中島みゆきさんからの提供楽曲


吉田拓郎さんは昭和を代表するシンガーソングライターの一人です。

多くのミュージシャンが自身のルーツに吉田拓郎さんを上げるほど、多くの人に影響を与えてきました。

今回紹介させていただく、「永遠の嘘をついてくれ」楽曲提供した中島みゆきさんも、吉田拓郎さんをルーツに挙げています。

中島みゆきさんとの関係

【永遠の嘘をついてくれ/吉田拓郎】中島みゆきの深い想いが込められた歌詞を徹底解釈!アルバムも紹介♪の画像

中島みゆきさんは元々、吉田拓郎さんのファンだったそうで、追っかけをしていました。

吉田拓郎さんの楽屋に出入りするほどで、多くの人に認知されていたようです。

中島みゆきさんがデビューしてからも、吉田拓郎さんをルーツにしていることを感じさせる歌詞の曲があります。

吉田拓郎さんは字余り、字足らずな歌詞の曲が特徴的ですが、それに似た曲がちらほらあります。それほど吉田拓郎さんから影響を受けていたのでしょう。

作詞作曲を頼んだのは初めて

吉田拓郎さんがこれまでに出してきた楽曲の作詞作曲はほとんど自身で手がけていました。

ですが、中島みゆきさんの「ファイト」を聴いて「もう自分はこんな詞を書くことは出来ない」と言ったそうです。

そこで中島みゆきさんに「遺書のような曲を作って欲しい」と頼んだそうです。

吉田拓郎さんは引退を考えていて、最後の曲として中島みゆきさんに書いてもらった歌を歌おうとしていたのかもしれません。

吉田拓郎さんの曲で、一人のアーティストに作詞作曲をしてもらったというのは初めての試みでした。

歌詞解説

【永遠の嘘をついてくれ/吉田拓郎】中島みゆきの深い想いが込められた歌詞を徹底解釈!アルバムも紹介♪の画像

ニューヨークは粉雪の中らしい
成田からの便は まだまにあうだろうか
片っぱしから友達に借りまくれば
けっして行けない場所でもないだろう ニューヨークぐらい
なのに 永遠の嘘を聞きたくて 今日もまだこの街で酔っている
永遠の嘘を聞きたくて 今はまだ 二人とも旅の途中だと
君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 何もかも愛ゆえのことだったと言ってくれ

出典: 永遠の嘘をついてくれ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

成田からニューヨークまでは12時間かかります。お金だってかなりかかりますが友達から借り集めれば行けないわけではないです。

ですが、そこまでして会いに行きたいと思う人はいますか?

永遠の嘘を聞きたくて、永遠の嘘をついてくれと言っているのは、本当のことを知りたくないからでしょう。

本当のことを知ってしまうと、それは悲しみに変わることが分かっていたのでしょう。

騙す為の嘘ではありません。ここで出てくる嘘は人を思いやる嘘です。

この国を見限ってやるのは俺の方だと
追われながらほざいた友からの手紙には
上海の裏街で病んでいると
見知らぬ誰かの 下手な代筆文字
なのに 永遠の嘘をつきたくて 探しには来るなと結んでいる
永遠の嘘をついてくれ 今はまだ二人とも旅の途中だと
君よ 永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 一度は夢を見せてくれた君じゃないか

出典: 永遠の嘘をついてくれ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

ここで注目してもらいたいのは2行目までの歌詞です。「この国を見限った友達は追われている」と書かれています。

追われながら、ということは何かの罪を犯したのでしょう。この国を見限ったということは海外にいることが分かるので、海外で逃亡生活をしていたのでしょう。

友人が遠い街で病気になったことを知らせる手紙が届いてきます。

2番の歌詞には上海の路地裏と出てきますが、1番の歌詞で歌われているのはニューヨークです。

時系列的には上海のから手紙が届いた後、ニューヨークに行くか悩んでいるという順です。

つまり、友人がいるのは上海ではなく、ニューヨークに行くことが分かったというのは、自分で上海に行って教えてもらったか、人伝で突き止めたのか、といったところでしょう。

海外に住む友達が手紙をくれるというのは、よっぽど仲が良かったか、よっぽどひどい病気でこの先長くないことを伝えたいかのどちらかでしょう。 

傷ついた獣たちは最後の力で牙をむく
放っておいてくれと最後の力で嘘をつく
嘘をつけ永遠のさよならのかわりに
やりきれない事実のかわりに
たとえ くり返し何故と尋ねても 振り払え風のようにあざやかに
人はみな望む答えだけを 聞けるまで尋ね続けてしまうものだから
君よ 永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 出会わなければよかった人などいないと笑ってくれ

出典: 永遠の嘘をついてくれ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

友人はもう自分のことを探さないでくれ、という思いを込めて手紙を送ったのでしょう。

実際に病気だったのか、もうすぐ死んでしまうのかは分かりません。

ですが友人に迷惑をかけたくないとか、困らせたくないからという理由で嘘をついてしまうのでしょうね。

人を騙しているわけではないのです。愛を持って嘘をついているのです。

中島みゆきさんのラブレター?

歌詞の意味を解釈するのが非常に難しい楽曲だと思います。この楽曲には当時の背景があったと思うからです。

吉田拓郎さんは「遺書のような曲を作って欲しい」と頼んでいますが、かけ離れています。

この曲は中島みゆきさんが吉田拓郎さんに送るラブレターのようなものではないか、という説もあります。

曲が作れなくなった、と言う吉田拓郎さんに対して中島みゆきさんが「永遠の嘘をついてくれ」と言っているのかもしれません。

最後に「一度は夢を見せてくれた君じゃないか」という歌詞がありますが、それは中島みゆきさんからの叱咤激励にも聞こえます。

何にせよ、リスナーに沢山想像させたり、含みを持たせる文章を書くのがとても上手いですね!

吉田拓郎さんはどんな気持ちでこの歌を歌っていたのでしょうか。気になりますね(笑)

本人が作詞したのかと思わせる歌詞