楽曲を解説

前項でも少し触れましたが「波のゆくさき」の肝となっているのは大きく2つの要素です。

  • 無限ループのような不思議な感覚
  • 立ち向かっていくような力強さ

ここではその2つを詳細に解説していきます。

後ほどMVを紹介しますので、参考にしながら聴いてみてくださいね!

イントロ、メロ部分を彩る無限ループ感

まずはイントロ、メロ部分を彩る無限ループ感から。

冒頭部分のギターアルペジオから、なんともミステリアスな響きになっています。

2つのコードが繰り返される極めてシンプルな進行ながら、使われているコードが複雑なんですね。

サビ部分を除いて、後半まではほとんどこの2コードで曲が進んでいきます。

ひたすら同じコードの繰り返し。これが無限ループ感の正体ですね。

「ずっと同じコードじゃ、単調な曲になるんじゃない?」と思ってしまいませんか?

そこが彼らの腕の見せ所。

  • イントロのアルペジオに合わせた途切れ途切れのパターン
  • 音を長く伸ばしたパターン
  • 後ろでベースが蠢くパターン

同じコードでもバリエーション豊かな演奏で楽しませてくれますよ!

まるで螺旋階段のような無限ループの中でも、生き物のような抑揚を感じることができるはずです。

また、ギターソロでも繰り返しのフレーズが垣間見えます。

ここまでのこだわりよう、「これでもか!」というほどですね!

力強さ

続いてはもう一つの要素の「力強さ」を見ていきましょう。

不思議な感覚に見舞われるメロ部分から、唐突に始まるサビ。

疾走する演奏と、力強く訴えかける歌。

その勢いはまさに「立ち向かっていく」ようなイメージです。

男らしさの溢れるボーカル、廣石友海の歌は難解な曲調には珍しいもの。

THE RiCECOOKERSの色になっているのではないでしょうか。

後半になるにつれてそのボルテージも上がっていくのがわかります。

途中、暖かなイメージのCメロを挟んでいるのもポイント。

これが楽曲をよりドラマチックなものに仕上げていますね。

廃ビルが舞台のMVを紹介

続いては「波のゆくさき」のMVをご覧いただきましょう。

廃ビルを舞台に演奏する姿は王道ながらにカッコイイですよ!

演奏シーンは当然いいのですが、楽器を背負ってやってくる姿もカッコイイですね。

楽器を持って歩いているだけでかっこよく見えるのは、バンドマンあるあるではないでしょうか。

いえいえ、当然中身が伴ってこそです!

良い音楽を奏でる人というのは、立ち居振る舞いにも滲み出るものなんでしょう。

合間に映るアメリカの街並みも情緒溢れる内容でしたね。

時の流れを感じさせる歌詞

「波のゆくさき」の歌詞は1曲を通して、時間の流れを感じさせる内容になっています。

 時間の流れに逆らうことは誰にもできません。

そして時間と共に忘れていってしまうのが人間。

そんな人間の性を受け入れた上で彼らが放つのはどんなメッセージなのでしょうか。

ここから一部を抜粋して解説していきましょう。

波の感触から

いつのまにか止まったまま 波のシズクと消えたあしあと
Maybe it's just me 冷たくからみつく
Wanting so much 流れは早さをまして

出典: 波のゆくさき/作詞:藤井恒太 作曲:藤井恒太

海辺に佇む主人公を思わせるシーンですね。

足元に絡みついてくる波の感触だけをただ静かに感じている。

そんな様子が感じられますね。

その波の流れも早さを増していったりと、変わりゆく表情を見せています。

まるで時間の流れを表しているようですね。