独特の世界観がすごい!
このアルバムではアニメーション映画が目に浮かぶような躍動感があり、2ndアルバムとは思えないほど確立された世界観が見事です。
作詞作曲をはじめ、イラストまでも米津さんが自ら手がけることで、すべてのパズルが上手くハマっています。
ジャパニーズロックとポップスの良さが最大限に引き出された、日本の音楽シーンを代表する名アルバムなのではないでしょうか?
タイトル「YANKEE」に込められた思いとは?
アルバムのタイトル「YANKEE」とは、アメリカ北東部に住む移民の総称です。
米津さんはかつてニコニコ動画などを通じて、インターネットを拠点とした音楽活動を行なっていました。
そこから全国区でデビューするという背景から、自分自身を移民のようだと感じていたそうです。
自分の居場所がないともがく人たちに、心安らげる場所を提供したいという思いが込められたアルバム。
それだけに、メッセージ性は強いけれど優しさも感じられる曲が多いようにも見受けられます。
全曲シングル級の豪華さがすごい!
「こんなにいい曲ばっかりアルバムに詰め込んでいいの?」というくらいの名曲ぞろいです!
イントロからメロコアにも精通するところのある「リビングデッド・ユース」。思わず縦ノリで聴いてしまう中毒性のある「MAD HEAD LOVE」など。
1小節にたくさんの言葉を詰め込む米津さんの特徴が生かされています。カラオケで歌うには滑舌を良くして臨まないと難易度が高いですね!
そうかと思えば、「サンタマリア」のようなストリングスが美しいバラードもしっかりと収録。
ちなみにこの曲はアルバムバージョンとしてボーカルのみを再録したものですが、それ以外を変えなかったのは、この曲を好きだというファンの方々を尊重したからだそうです。
米津さんなりの優しさがこんなところにも表れていますね。
アルバムの核となっている「アイネクライネ」
今回のアルバム「YANKEE」の中心になっているのは、4曲目の「アイネクライネ」です。
東京メトロのCMソングだったので耳にしたことがある方も多いと思いますが、耳に心地よいサウンドは、また聴きたくなるメロディです。
東京メトロのCMに起用されるテーマソングは、よく注目されていますよね。
タイアップ曲という楽曲そのものの力がアルバムを支えています。
このアルバムは1曲ごとのインパクトが強いので、この曲が入ることによって全体が締まり、聴きやすさが増します。
それでも、ただのJ-POPでは終わらないところが彼の音楽のすごいところ。
前作からの成長がすごい!
メランコリックだった1stアルバム「diorama」では、リスナーを置き去りにすることもいとわない程の独創性がありました。
そんな前作と比較すると、さまざまな変化と成長が見られます。
前作がインディーズでの発売だったこともあってか、曲調の幅も広がり、アルバム全体のバランスがとても良くなったように思います。
ポップス的要素が強まった
「diorama」で全開だった米津ワールドの雰囲気はそのままに、今作ではポップなノリの良さが増しています。
このアルバムで多くの新規ファンを獲得したのではないでしょうか。
「メランコリーキッチン」のような曲を作れるようになったのは、彼の成長と言えるでしょう。
「花に嵐」のような、ポップロック的要素も新たな新境地を切り開いたようでワクワクします。
カバー曲がボーナストラック級にすごい!
「YANKEE」には、米津さんがボカロP(ボーカロイド・プロデューサー)として活動していたハチ名義の楽曲「ドーナツホール」も本人の声で収録されています。
名目上はカバーですが、ファンにとってはボーナストラックとも言える豪華さ!ボカロPとの決別を思わせるような選曲が、ファンの物議を醸しました。