国内最新HIP HOP事情
サウス産最新ビートが席巻
ここ数年、日本のHIP HOPシーンでは若い世代のクルーが活発な動きを見せています。
代表的なクルーはBAD HOP、KANDYTOWN、YENTOWNなどです。
どのクルーもiTunesチャートなどを賑しているので名前くらいは聞いたことがあるかと思います。
若い世代のクルーはUSの最新ビートとフローを積極的に取り入れる傾向が顕著です。
アメリカ南部発祥のトラップに代表されるBPM50~70のゆったりとしたビート。
XXXTENTACION、Lil Pumpのようなトリッキーなフローが国内でも最先端とされています。
これらの最新トレンドを意に介すことなく現れたのが今回紹介する会津白河からの刺客MU-TONです。
会津白河から降臨した正統派ラッパーMU-TON
言葉選びと間の取り方が絶妙!
もちろん最新のビートやフローを使った楽曲は筆者も大好物です。
しかしMU-TONはそんな流行すらも超越した才覚を感じさせる人物。
ラッパーというよりもミュージシャンというくくりがしっくりときます。
まず言葉選びのセンスが飛びぬけていいです。
USでもっとも人気のあるKendrick Lamarに通ずるインテリジェンスを感じさせるライミング。
そこに福島ならではの実直さと漢気をミックスしたスタイル。
その声を耳にすればHIP HOPカルチャーに興味のない方でも惹き込まれてしまう。
MU-TONはそんな不思議な魅力を携え登場したのです。
1stアルバム「RIPCREAM」をリリース
ここまでべた褒めしてきたMU-TON、実は音源が極端に少ないです。
輪入道・MU-TON・DOTAMA名義のシングル「TAG SHIT (Track by dj honda)」。
そしてビートメイカーI-Deaとタッグを組んだ「Assimilation」。
そして彼が属するTRI MUG'S CARTELの300枚限定7インチレコードのみでした。
豪華プロデューサーが集う!
そんなMU-TONがついに1stアルバム「RIPCREAM」を2018年12月5日にリリースしました。
客演は神奈川のBLAHRMY以外は地元福島のラッパーのみ。
そのかわりにプロデューサーは超豪華です。
国内からはLIBRO、OLIVE OIL、I-DeAなどMCなら誰もが憧れるビートメイカーが終結。
USからはNas、Joey Bada$との作品が超有名なStatik Selektahがトラックを提供しています。
今回はリードトラックとして先行公開された「Spin Me Around」のMVを紹介。
MU-TONの魅力と共に解説してゆきたいと思います。
「Spin Me Around」MVをチェック!
Statik Selektahがプロデュース!
「Spin Me Around」のプロデュースはStatik Selektah(スタティク・セレクタ)。
90年代のニューヨーク・サウンドが蘇ったようなブーンバップ・ビートで知られた人物です。
メッセージ性の強いMU-TONのラップスタイルとは予想通り最高の組み合わせになりました。
MVもサウンドに合わせたかのように90年代の「証言」を思わせるようなシンプルな構成。
序盤の夜の廃工場、闇夜に焚かれるスモークはまさに90年代フレーバーです。