『Shade』MVあらすじ
憂いて 僕らは
震えて いつだって
果たしたい
夢から
夢なら
綺麗な夜を見てた
戻れたら
Tell me
出典: Shade/作詞:iri 作曲:大沢伸一,iri
YouTubeで公開されている『Shade』のMVは1分30秒のショートバージョンです。
その中で6人のストーリーが明かされることはありません。
MVの構成に沿って物語のあらすじを見ていきましょう。
冒頭、真っ暗な部屋をゆっくりトラックアップするカメラ。
窓の外に明るい日差しがさしていることから日中であることが分かります。
薄暗い部屋の片隅に座り込む女性(iri)はぼんやり白昼夢を見ているようです。
カットは切り替わり薄暗い道をうかぬ表情で歩く女性(Becky)を映し出します。
両脇を囲む店舗はシャッターで閉ざされている。
目の前に四角く縁どられた明かりが見えます。
明かりの先はビルの屋上です。
ここで視聴者は演者が異なることに気付きます。
Beckyが着ていたのはMA-1、しかし屋上に出た女性が着ているのはチェックのシャツ。
いつの間にかiri本人に切り替わっていたのです。
パッと見の雰囲気が似ている2人の服装を使ったトリックには意味があるのでしょうか?
Beckyが演じているのは『Shade』の語り手、つまりiriの内面描写だということが推察されます。
中毒性の高い編集トリック
屋上に出たiriはゆっくりと先まで歩みを進めます。
するとカメラは上空からの視点に切り替わるのです。
映し出される3人の男女(Jerry、Shohei、Bebe)。
空間が広いため地上と錯覚しそうになりますが3人が歩いているのもどこかのビルの屋上です。
『Shade』のMVにはこのような何度も見返したくなる不思議なトリックが散見されます。
階下に広がるのはガイドブックには載らないであろうディープな街並み。
女性を中心に仲睦まじくじゃれ合う3人。
服装のテイストこそ異なりますが3人は幼馴染のような関係性なのでしょう。
この先もカットは目まぐるしく切り替わります。
バラック建ての立ち並ぶ狭い路地を1人歩くiri。
台湾のダウンタウンのような寂びれた情景は彼女の心象風景なのでしょう。
3人組は地下鉄のエスカレーターをふざけながら降りていきます。
iriとBeckyは同一人物?
打ちあげられるだけの僕では
よく見る痛い系の ドラマ
移りゆく 思想や
またとない 昨日が
あか抜けない 音が
いつかは愛おしい
程遠い あの子が
ここにくる方が
夢やなんだろうか
今は答えだろうな
本当の幸せの chooser
狂わせんなよ gotta future
思ったような商談で
吐かれんなら もう show down
出典: Shade/作詞:iri 作曲:大沢伸一,iri
再び薄暗い部屋に戻ります。
カメラが捉えるのは窓辺で気怠そうに座り込む女性(Becky)。
しかし次の瞬間全く同じ構図で座り込むiriが映し出されているのです。
ここで聴衆は一つのミステリーを明かされたような気分を受けます。
iriとBeckyは同一人物を演じているのでは?
再び3人組の場面に戻るカメラ。
地下鉄に乗込み街に繰り出すようです。
いつも3人は一緒に過ごしているのでしょう。
どこか懐かしくほっとする光景。
この3人は『Shade』の中で唯一幸福な記憶を象徴しているようです。
屋台で何やら話し込んでいます。
「どこ行こうか?」
再び3人は歩きだします。
地下を彷徨う2人の存在
身を潜めてなにに怯えてるんだろう
誰と 知らず慰めてくれるでしょう
大きな車線に横たわり
何度も使い捨てて
濁る汗と共に寄り添い
浮かない表情でのpeace sign
いつのまにか who will destroy
僕らまた変わってしまうかな
出典: Shade/作詞:iri 作曲:大沢伸一,iri
再び廊下を歩むBeckyの画を挟みPiccoloとSanが登場。
スキンヘッドにフードを被ったPiccoloはぎらついた目つきで階段を降りていきます。
2人が着いたのは地下駐車場。
しかしクルマに乗込む素振りはありません。
何かに怯えるように都会の片隅でひっそりと生きている。
そんな情景が浮かんできます。
場面が変わるとすでに辺りは夕闇に包まれていました。
缶ビールを片手に今だに遊び歩く男女3人。
ここでカメラはゆっくりと角度を変えてゆきMVは終わります。
考察:『Shade』のストーリー
1分30秒というショートバージョンで公開された『Shade』のMV。
実際の楽曲の尺は3分36秒です。
実はこの物語には続きが存在します。
ここからは『Shade』のMVに秘められた物語の全貌を考察してみようと思います。