これぞ走馬灯
ぐるぐるりと貴様の
笑顔が廻る
「たとえ身は蝦夷の島根に朽ちぬとも魂は東の君やまもらん」
出典: 誠-Live for Justice-/作詞:前山田健一 作曲:前山田健一
あほの坂田さんが歌っているのは、土方歳三が函館戦で戦死する数日前に謳った「辞世の句」。
東の君というのは、君主である徳川幕府将軍のことを指しているとされています。
“たとえこの身が朽ち果てここで滅びても、私の魂は君主をお守りします”。
君主の他、妻を指していたり、君主の好きだった女性を指しているという諸説がありますね。
その真偽はわかりませんが、一度守ると決めた人を死んでも守ってみせる。
そんな男気ある土方歳三の想いが伝わってきます。
ただ悲しいのは走馬灯です。
“思い出されるのはあなた様の笑顔”ということから死期を感じていたのかもしれません。
貴様というのは、現代で意味を間違えて捉えがちですが目上の人に敬意を込めて使う言葉です。
つまりここでは君主のことであり、やはり前述したとおり君主に向けた想いだと思われます。
伊東甲子太郎の想い
熱く燃え盛る
あの夜の身の火照りは
愛なるゆえぞ
「逢ふまでとせめて命が惜しければ 恋こそ人の命なりけり」
出典: 誠-Live for Justice-/作詞:前山田健一 作曲:前山田健一
ここの歌詞部分はセンラさんが歌う伊東甲子太郎の句です。
前述の3人よりも恋情をストレートに表現していますね。
このセリフ部分を意訳すると次のような意味になります。
“一目あなたに会いたい。あなたに会えるまではこの命が惜しい。恋というのはまさに人の命です”。
伊東甲子太郎は近藤勇の声かけによって新選組に加入したとされています。
命を懸けている中で詠んだこの句には、死を覚悟しているけれど、一目会いたい。
あなたに会えるまでは死ぬわけにはいかぬ。そんな想いが伝わってくるようです。
しかし、だんだんと内部で対立していき、結局新選組を離脱。
1867年に新選組によって32歳の若さで暗殺されてしまいます。
後に敵対するこの人物をなぜこの楽曲で登場人物に加えたのかはヒャダインさんにしかわかりませんね。
しかしきっと新選組として活動していた期間の想いに感じるものがあったのでしょう。
愛こそ人を動かす力になるということを伝えている歌詞だと思います。
後世に繋がれこの想い
つなげつなげよ この想いを
ただ愚かと笑い種なろうとも
信じたい
いつか日出る国担う者よ
出典: 誠-Live for Justice-/作詞:前山田健一 作曲:前山田健一
意味としては“後世に繋がっていけ、我らの想い”。
“たとえ自分たちがいなくなってもいつかこの国を背負って立つものが現れることを信じている”。
といったところでしょうか。
正義を貫いて戦っていることに、不確かな何かがよぎる瞬間があったかもしれません。
しかし信じることで救われるという言葉があるように、きっと信じて止まないものがあったはず。
だからこそ、若くして命を懸けることができたのだと思います。
心情は計り知れませんが、切なくも逞しい剣士の魂を感じますね。
新時代の幕開け
文明開化の音がする
It's the time to change everything
Now open the gate!
「そうさせるか!」
「いざ参らん!」
「ふっ、まだまだまだまだ」
「またつまらぬものを斬ってしまった」
出典: 誠-Live for Justice-/作詞:前山田健一 作曲:前山田健一
ここでは「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」が思い浮かびます。
明治初期の文明開化の象徴として有名な一文ですね。
ちなみにこの文章の意味は次のように訳すことができます。
“ちょんまげを切り落とした髪型が先進的で、新しい時代の幕開けだ”。
つまり、戦いを以て時代が変わっていくことを間近に感じているということ。
自分たちの行いによって願っていた時代が来る、新時代への扉をあけよう!
そんな意味だと解釈することができます。
また、最後に石川五右衛門でおなじみのセリフも最後に登場していますね。
豪華絢爛!贅沢な歌詞!
違う時代の人物のセリフをちりばめてくる辺り、ヒャダインさんの遊び心も感じます。
幼い頃に見たものとは違うけれど
幼い憧れ 夢見た刀は
こんな風に使う はずじゃないのになあ
何の為 誰の為 愛の為 君の為
命をくれてやろうぞ
出典: 誠-Live for Justice-/作詞:前山田健一 作曲:前山田健一
ここはMVでぜひ見て欲しいのですが、幼い頃の回想になります。
刀に憧れていた子供たち。
自分たちが思っていたものと、その使い方が今は全く違うということをいっていますね。
小さい頃憧れた刀は人を斬るためではなかったはず…。
しかし時代が変わり、正義のためにこの刃を人に向けなければならない。
何のために自分の命を懸けるのか…。
それをふと疑問に思うこともあったのでしょう。
その度に「Live for Justice」と言い聞かせていたのかもしれません。
何のために戦うのかがわからなくなったら、そこで刀を抜くことはできなくなるのではないでしょうか。
そう考えるととてもつらい時代でもあった、と容易に想像できます。
そうやって今日の日本があることもまた、時代を知る意味があると思わせてくれる歌詞ですね。