彼の居ない虚無感を歌う「依存症」
今やそのキャラクターの存在感で、音楽業界でも独自のポジションを欲しいままにしている椎名林檎。
女性歌手としては過激な表現に、ロックな楽曲。
デビューから20年、一貫したスタイルがその地位を実現させていることは明白ですね。
今回はそんな彼女の作品の中でも、比較的初期のものを紹介します。
アルバム「勝訴ストリップ」より
今回紹介するのは、2000年3月31日にリリースされた椎名林檎の2ndアルバム「勝訴ストリップ」の最後を飾る1曲「依存症」です。
この曲、歌詞の中に海に身投げしようとする箇所が登場するのですが、楽曲内容もイントロからその世界観を演出しています。
浮遊感のあるギターアルペジオに、水中に居ることを彷彿とさせる泡の効果音。
それに続いて始まる、儚げに歌うメロ部分。
サビのメロディも、それ自体はあまり抑揚のあるものではないのですが、歌の表現力と、バックの迫ってくるような音圧が独特の盛り上がりを実現させています。
そして何より、アウトロが3分近くもあるという斬新なアレンジ。
実際は歌われていた?歌詞の空欄は…
「依存症」の歌詞には、意味深な空欄が登場する箇所があります。
それは1番のAメロで登場するこの部分。
シヤーベッツのロゴが溶けている 黄色い車の名は「 」
出典: 依存症/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
シャーベッツとは、浅井健一がヴォーカルを務めるロックバンドのことでしょう。
問題の箇所は「黄色い車の名は」の後の空欄部分。
「名前がまだ決まってないのか?」とか「無名、No Nameみたいな名前なのか?」とかいろいろと想像しましたが、真相は過激な表現が売りの椎名林檎らしい理由でした。
歌詞カードの「 」で空白になっている部分には、当時の椎名の愛車であったメルセデス・ベンツの愛称「ヒトラー」と入るが、これが問題となって自主規制でプロモーション用のサンプル盤が回収された。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/勝訴ストリップ
なんと、彼女は自分の愛車にドイツの元首相ヒトラーの名前を付けていたのですね。
この名前が自主規制になった理由は、もうお察しの方も多いかと思いますが、気になる方は検索してみてください。
ちなみに、この名前に特に意味はなく、当時彼女がドイツ語の名前を付けることにハマっていただけだそうです。
PV集「性的ヒーリング~其の弐~」にも
そんな自主規制を受けてしまった名前を持つ椎名林檎の愛車ですが、2000年8月30日にリリースされたPV集「性的ヒーリング~其の弐~」で実物が登場するんです。
登場シーンはもちろん「依存症」が流れるエンドロール部分。
歌詞にも映像作品にも登場させる辺り、彼女の愛車への思い入れの強さが伺えますね!
PV集の内容は、人気曲の「ギブス」「罪と罰」などを含んだ5曲と、パロディCM、エンドロールなども見られるバラエティに富んだもの。
是非チェックしてみてください!
「依存症」の歌詞を独自解釈!
椎名林檎の楽曲は、そのキャラクターも相まってか、難解な内容の歌詞が多く見られます。
「依存症」の歌詞も例によって難解です。
ここでは、その歌詞をなるべく解りやすく解釈してみました!