クリスマスの定番ソング
辛島美登里・最大のヒット曲
歌声の滑らかさや美しさはもちろん、歌詞の鮮烈さも評価の高い辛島美登里さん。
1990年に発売されたシングル「サイレント・イヴ」は辛島さん最大のヒット曲です。
楽しい曲で街を明るくしてくれるはずのクリスマス・ソングなのにこの歌は「失恋ソング」……。
それに普通であればクリスマス・ソングはクリスマスを過ぎると人気が落ちてしまいます。
でもこの曲は、年が明けても売れ続けてセールスは80万枚に到達しました。
とても悲しい楽曲なのに何故か聞きたくなってしまう……。そんな不思議な曲です。
TBSドラマ「クリスマス・イブ」
最終回の視聴率は20.2%を記録!
TBSの連続ドラマとして放送された「クリスマス・イブ」。この曲はこのドラマの主題歌でした。
仙道敦子さんと吉田栄作さんをメインとしたラブストーリーです。
エリート銀行員同士の恋愛モノですが不倫や浮気もあって、内容は結構ドロドロしていましたね。
脚本があの内館牧子さんと聞くと分かっていただけますでしょうか。笑
銀行員の雪子(仙堂)は友人・美咲(清水美砂)と旅行中に剛(吉田)と出会います。
帰国してみると同じ銀行で再会、2人はつき合い始めるのです。
でも剛に元カノ(松下由樹)の影が見えて戸惑う雪子は剛からのプロポーズを素直に受けられません。
剛はそんな雪子の態度に不安を覚え、美咲と一夜を共にしてしまいます。……え?
それを知った雪子は上司の村上(宅間伸)に相談しているうち、村上と関係を持ちます。――ええっ!
こんなことがありつつも、剛と雪子は互いの気持ちを確かめあい、ハッピーエンドで終わるという……。
いやぁ、さすが内館先生。なかなか力技の効いたドラマでした。
余談ですが、内館さんというと「想い出にかわるまで(今井美樹・石田純一)」の印象が強いです。
調べてみると、この2本のドラマは同じ年に放送されていました。
1990年1月期に「想い出にかわるまで」で、10月期に「クリスマス・イブ」って……。
内館さんのバイタリティに驚かされるばかりです。
では辛島美登里さんの素晴らしい歌唱をご覧ください!
こちらは「Christmas Symphonic Concert~冬の絵本2015~再びの恋~」で歌う辛島さん。
指揮には千住明さん、演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団という夢のような顔ぶれですね。
「Christmas Symphonic Concert」は辛島さんが毎年クリスマス時期に開催しているライブシリーズです。
歌い出しの「真・白な……粉・雪」の部分で既に心を持って行かれてしまいます。
大きなアクションがあるワケではないのに抑揚があり、伸びる声……。
間奏で遠くを見る仕草は愛する人が来るのを待っている女性を表しているのでしょうか。
辛島さんの柔らかな歌声を聞いていると、ステージに舞い落ちる雪が見えてきそうです。
クリスマスじゃなくても聞きたくなってしまいますね。
では、主人公が悲しい決断をする美しい歌詞も見ていきましょう。
今日はクリスマス・イヴ
粉雪降る聖夜に……
真白な粉雪 人は立ち止まり
心が求める場所を 思いだすの
いくつも愛を 重ねても 引きよせても
なぜ 大事な夜に あなたはいないの
出典: サイレント・イヴ/作詞:辛島美登里 作曲:辛島美登里
今日はクリスマス・イヴ。
街の空気がいつもよりちょっと浮かれて、たくさんの人がそれぞれ目的の場所に向かっています。
主人公にも大切な相手がいます。イヴを一緒に過ごしたい最愛の人です。
何度も愛を囁き合い、たくさんの夜を過ごしました。
でも、彼は特別な日であるイヴには会えない人なのです。
彼には「カノジョ」がいる
さようならを決めたことは けっしてあなたのためじゃない
不安に揺れる キャンドル 悲しかったから
"ともだち"っていうルールは とても難しいゲームね
もう二度と 二人のことを 邪魔したりしない
出典: サイレント・イヴ/作詞:辛島美登里 作曲:辛島美登里
彼女もきっと分かっていました。
彼には本命の「カノジョ」がいて、自分は「二番目」だということ。
だけどクリスマスが来ると実感してしまいます。
誰もが笑顔で過ごしているこの日に「自分はひとりだ」ということを……。
そして自分に問いかけたんでしょうね。「こんな恋愛してていいの?」と。
「ともだち」から始まった2人の関係。どうやら彼の本命のカノジョとも「ともだち」のようです。
「ともだち」のままいればきっとこの先も彼と笑っていられたでしょう。
でも好きになってしまって、カノジョに嘘をつかなくてはいけなくなってしまった。
その日々もとても苦しいものだったのでしょう。
彼女は彼だけでなく、カノジョとの関係も断ち切ることを決心をしたようです。