「秋明菊」の2番には、主人公の「僕」のセリフがあります。

ここで語られている「枯れない花」とは、きっと永遠の愛のようなもの。

「ずっと愛している」という意味を、花にたとえて言っているのでしょう。

しかしそれは偽りの気持ち。

「君」はとっくにその嘘を見抜いているようです。

2人で手をつないだ時の体温も、今はもう遠くに行ってしまった。

2人で過ごした「あの部屋」に、「手の温もり」すらも置いてきてしまった。

そんな切ない気持ちが表れたパートです。

涙について思うこと

涙を見ても何も思わなくなる
こんな不感症な己を殺すんだ
自責の念が

堪えた涙はすっと頬を
撫でるように落ちて海に溶ける
音も立てず
停滞と偽善の感情論が
この差異を切り離していた
点と線で描かれたはずの情景

出典: 秋明菊/作詞:柳田周作 作曲:柳田周作

「秋明菊」の終盤では「涙」という言葉が何度か登場します。

最初に登場する「涙」は、きっと愛する人の涙

しかしそれを見ても、主人公は何とも思えません。

それよりも自分に対する「自責の念」が強くのしかかっているからです。

愛する人を泣かせてしまったことへの責任なのか、それとも別のことに対してなのか。

明確にはわかりませんが、今までの流れからすると前者なのかな、と個人的には思います。

そして2番のサビでは、今まで我慢していた「涙」が頬を伝います。

きっと主人公自身の「涙」なのでしょう。

「音も立てず」に海面へと流れ落ちた涙には、どんな気持ちが込められていたのでしょうか。

おそらく愛が終わることに対する気持ちが、「涙」となって流れていったのでしょう。

そして描かれたはずだった情景に思いをはせて、「秋明菊」の後奏が流れ始めます。

点と線で描かれていたものは?

「秋明菊」の歌詞の中でも印象的な表現が、「点と線」

1番のサビにも、2番のサビにも登場する言葉です。

「点と線」を使えば、たいていのものを絵に描くことができます。

たとえば楽しかったころの思い出。

たとえば夢見ている未来の世界。

そうしたものを「点と線」を使って描いていたのでしょう。

しかし1番では、何かが描かれる前の白紙の状態に逆戻りしています。

おそらく白紙になる前に描かれていたのは、2人の思い出でしょう。

そして2番では、何かが描かれるはずだったと歌われています。

ここで描きたかったはずのものは、おそらく2人が幸せでいる未来

あくまでも個人的な解釈ですが、2人の過去と未来の景色が「点と線」で表現されていたのではないでしょうか。

「秋明菊」は後奏まで聴いてこそ!

「秋明菊」の特徴のひとつが、後奏の長さ。

歌詞を見て察した方もいるかもしれませんが、実は歌詞のある部分は意外と少ないんです。

歌自体は約3分で終了

「秋明菊」のPVは約5分あります。

しかし2番の歌詞を歌い終わるのは、2分50秒地点

残りの約2分間は、すべて後奏なんです!

ボーカルの柳田さんの、言葉にならない旋律。

静かに奏でられるベースのリフの上にだんだんと重なってくる、ギタードラム

歌詞のない部分なのに、この曲が持つ切なさが最も凝縮されたパートではないでしょうか。

ぜひ歌詞が終わった後も、最後まで聴いてみてください!

まとめ

【秋明菊/神はサイコロを振らない】点と線で描かれるのは…?!歌詞を解釈!芸術的なPVの世界の虜に!の画像

『神はサイコロを振らない』の「秋明菊」

ここまで紹介してきたように、美しいPVと文学的な歌詞が印象的な曲です。

インディーズバンドでありながら「秋明菊」のような名曲を生み出した『神はサイコロを振らない』。

これからの活躍にも注目です!

文学的な歌詞が好きな方へおすすめ!

「秋明菊」のような文学的な歌詞が好きな方には、こちらの2曲もおすすめ

まずはロックバンド凛として時雨のTKさんがソロで歌った「Signal」

降りしきる雨の中を銃を片手に歩いていく人物の姿が目に浮かびます。

ハードボイルド小説のような歌詞にも注目です。

暗くて重くて、どこか息苦しさまで感じる雰囲気の曲「Signal」。TK from 凛として時雨がこの曲に込めた歌詞の意味を徹底解釈します。アニメ『91Days』のオープニング曲でもあった「Signal」のコード譜も併せてご紹介します。

2曲目におすすめしたいのが、sumika「春夏秋冬」

アニメ映画「君の膵臓を食べたい」の主題歌としてもおなじみですよね。

主人公の「僕」の心情を、小説のような歌詞でつづります。

「秋明菊」とは違う角度から恋愛の終わりを描いた曲を、ぜひチェックしてみてください!