映画「詩季織々」は三部構成
日中合作アニメーション
映画は「陽だまりの朝食」、「小さなファッションショー」、「上海恋」からなります。
「詩季織々」は三作品全体の呼び名です。
小説でいうところの短編集のようなイメージです。
「小さなファッションショー」は竹内良貴監督。
「陽だまりの朝食」はイ・シャオシン監督。
「上海恋」はリ・ハオリン監督が指揮を執っています。
どの監督も新海誠を崇拝しているので随所に懐かしさを感じられる映画です。
映画は東京テアトル系で2018年8月4日に公開されました。
ヒロインは小雨(シャオユ)
中国に李さんは一億人いる!?
映画のヒロインの一人の小雨(シャオユ)。
実は本名は”雨(ユ)”の一文字です。
そこに苗字が加わります。
例えば、李(リ)や張(ジャン)、林(リン)、郭(グオ)などです。
小(シャオ)は日本語でいうところの”~ちゃん”に相当します。
”ユミちゃん”や”ケンちゃん”の”ちゃん”ですね。
中国の慣習で少女の名前が一文字の場合、頭に小(シャオ)をつけます。
他に苗字と名前を合わせて呼ぶこともあります。
もちろん、”小(シャオ)”には親しみも込められています。
よって、初対面の人に小(シャオ)はつけません。
日本人の学校では苗字だけで事が足ります。
しかし、中国に「李(リ)」さんは一億人ぐらいいます。
苗字だけでは誰のことか皆目、見当がつかないのです。
繊細なハーモニーに着目
素朴な歌声が人気
「WALK」が心地よく感じるのは楽器の音を抑え、ボーカルを立てているからでしょう。
イントロこそピアノが入りますが、あとはリズムを刻むだけです。
ボーカルの純朴な声がすっと耳に入ってきます。
また、コーラスとメインボーカルとの調和も素敵です。
ヘッドフォンで聴くとより繊細さが伝わってくるでしょう。
間奏ではバイオリンも入ってきます。
バイオリンは生の音なので新鮮に感じます。
おそらくバイオリニストでもない限り、ソロのストラスバリウスを聴く機会はないでしょう。
従って、電子音がメジャーになったJ-POP界ではセンセーショナルな響きに感じるのです。
中国でウケる素朴なリズム
映画「君の名は。」が与えた影響
秋葉原での爆買いも下火になり、中国人観光客のテイストも変わってきました。
その背景には中国で日系企業に勤める苦悩が関わっています。
中国系の企業であれば、残業など存在しません。
また、全員が正社員です。
しかし、日本人上司は残業をさせたがります。
中国人にとって日系企業は憧れの就職先であり、一番人気です。
ところが入社後は厳しいノルマと残業で辟易しています。
そこで若者が求めたのが日本の「無印良品」のような素朴さです。
アニメや音楽にも波及し、映画「詩季織々」のような作品が誕生したのでしょう。
実は新海誠監督の「君の名は。」は広東語(カントンゴ)にも翻訳されています。
香港や台湾、広州などで多くの若者が日本人と同じように手にしているのです。