織田哲郎さんの公式チャンネルに「炎のさだめ」の弾き語り動画がアップされています。
オリジナル曲とは一味違った印象の動画です。
アコースティックギターに乗せて織田哲郎さんが渋い声で歌い上げる様子を見ることができます。
「炎のさだめ」の歌詞をチェック
過去との別れはできたのか
ぬすまれた過去を さがしつづけて
おれはさまよう 見知らぬ町を
炎の匂い しみついてむせる
さよならはいったはずだ 別れたはずさ
出典: 炎のさだめ/作詞:高橋良輔 作曲:乾裕樹
これは主人公・キリコ・キュービィーの生い立ちそのものです。
キリコは生まれも育ちも不明という設定です。
7月7日が誕生日ということですが、本人が覚えているかどうかさえ分からないそうです。
つまり盗まれた過去というのは、自身が知らない過去であり、自分の出生の秘密を探してさまよい続けるのです。
さらにキリコは火炎放射器による攻撃を受け、全身やけどを負った過去があります。
この時ほかの人は死亡、キリコの中にトラウマとなって残ります。
キリコは作品の中で異能生存体という、250億分の1の確率で生まれる存在でした。
そのために機甲部隊に配属されたのです。
そしてキリコは素体を知ったために追われる身となります。
自身を育てた町と、部隊と別れを告げるというのはどんな思いだったのでしょうか。
さよならも別れも済ませたはずだという歌詞は印象的です。
「言った」「別れた」と断言せず、たぶん言ったはず・きっと別れたはずという印象を受けます。
アニメの劇中では無口なキリコですが、その心はいつも自分の過去や愛する人を思っていました。
はずという歌詞の表現をすることにより、キリコの人間味あふれる一面とシンクロしているような印象です。
常に揺れているキリコの心情を歌ったかのような歌詞は、これ以降も頻繁に登場します。
明日につながる今日ならば
地獄を見れば 心がかわく
たたかいは あきたのさ
さだめとあれば 心をきめる
そっとしておいてくれ
明日に ああ つながる 今日ぐらい
出典: 炎のさだめ/作詞:高橋良輔 作曲:乾裕樹
キリコが置いてきた過去は何だったのでしょうか。
そこには親しい仲間もいたかもしれません。
過去のトラウマが地獄となって今も襲い掛かり、心をかわかしていきます。
なんのために戦うのか、ずっと問いかけながらも、明日が来る今日と分かっているのならそっとしておいてほしいのです。
キリコの地獄のような戦いの日々は続きます。
戦いに飽きたとしても、戦いの定めからは逃れることができません。
異能者と判明したキリコ自身もそれは分かっているのでしょう。
彼は傭兵です。戦えと言われれば戦いますし、誰かが襲ってきたのなら返り討ちにします。
だから戦うときには気持ちを切り替えプロとして心を決めることが可能です。
そんな風に心を決めなければならない明日はきっと来ます。
今日が過ぎれば明日は必ず来ることももちろん承知していることでしょう。
だから今日ぐらいはそっとしておいてくれというキリコの本音のようにも聞こえました。
夢の形
くだかれた夢を ひろいあつめて
おれはさすらう あてない旅を
ゆらめく影は よみがえる悪夢
さよならはいったはずだ 別れたはずさ
出典: 炎のさだめ/作詞:高橋良輔 作曲:乾裕樹
夢を拾うというと、とてつもなく壮大な素晴らしい夢をイメージします。
しかしここでは過去の悪夢を含めた、複雑な夢なのです。
当てのない旅をさすらえば、拾い集めた夢の中からいろいろな形で夢がキリコを襲います。
もしその夢の影が揺らいでいるようなら、かつて味わった地獄を思い出させる悪夢なのです。
砕かれた夢と言う言葉に不穏な空気を感じます。
キリコの夢は一度誰かによって砕かれたのかもしれません。
彼は昔のトラウマにより昔の記憶を思い出そうとすると発作が起こります。
それを考えると、夢の欠片を拾い集めても決して楽しい思い出にはならないのでしょう。
けれどキリコは夢を拾い集めながらさすらいます。
夢の欠片に揺らめく影はキリコの人生や戦いを暗示しているかのようです。
戦いながら悪夢に苛まれる日々を感じられます。
今はこのままで
おまえを見れば 心がひえる
たたかいは あきたのさ
さだめとあれば 心をきめる
そっとしておいてくれ
明日に ああ つながる 今日ぐらい
出典: 炎のさだめ/作詞:高橋良輔 作曲:乾裕樹