ミニアルバム『ゴールデンエイジ』
石崎ひゅーい第2章の始まり
石崎ひゅーい初のベストアルバム『Huwie Best』には、主にファン投票で選ばれた曲が収録されていました。
唯一の新曲「ピリオド」は、その曲名の通りそれまでの活動に区切りを打つという意味があったそうです。
才能に溢れているように見えても、創作活動には身を削るような辛さもあったのでしょう。
心機一転発売した約1年ぶりのミニアルバム『ゴールデンエイジ』は、第2章の始まりを告げる作品なのです。
アルバムのタイトルは”子供の成長期”を表しています。
音楽を心から楽しむわくわくする気持ちを取り戻した彼が書いた作品が5曲。
個性的ないい曲が揃っていて、収録数が少ないのが残念ですが今後の活動が楽しみな出来映えです。
その中から、トップを飾る「あなたはどこにいるの」のMVについて解説してみたいと思います。
異国の街をさまよう石崎ひゅーい
「あなたはどこにいるの」MV

前のめりのロックなリズムに乗って始まるMVに登場する石崎ひゅーいはどこか寂しく悲しそうです。
街に溢れる看板には見慣れない漢字が書かれていてここが異国なのだと分かります。
アジアのどこか、までは分かるのですがあえてロケ地をはっきりさせる必要はもちろんありません。
これがヨーロッパやアメリカだと、雰囲気が違ってそもそもこのMVは成立しないでしょう。
人々の顔つきや街並みにどこか親近感はあるけれど言葉は通じず途方に暮れてしまう。
頼るものもいない異国の地であることが伝わればそれで充分なのです。
ロックなメロディーなのに寂しさや悲しみが伝わってくるのは音楽と映像のセンスなのでしょう。
俳優の顔も持つ石崎ひゅーいは、ごく自然に異国の風景の中に溶け込んでいます。
しかしそれは幸せな風景ではありません。
気ままなひとり旅ではなく、何か悩みを抱えた旅なのだということも彼の表情から伝わってくるのです。
彼には明るさよりも孤独や悲しみが似合うような気がします。
異国で感じる空気感
知らない国で誰を探す?
海外で感じる異国ならではの空気感は行ってみないと分からないものだと思います。
着陸のために降下を始めた飛行機の窓から見る風景からすでにその雰囲気を味わうことができるはずです。
空港を行き交う様々な国の人々を見てその感じはさらに強くなり、街へ出たところでいったんピークに達します。
何人かで行く海外旅行でもそうですから、ひとり旅なら余計に日本とは違う空気感に身を包まれるでしょう。
見慣れない風景、耳にする言葉や目にする文字、そして匂いまでもが五感を刺激します。
場合によっては違和感や孤独感を感じるかもしれません。
ここは自分がいてもよい場所なのだろうかという異質感もあるでしょう。
異国情緒といえばなんだかいい雰囲気なのですが、MVの石崎ひゅーいにはそんな感傷に浸る余裕はなさそうです。
知らない国で孤独な彼は誰を探しているのでしょうか。
どこかで見た街の風景
表現者だからこその自然な演技
急き立てられるようなリズムに乗って始まるMVのオープニング。
どこかのビルの屋上で胡座をかいて座っている石崎ひゅーいの姿が一瞬だけ映ります。
少し離れたところから撮影した彼の向こうには高層ビルと、それとは対象的な錆びたトタン屋根の建物が。
異国の地で途方に暮れる孤独な男の心情が想像できるようなシーンです。
続いて彼がさまよう街の風景は、どこか映画『ブレードランナー』で描かれた未来の街の風景を思い出します。
80年代の作品ですが、ダークな世界観で大ヒットしたリドリー・スコット監督の傑作SF映画です。
アジアの雰囲気が漂う街の中で逃亡したアンドロイドを探し求める白人のハリソン・フォード。
このMVとはまったくシチュエーションが違いますが、彼もまた映画の中では異質な存在だったのです。
画面はもう一度座り込んだ石崎ひゅーいへ戻り、下を向いて目を閉じる彼の姿がアップで映し出されます。
そこに見えるのは何らかの後悔の感情なのでしょう。
ごく自然にこういう演技ができるのは、彼が音楽だけにとどまらない表現者である証拠だと思います。
夕闇が訪れる異国の街並み
ネオンサインが照らす孤独な心
俯いていた彼は顔を上げ、街の中を歩き出します。
上着のポケットに両手を突っ込んで、一見気ままに歩いているようにも見えますがもちろんそうではありません。
探し求めている人がどこにいるのか、どうすれば会えるのか分からないまま街をさまよっているのです。
やがて夕闇が訪れてネオンサインのコントラストが強くなり、その光は彼の孤独な心を照らします。
場面は昼と夜を行き来して、彼は胸の痛みを吐き出すように歌うのです。
道の真ん中で座り込んだり両足を開いて立ったりしているのは揺れる心を表しているのでしょう。
街のあちこちを映し出すと同時に探している人に会えない苛立ちのようなものも見て取れます。
ここで重要なのはこの曲が女性の目線で書かれているということです。
次に切なく響くサビの部分の歌詞を紹介します。