かさ」だと感じるかは異なります。
夢かもしれないし、お金かもしれない。もしかしたら、別の人への愛かもしれない。
お互いの幸せを思えばこそ、「君」に対する気持ちを忘れて次に進もうとしているのではないでしょうか。
月夜の描写が切ない
潮が満ちれば茫と映える月
儚く揺れて
出典: 秋明菊/作詞:柳田周作 作曲:柳田周作
美しくも切ない月の描写。
しかし本物の月のことではありません。
この部分で描写しているのは、水面に映った月。
「潮」という言葉があるので、海面に映った月のことかな、と思います。
見えているのに届かない。絶対に手に入らない。
そうした切ない気持ちを、水面に映る月を描くことで表現しているのではないでしょうか。
点と線で描く?
緩み綻んだ糸は二度ともう
縛られないように風に舞う
雲に隠れるように
停滞と偽善の感情論が
この差異を切り離していく
点と線で描かれる前の白紙へ
出典: 秋明菊/作詞:柳田周作 作曲:柳田周作
「秋明菊」のサビは、とても文学的。
2人の気持ちを糸に置き換え、愛がほどけていく様子を描いているのでしょう。
その糸はもう交わることはなく、それぞれ別の方向に向かって舞い上がっていきます。
「停滞」、「偽善」という言葉も使われており、今までの2人の関係を表しているかのようです。
そして2人の関係は切り離され、白紙に戻っていくのです。
見え透いた嘘
「枯れない花が咲いた」
そう吐いた僕の嘘を君は
見透かしていたんだろう?
繋いだはずの手の温もりが
潮風に攫われて
あの部屋へ置き去りに
出典: 秋明菊/作詞:柳田周作 作曲:柳田周作