物語の名前は伏せたまま始めよう
連れ去ってと合図をくれたら
出典: 怪盗/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
傷つく「君」を盗む、救い出すのが【怪盗】のストーリーです。
「連れ去ってと合図をくれたら」という部分から主人公の繊細さを感じとることができます。
決して無理矢理にでも連れ去ってやる、というわけではなくあくまで「君」の合図を待っているのです。
助けたいけど求められないと動けない、2人の微妙な距離感がここに現れています。
そんな2人の物語の名前は伏せたまま始めようと歌われます。
「物語の名前」とはいったい何なのでしょうか。
眩しい世界へ
空を飛ぶ鮮やかな連れ去り
ここから君を奪って
夜空を抜けて
宝石みたいな 街を飛び越えて
君が想像した事ないくらい
眩しい世界を見せてあげる
出典: 怪盗/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
サビでは笑顔を失った「君」を明るく眩しい世界へと連れ去ります。
それは夜空を抜けて街を飛び越える、鮮やかで清々しい連れ去りです。
疾走するサウンドも相まって非常に爽快感のあるサビパートになっています。
あるがままでいい
そのまま海を渡って
春風に乗って
虹を蹴散らして 空にばら撒いて
君は今日も明日も君のままでいていいんだよ
君がいれば僕に不可能なんか無い
出典: 怪盗/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
「君」を苦しめるものからもっと遠くへと「君」を連れ去っていきます。
海を越えて、風に乗って虹を蹴散らす、心が晴れていく感覚が見事に伝わる歌詞です。
そして君は変わらず君のままでいい、と語りかけます。
MVでの鈴木ゆうか演じる「君」は自暴自棄になり慣れない夜の街へ遊びに出かけます。
でも「君」はあるがままでいい。
あるがままの「君」が僕に力をくれるんだ、と歌うのです。
この部分も女性なら誰もががときめく歌詞でしょう。
この物語の名前とは
『シンデレラ』と『かぐや姫』
もう行かなきゃなんて
ガラスの靴で 月にでも帰るの?
君がどう否定したって
素敵なままだよ
出典: 怪盗/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
伏せられたまま始まった2人の物語の名前。そのヒントとなるワードがここで登場します。
「ガラスの靴」と「月にでも帰る」というワードです。
そこから連想されるのは『シンデレラ』と『かぐや姫』の2つの童話。
シンデレラは魔法が解ける前に帰らないと、と王子の元から去ります。
かぐや姫は地球の人ではなく、泣く泣くお爺さんとお婆さんと離れて月へと帰ります。
この2つの童話に共通するのは「身分や人種の違いによる別れ」です。
『シンデレラ』は最後にはめでたく結ばれますが…
他の例を出すなら『ロミオとジュリエット』でしょうか。
それらの物語と同じように「君」は去ろうというの?と歌われます。
主人公と「君」との間にある身分や人種の違いとは一体何なのでしょうか。
物語の名前は『人魚姫』
【怪盗】で歌われる2人の物語の名前には『恋はDeepに』の世界観が大きく関わってきます。
石原さとみ演じる渚海音(なぎさ みお)は海を大切にする海洋学者です。
しかしその正体には秘密があります。
渚海音は長く地上にいられない、海で生まれた生物だったのです。
この事実には多くのドラマ視聴者が驚かされました。
その正体が明らかになると、渚海音は綾野剛演じる蓮田倫太郎の元を去り海へと帰ってしまいます。
このことから【怪盗】で歌われる「物語の名前」は『人魚姫』であると考えられます。
物語の名前が伏せられていた理由は「ドラマの核心となる事柄だから」かもしれません。