ベイエリアから リバプールから
このアンテナがキャッチしたナンバー
彼女 教科書ひろげてる時
ホットなメッセージ 空に溶けてった

授業中アクビしてたら
口がでっかくなっちまった
いねむりばかりしてたら もう 目が小さく
なっちまった No no

出典: トランジスタ・ラジオ/作詞:忌野清志郎、G.1,238,471 作曲:忌野清志郎

「ベイエリア」とは、サンフランシスコ湾の湾岸地域のこと。

いわゆる米国西海岸です。

ロサンゼルスも含めた西海岸は、ドラッグヒッピーといったカウンターカルチャーの発信地でした。

その中心にあったのが、ウエストコースト・ロックという音楽。

1960年代以降、西海岸のロックシーンは、世界的なアーティストを続々と生み出します。

一方のリバプールは、ビートルズの出身地である英国の港湾都市です。

1960年代に誕生したリバプールサウンドは、ソリッドなビート音楽。

米国でも大きなムーブメントを巻き起こします。

これらの新しいサウンドを、日本の若者たちに伝える役割を果たしたのがラジオでした。

日本のテレビでMTVの放送が始まったのは、1984年になってからのこと。

1980年代前半、最新のロックやポップスの紹介は、ラジオの音楽番組が圧倒していたのです。

そうした番組の多くは、ゴールデンタイムが終わった深夜にオンエアされていました。

眠りに就くことなど忘れ、ラジオに耳をそばだてる若者がいかに多かったことか。

「授業中アクビしてたら」「いねむりばかりしてたら」という歌詞

この曲の主人公も、夜な夜なラジオに聞き入っていたことが想像されます。

宝物のメロディー

Ah 君の知らない メロディー きいたことのないヒット曲 Ah
Ah 君の知らない メロディー メロディー きいたことのないヒット曲 Ah…
Ah 君の知らない メロディー メロディー メロディー きいたことのないヒット曲
Ah…

出典: トランジスタ・ラジオ/作詞:忌野清志郎、G.1,238,471 作曲:忌野清志郎

「知らないメロディー」「きいたことのないヒット曲」に、胸を踊らせる主人公。

新しい音楽に胸をときめかせる臨場感を、シンプルな言葉で見事に表現した歌詞です。

英語の歌詞はよく理解できなくても、心を揺さぶるには十分な「メロディー」。 

ラジオではいつ、どんなタイミングでそんなメロディー、ヒット曲に出合えるかは分かりません。

「授業をさぼって」でも、ひたすら耳を傾けていなければならなかったのです。

そうして運命の1曲にめぐり合ったときの喜び、感動は「うまく言えたことがない」ほどのものでした。

お気に入りの音楽をリサーチすることが、当てのない宝探しに等しかった時代。

だからこそ、彼らは夢中になり、やっと見つけた宝物を大切に心に刻んだのです。

「トランジスタラジオ」の歌詞には、学生の本分に従い教科書を広げている彼女の姿が描かれています。

そこからドロップアウトした主人公は、教科書に書かれていないメッセージに心をときめかせています。

対照的な2人の姿ですが、主人公には「彼女の知らない世界を知っている」という高揚感さえ感じます。

音楽に魅了される若者たちの気分を見事に切り取ったこの曲は、RCサクセション代表曲の1つになりました。

音楽の素晴らしさ

「自分らしく」というメッセージ

新しい音楽と出合う喜びを、素朴な話し言葉を交えて表現したRCサクセション

若者たちの目線で、彼らのありのままの気持ちを歌うスタイルは、大いに共感を集めました。

RCサクセションの作品を1つでも知っている人は、ぜひ思い起こしてみてください。

彼らの残したサウンド、歌詞を。

飾らない音楽を通し、彼らが伝えたかったものとは。

「自分らしく」という、シンプルなメッセージに尽きると思うのです。

カバーも続々

「トランジスタラジオ」は、さまざまなアーティストがカバーします。

1992年には、メジャーデビュー前の山崎まさよしシングルカット。

1993年には、電気グルーヴ子門'zの名義でカバーシングルをリリースしました。

彼らもまた、内ポケットにトランジスタラジオを忍ばせていたのかもしれません。

この曲をカバーするミュージシャンのから伝わるのは、自らの原点に立ち返るような姿勢。

そして、今度は自らの音楽で誰かを高揚させたいという思いなのです。

まとめ

メタファーに富んだ曲

1980年の第1弾シングル「雨上がりの夜空に」。

この曲もまた、シンプルなロックナンバーです。

刺激的なメタファーに満ちあふれた歌詞を、徹底的に解き明かした記事。

OTOKAKEライターの分析に、目を通してみてください。

名曲「雨上がりの夜に」を聞いた女性が歌詞の内容に激怒?!一体何があったのでしょうか?コードと動画もご紹介します!

「素晴らしすぎて発売できません」

忌野清志郎が、トランジスタラジオで聴いていたであろう洋楽ナンバーの数々。

それらの名曲に「反原発」のメッセージを託したのが、RCサクセションのアルバム「COVERS」でした。

所属レコード会社に発売を見送られたことで、日本のロック史における「事件」となったこの作品。

RCサクセションが、まさに「自分らしさ」を貫いてみせた名盤です。

さあ、OTOKAKEライターの詳しい解説を、ご覧ください。

全曲洋楽に日本語の歌詞を付けた異色のカバーアルバム『COVERS』に収録された「サマータイム・ブルース」は原子力、そして核の問題を日本社会に警鐘した作品です。なぜこの曲が一時発売中止に追い込まれたのか、歌詞からその真意を紐解いてみましょう。

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