女性は生まれ持っての女優、という言葉があります。
女性ならば、なんとなくその言葉が理解できるもの。
仕事をしている時、友人といる時、そして恋をしている時、その場面ごとに女性は役柄を見事に演じます。
ある時は有能なキャリアウーマン、ある時は恋に溺れるか弱いうさぎ。
特に恋をしている時は、自分の気持ちや相手に合せて演じ分けをしてみることも。
今夜の主人公のお相手は遊び慣れた大人の男性。
それならばと、大胆でセクシーなマリリンを演じて彼を虜にしにかかります。
わざと大きく組んだ足、髪をほどく奔放な仕草、主人公の一挙手一投足に男性は、様々な想像を掻き立てられるでしょう。
二人きりだけど二人きりではない、オフィス街の車の中。
半透明なガラスボックスのような空間の中で、主人公は大胆かつセクシーなマリリンになっていきます。
香りが運ぶもの
お気に入りの香り 花吹雪みたい
そっと腕から すり抜けて
浮気な蝶々のフリをする
出典: 1986年のマリリン/作詞:秋元康 作曲:筒美京平
セクシーで魅力的なマリリンに惹きつけられる男性。
その腕に抱きすくめられながら主人公は次なる作戦に移ります。
思わせぶりに
香水や化粧品の香りは、つけている人の体臭と混ざりアイコンのような存在になります。
香りは人間の記憶と強く結びついているため、香りを感じるとその人のことを思い出すことも。
過去の恋人がつけていた香水の香りにふと振り返ってしまった経験がある方は少なくないはずです。
主人公も、そしてお相手の男性も何かしら自分の香りをまとっているよう。
愛し合う二人の香りは交じり合うものですが、主人公の香りはそう簡単には彼の手に落ちません。
ふんわりと、あたりを漂いながら、別の香りも物色したりして。
主人公は本当のところは目の前の男性に夢中のはずです。
しかし、簡単に心を見せてしまっては恋のクライマックスが早くやってきてしまいます。
掴まれた腕を彼に預けながら、主人公は物憂げに香りを遠くにも飛ばしてみせます。
もっと大胆に
もっと自由に 恋がしたいの
秘密めいた夜明けのアスファルト
マリリン ちょっと甘く歩けば
マリリン 私 生まれ変わりね
いつのまにか 危ない大人
シャイな私のこの気持ち わかって
出典: 1986年のマリリン/作詞:秋元康 作曲:筒美京平
奔放な女性を演じ、危険な男性とのアバンチュールを誘う主人公。
彼女はいったいどんな女性なのでしょうか。
本当の彼女
いろんな顔を使い分けることができる女性は時として、本当の自分が自身でもわからなくなることがあります。
自由で遊び上手な年上の男性と、おしゃれに大胆に恋愛ゲームに興じてみたい自分。
真面目で優しい、穏やかな男性と静かな幸せを育みたい自分。
どっちにも興味があるようで、本当の自分がいったいどちらを欲しているのか迷うことがあるのです。
主人公のマリリンは、本当は真面目な女性なのかもしれません。
恋愛くらいは自由にしていたいわ。
そう言いながらも心のどこかでは、アバンチュールにどっぷりハマれない自分がいたりして。
恋は選んだお相手によって、その行く末は全く方向が違うことがあります。
マリリンを演じながら、主人公はなり切れない自分にもなんだか気づいているようです。
大人の恋とは
マリリンの名を冠した独特のウォーキングスタイルは世の男性の目を惹きつけるセクシーなもの。
そんな動きをまねながら、夜明けの都会を歩けば何だかちょっとイイ女になった気がします。
危うげな動きに目を奪われる男性がそばにいればなおのことでしょう。
奔放な女性には二種類あって、一つは本当に根っから自由なタイプ。
こちらは男性の中にももちろん存在し、自由であることが当たり前である人たちです。
もう一つは、奔放でありたいとそれを演じているタイプ。
本当は、きちんとしているのだけれど、ときどきそんな自分を飛び出して自由になりたいというのがこちら。
モンローウォークで、開放的な女性をアピールしつつ、次の行動にためらいがある主人公。
自らを「シャイ」という彼女はやはり、マリリンになり切れずにいるようです。
できることなら、そんな私のギャップを理解して愛してよ。
そんな彼女の心の声が聞こえてきそうです。
さあ、どうする
マリリン 長い髪をほどいて
マリリン シネマスタア気取るわ
いつもよりも セクシーなポーズで
じれたあなたのそのハート 釘づけ
出典: 1986年のマリリン/作詞:秋元康 作曲:筒美京平
主人公は、1986年のマリリンになれるのでしょうか。
セクシーポーズの彼女の姿を追ってみましょう。