どうだっていい理屈ばっか張り付いた
ハリボテの世界を生きてく
誰かのためじゃない 今はまだ
自分に追いつくまで
出典: ガムシャラ/作詞:ノマアキコ・みゆな 作曲:成田ハネダ
主人公の目には、都会はまがい物に見えているようです。
建前ばかりがあって、肝心なものが空っぽの空虚な世界。
しかもそこにあるモノは、主人公にとってどうでもいいものばかりでした。
つまり、主人公にとって今いる場所は大切な場所でも何でもない、生きづらいだけの世界なのです。
この状況では、とても他人のためになんて生きられません。
そんな余裕がどこにあるというのでしょうか。
ですから今の主人公は、自分のために生きるのに精いっぱいです。
誰かのために生きられるのは、「自分」と肩を並べた時。
そしてこの4行目の歌詞は謎めいていますね。
自分がもう1人いて、今いる地点より先にいるように読めます。
ここでいう「自分」とは、たとえば「夢を叶えた自分」でしょうか。
だとしたら、他人のために生きられるのは夢が叶ってからになりそうです。
自分の生き方とは
都会では自分らしい生き方を貫くのはかなり大変といえます。
とはいえ人間は色々なので、溶け込める人もいればそうでない人もいるのです。
特に主人公は後者にあたります。
周りとうまく溶け込めない以上、自分の生き方で生きるしかありません。
しかしながら、周りはそんな人を自分たちに合わせようと迫ってきます。
結局、ますます生きにくくなってしまいそうです。
どうやって周りとは違う生き方をすれば良いのでしょうか。
いつも忙しそうな都会で
立ち止まることが罪かのように
今日も忙しなく動く街は
出典: ガムシャラ/作詞:ノマアキコ・みゆな 作曲:成田ハネダ
都会はいつもどこか焦っているようで、常に流動し続けているような印象があります。
夜も照明はつけっぱなしですし、まさに「眠らない街」です。
主人公の故郷にはなかった光景なのでしょう。
みゆなさんもまた、故郷を離れて歌手になるために上京してきました。
曲冒頭で登場した都会のたとえもこの歌詞も、彼女の見てきたものだったと考えられます。
方向すらわからないのに
焦りに飲み込まれそうな夜
見上げた空に星ひとつ
出典: ガムシャラ/作詞:ノマアキコ・みゆな 作曲:成田ハネダ
この地にいると、主人公でも「自分はのんびりしていていいのか」と焦燥に駆られてくる様子。
しかしその衝動から引き留めてくれたのは空に浮かぶ「星」でした。
都会の夜空は光害のせいで、星は数えるくらいにしか見えません。
ですが、ぽつんと1つだけあることが逆に主人公を落ち着かせてくれたのでしょう。
そもそも焦ったところで目的地に早く辿り着くとは限りません。
進めって言うけど
どちらが前かさえもわからないよ
出典: ガムシャラ/作詞:ノマアキコ・みゆな 作曲:成田ハネダ
無論、周りが焦らせようとしてくることはあります。
それに従ってとりあえず動いてみても、進んでいるのか戻っているのかさえもう主人公には分からないのです。
何故なら、もう辺りは真っ暗だから。
暗闇の中では、前後左右も分かりません。
都会に適応できていない主人公の場合、たとえ昼でも彼女の目の前は真っ暗という可能性もあります。
自分はこの地でどうしていけば良いのか、路頭に迷っているようです。
「今」を懸命に生きていく
どうだっていいよ明日なんて今だけを
確かめながらしか生きれない
誰かのせいになんてしたくない
自分の生きる道は
出典: ガムシャラ/作詞:ノマアキコ・みゆな 作曲:成田ハネダ
今の主人公に、これからのことを見据える余裕はありません。
「今日は今日のことしか考えられない」という状況なのです。
今日を懸命に、しっかりと生きることが現時点で主人公のできることになります。
これからのことを見てばかりで、足元を掬われるわけにはいきません。
今日は今日のことだけを考え、明日のことは明日考える。
主人公の理想とは程遠いようですが、そんな生き方も有りなのではないでしょうか。