活動休止前にリリースされた初期L'Arc〜en〜Ciel最後のアルバム

1996年リリースのアルバム『True』

L'Arc~en~Ciel【Caress of Venus】歌詞の意味を解釈!「あの場所」ってどこ?の画像

1996年にリリースされたL'Arc〜en〜Cielの4thアルバムTrue

デビューしてから精力的に活動してきた彼らは破竹の勢いでミュージックシーンを席巻していきました。

そんな彼らの技術や表現力、世界観の広がりが高い次元で収束した名盤

それがこのアルバムTrue』です。

いまだに語り継がれる素晴らしいアルバムであり、初期L'Arc〜en〜Cielの集大成ともいえる仕上がりは秀逸。

何度聴いても、いつ聴いても、どれだけ時間が経っても色褪せることはありません。

 

しかし、このアルバムを最後に、L'Arc〜en〜Cielは活動休止期間に突入します。

これまでの活動を締めくくるような『True』の2曲目に収録された楽曲

それが今回ご紹介する『Caress of Venus』です。

アルバム曲に収まらない広がりを見せた1曲

このアルバムリリース後、ドラマーにyukihiroさんを迎えた新体制で活動を再開する彼ら。

そのあとの活躍は言うまでもなく、『虹』『winter fall』『HONEY』などヒットを連発していきます。

世に広く浸透していく前にリリースされたアルバム『True』に収録された『Caress of Venus』。

そんな旧体制で作成されたアルバム曲であり、この曲もシングルカットされたわけではありません。

しかし新体制になった後も、2枚のベストアルバムに収録されたり、テレビで演奏されたり…

今もライブでも頻繁に演奏され、人気ランキングでも上位に食い込む名曲となっています。

ダンサブルでオシャレな雰囲気をまとった『Caress of Venus』は当時としても新しく、今も変わりません。

古くなることなく、何度聴いても新しいと思える楽曲なのです。

『Caress of Venus』の世界観

タイトルの『Caress of Venus』

直訳すると『女神の愛撫』です。

英語ではオシャレに聞こえますが、日本語にするとなかなかに露骨なタイトルとなっています。

とはいえ、そんな卑猥な話ではありません。

好きな人と幸せな時間を共有している主人公。

しかし、その恋は許されざるものだったのです。

幸福と背徳の狭間でひと時の快楽に浸る許されざる恋愛を描いた『Caress of Venus』。

そんな背徳感に満ちた歌詞の世界にご案内いたします。

ヴィーナスのように美しい

釘付けになる程美しい「君」という存在

真白なその肌を乾いた風がくすぐっている
流れる長い髪に瞳はさらわれて…

出典: Caress of Venus/作詞:hyde 作曲:ken

主人公が想いを寄せる相手。

それは女神(ヴィーナス)のように美しい存在でした。

思わず見惚れてしまうほどに美しい「君」は、主人公にとって掛け替えのない存在なのです。

そんなヴィーナスのような「君」と主人公は、いったいどんな関係なのでしょうか。

主人公と「君」との関係性

「ヴィーナス」という言葉が持つもうひとつの意味

加速された時間の針を
いつも何処か冷めた眼で眺めていたけど

朝が訪れるまでこの世界は堕ちて行くから
踊り疲れた後も君を抱いていたい…

瓦礫の上慌ただしくて
止まれなくていつの間にか忘れていたけど

出典: Caress of Venus/作詞:hyde 作曲:ken

ヴィーナスとは、太陽系の惑星『金星』の別名になります。

明けの明星、宵の明星という言葉を聞いたことがあるますでしょうか?

金星は明け方や夕暮れに地上に現れて輝くのですが、夜の間は基本的に見えないのです。

人目に触れる昼間や夜の間は姿を隠す美しいヴィーナス。

それが主人公の目の前にいる状況。

この状況に「加速された」という時間の感覚と「朝が来るまでこの世界は堕ちて行く」という表現。

「瓦礫の上慌ただしくて」という言葉たちから「君」との関係が見えてきます

幸せな時間が過ぎるのは早いものです。

そんな時間の経過を「冷めた目」で眺める「君」は主人公と同じ感覚ではないことがわかります。

幸せだから時間が早く過ぎていく主人公と、何らかの理由で長く感じてしまっている「君」

これは「君」の中にある罪悪感からくるものでしょう。

そして時間的な制約を受けているからこそ、限られた時間に対する感覚の違いが出ているのです。

では限られた時間とはどういうことなのか。

その疑問の答えは、「朝が来るまで」という部分から夜であると読み取れます。

朝になったら離れないといけない関係であることがわかるのです。

そして最後に、「瓦礫の上慌ただしくて」という表現。

これは脱ぎ散らかした衣服を指していると思います。

脱いだ服を畳む時間すら惜しいほどに情熱的な関係であることが伺えます。

昼間は会えない。会うのは夜だけ。脱いだ服を畳む時間すら惜しむほどに求める相手である「君」との関係。

これらのことから、彼らは不倫、もしくは浮気の関係であるということがいえると思います。

そんな「君」をヴィーナスにたとえて、姿を隠した夜の間だけでも自分のものにしたいと願う主人公。

では「自分のものにしたい」というのは具体的にどのようなことなのでしょうか。