「Strawberry Fields Forever」という難問

ビートルズ【Strawberry Fields Forever】歌詞和訳&意味を解説!モチーフは何?の画像

1967年2月、「ペニー・レイン」と両A面でリリースされたシングルStrawberry Fields Forever」。

名盤「サージェント・ペパーズ」と同時期に録音されたサイケデリック期ビートルズの超名曲です。

作詞作曲はクレジットこそいつも通りに「レノン=マッカートニー」。

しかし実際にはジョン・レノンひとりで書きました。

ジョン・レノンの非凡な才能が一瞬にスパークしたような歌詞と曲調が世界中のリスナーを虜にします。

この曲で歌われる「いちご畑」とはどういう場所なのかなどが話題になりました。

ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンも舌を巻いた見事なサウンド。

メンバーでさえ意味が分からないという難解な歌詞

この超名曲を語るのは勇気がいることです。

それでも歌詞和訳して難解な内容をゆっくり解説して「いちご畑」の秘密に近付きましょう。

それでは実際の歌詞をご覧ください。

「Strawberry Fields」への招待

実在するStrawberry Field(単数形)

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Let me take you down, 'cause I'm going to
Strawberry Fields

出典: Strawberry Fields Forever/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

「君も着いてきなよ

僕はストロベリー・フィールズに行くからさ」

有名な歌い出しです。

全編そうなのですが訳すのがかなり難しい箇所になっています。

君を連れていかせておくれがいいのか思い切って招待させてと訳すのか。

直後に僕は行くからと書かれているので着いてきなよくらいの訳に留めました。

登場するのは語り手の僕と友人らしき君です。

ふたりが遊んでいる最中のようであります。

早速、タイトル回収がされるのです。

Strawberry Fields」とは何でしょうか。

インターネット上で広く情報を共有できるまで多くの方が素朴に「いちご畑」だと思っていました。

野生の野いちごが生い茂っている場所か、農業としていちご畑を営んでいるところでしょうか。

農場だと立ち入りできないでしょうから野生の野いちごだろうななどと素朴に解釈していました。

これは非英語圏の日本のファンだけでなく本国イギリスのリスナーも同様だったそうです。

結論を述べるとこの「Strawberry Fields」は「Strawberry Field(単数形)」という孤児院のこと。

インターネットが発達した今ではファンにとっては常識になっているようです。

ジョン・レノンの故郷リヴァプールにある孤児院でした。

この孤児院「Strawberry Field」こそが「Strawberry Fields Forever」のモチーフです。

今では孤児そのものが減少していた事情もあり孤児院としては閉鎖されます。

しかし観光客が多く訪れるために観光地として施設を開放するようになりました。

この孤児院の外で少年ジョンが様々な遊びをしていたのでしょう。

彼の心に積み重なった想いがこの曲「Strawberry Fields Forever」に結晶しました。

幼少期の想い出を回想してこれほど感動的な歌を遺してくれたジョン・レノンに感謝したいです。

ちなみに世界にはもう一箇所「Strawberry Fields」という土地があります。

ニューヨーク・シティのセントラルパークの一角にジョンの想い出を祈念したエリアがあるのです。

その場所も「Strawberry Fields」と呼ばれます。

故郷リヴァプールと亡くなった土地ニューヨーク・シティ。

どちらの「Strawberry Field(s)」にも訪れたくなります。

心配するな現実はない

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Nothing is real, and nothing to get hung about
Strawberry Fields forever

出典: Strawberry Fields Forever/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

「リアルなものなんて何もないのさ

それならば心配することも何もないよね

ストロベリー・フィールズは永遠なのさ」

今なお世界中のファンを悩ませる箇所です。

現実なんてないのさという強い意味になります。

私たちは現実というものを素朴な実感で信じ込んでいるのです。

ジョン・レノンはこの常識に揺さぶりをかけます。

現実なんてないのだから何も心配することないよ

これはいわゆる現実逃避の姿でもあるでしょう。

心配ごとがあるからこそいっそ現実の方をなくしてしまったようなのです。

思考実験のようなものを行ってみたのでしょう。

そしてこの考えを述べた後に宣言します。

ストロベリー・フィールズは永遠なのさ

実際の孤児院「Strawberry Field」を複数形にしたのはなぜでしょう。

「Strawberry Field」での想い出をもとにしているのですが現実ではないよと申し加えるようなのです。

記憶の中にある様々な時期の「Strawberry Field」があるから複数形にしたのかもしれません。

そうなるとジョンの想い出の中にリスナーをそのまま招待したかのような内容になります。

両A面でポールによる「ペニー・レイン」が実在する通りでの出来事を綴ったのとは対照的です。

私たちはジョンの魂の中に直接招待されました。

「Strawberry Fields Forever」が他の曲では味わえない音楽体験をさせてくれるのはこのためかもしれません。

永遠に解けない謎

サイケデリックってなんだろう

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Living is easy with eyes closed
Misunderstanding all you see

出典: Strawberry Fields Forever/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

「目を閉じていれば生きることなんて簡単なことだね

君が見るものすべてを誤解している」

現実なんてないのだから心配することもないよの言い換えのような箇所です。

辛い現実に対して目を閉じながら暮らしていれば心配ごとなども気にせずにすみます。

見ているものに見当違いの解釈を加えるならばでたらめに生きることも可能かもしれません。

こうしてみると「Strawberry Fields Forever」は何かに付けて現実から逃避することを画策しているようです。

サイケデリックというものに明確な定義を与えようとすると必ず靴を滑らせます。

ただし仮に知覚に関して何がしかの操作を加えることで精神の解放を企図する芸術のことだとしましょう。

頑固な常識に揺さぶりを加えて非現実の中で精神を解放するような仕掛けをジョンは企てています。

辛いならば目を閉じていけば人生楽じゃんというような発想の転換の中で束の間幸せを得る。

そのための思考実験をジョンは色々と提案してくれているようなのです。

「Strawberry Fields」という仮想空間の中でリラックスしてくれよ。

そんなジョンからの招待によって私たちは得難い音楽体験をすることができます。

簡単な言葉でも難解

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It's getting hard to be someone, but it all works out
It doesn't matter much to me

出典: Strawberry Fields Forever/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney