2PM?知らなかった…それはまずい!!
K-POPの中堅が意外に知られていない?
古くは「冬のソナタ」のRYUの名曲「最初から今まで」に始まったK-POPブームは、東方神起やRAIN(ピ)など裾野を広げ、重要なカテゴリーに定着しました。もはや"ブーム"ではありません。
中でもここでご紹介する2PMは、デビュー当時のいきさつなどからアイドルグループに分類されることもありますが、圧倒的な歌唱力と精度の高いハーモニーで実力がある本格派ボーカル・グループです。
韓国でのデビューは、公表されている資料によれば2008年ですが、日本での活動は2年後の2010年11月からでした。
PV集とヒストリー映像のDVDとともに、その特典として企画されたライブをいきなり国技館で行う、派手なスタートを切りました。
名曲「一緒に過ごした時間」の凄さ
2PMのアルバムは日本では8枚(リパッケージを除く)発売されていて、最新は2016年4月にリリースされた「GALAXY OF 2PM」です。
出典: http://www.2pmjapan.com/disco/category/?album
「・・・of 2PM」スタイルのタイトルアルバムは、シリーズ化されていて、メンバーそれぞれがソロアルバムを連発している中、全員が集まった企画ものになっています。「Galaxy of 2PM」はネーミングからして、相当に究極の集大成という気合が感じられます。
「一緒に過ごした時間」は、このアルバムのエンディングを飾る、まさにアイコン・トラックです。
作曲はメンバーのジュノ、作詞はジュノにBoAへの歌詞提供で知られる渡辺なつみさんが加わっています。また、作曲/作詞に所属プロダクションのホン・ジサン氏が参加しています。
J-POPのプロデュースの多くが、バンドメンバーの楽曲創作と、そのコンセプトに則って計画されているのに対し、K-POPは日本市場や北米市場でのプロモーションを基本に狙う戦略が取られています。
言葉で言うことは簡単ですが、これを実際に実行するためには、極めて高いレベルの作詞・作曲チームと綿密な計画が立てられるマネージメント能力が必要で、そう容易に実現できるものではありません。
例えば、「一緒に過ごした時間」の歌詞は、一時期を伴にした(学校や地域で)男女が、時間とともに離れ離れになり、再会を信じてお互いを思いやる内容になっています。
これは実は、2PMの日本アリーナツアーの終了タイミングに合わせたアルバム「GALAXY of 2PM」の販売戦略として、「ファンの皆さんとの楽しい時間を胸に、再会を信じています」とも、受け取れます。
作詞の時点から、このタイムラインを意識しながら、しかも“胸を打つ甘いラブソング”にメロディ・歌詞の両方を仕上げる制作能力は、並大抵のものではありません!
MVも音楽とは全く別趣の仕上がり!
一般的に、MVは曲想にあった風景やドラマの一シーンの中で、アーティストがその歌を唄う演出が好まれます。
まず、主役であるアーティストをどういうシチュエーションに置くかで、曲のイメージとシンクロさせることが、プロモーションとして無難だからです。
「一緒に過ごした時間」ならば、学校か職場かにモデルの男女がいる設定になるはずですが、このMVでは2PMの6人が楽しそうにくつろいでいるシーンが続くだけ。
アメリカ西海岸によく似た沖縄古座の風景の中に、リラックスした2PMのメンバーが、それぞれお気に入りのスタイルで時間を過ごしている…。それが、トロット・バラードのリズムにぴったり!
MVの場合、リズム頭ビートにカットのタイミングを合わせないことが求められます。リズムで画面を追っている視聴者に、映像より音楽に神経を集中してもらうためです。
このMVではものすごく早いフラッシュカットのほとんどがビートの間で、どのカットも「メンバーのプロマイド」になっています。
トロット・バラードの曲想を損ねないよう、スロー処理にしてある気配りも、こころ憎いばかりです。
2PM 『一緒に過ごした時間』MV Full Ver. - YouTube
2PM 『一緒に過ごした時間』MV Full Ver.
圧倒的な歌唱力が全メンバーに
全員がリードボーカルを取れる!?
コーラスグループで、ハーモニーを主としたバンドは数多くありますが、リード・ボーカルが次々に入れ替われるほど、声色・音程がしっかりしたグループは、そう多くありません。
例えば、バックストリート・ボーイズやアミーアなど、複数のリード・ボーカルが立つ曲があるものの、メイン・ボーカルのスタッツは明らかで、他のメンバーはハーモニーに回っています。
2PMは違います。
「一緒に過ごした時間」のパート分けを見てみましょう。
Jun.K=Ju、ウヨン=W、チャンソン=C、で表記します。
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目が合うたび 笑顔になる=J
手と手握り 歩くたびに=J
一歩 一歩 その足跡=J
胸に残る 思い出さ=J
目の前 開いていた=C
分かれ道の前 向き合って立っているよ=C
もう時間はないけど いつか笑いながら会える=C
僕たちが一緒にいた時間は美しい=W
僕たちが一緒にいた その記憶=W
消えはしないよ=W
出典: 一緒に過ごした時間/作詞:Lee Junho、Hong Jisang、Natsumi Watanabe 作曲:Lee Junho、Hong Jisang