いよいよサビです。
この曲は令和になる前に作られているので、平成という言葉が登場します。
伝えたい主旨は、今この瞬間、時代を共有して謳歌しようということ。
偉大なる歴史的な先輩、そして才能に関しては矛盾する2つの解釈ができたわけですが、それすらも既に過去の話。
このように世の中は常に移り変わり続けるものであるというのが「無常」の考え方です。
それを実際に歌詞でもサウンドでもサスフォーは実践しているということ。
これこそものすごい才能!と打ち震える件も、既に終わっています。
問題提起しつつ執着はしていません。
作詞も作曲も演奏も超高度なテクニックが駆使されているわけですが、こだわらずに飄々と踊ったもの勝ち。
過去でもなく未来でもなく、今を楽しもうということですね。
2番の歌詞をチェック
優秀ではないのは誰?
死んだって称賛されない
無能で凡人というんだ
想像の育成は怠らずにしてるか
出典: Vanessa/作詞:Kazuki Washiyama 作曲:Kazuki Washiyama
1番が終わりここから2番に入りますが皆さんついてきているでしょうか。
この上なく格好いい演奏をコピーしようとしても、まったくついていけないとざわつかれがちなサスフォー。
実は歌詞も、さらっとわかりやすい言葉が並んでいるようで、読み込むと深い意味が隠されていたわけです。
それでも今はもう2番。
どうやら1番で出てきた過去の偉人については落胆していると解釈するほうが話はつながるかもしれません。
いや、一筋縄ではいかないサスフォーのことですから、油断は禁物。
大先輩に向かって失礼な発言をしているわけではなく、自分たちがこのまま終わった場合の仮定と捉えてみます。
しっかり生きて音楽を続けることに意味があるので、こんなところでくたばるようでは褒められたものではない。
そう言いたいのかもしれません。
ただし、ここでも問いかけがあることを踏まえると、やはりどちらの意味にも解釈できる歌詞なのでしょう。
まるで変幻自在
等身大で平均的
そんな型にはまっているような
下らない持論は
自分を守るための弱音
出典: Vanessa/作詞:Kazuki Washiyama 作曲:Kazuki Washiyama
確かにサスフォーは型破りな存在かもしれません。そしてこの曲の歌詞も。
例えば才能について、もう何も残っていないという心情を吐露しながら、逆に自信満々にもなっていました。
名だたる切れ者を称賛しているのか、否定的に捉えているのかもはっきりしないままです。
まるで自分自身を大きく見せることも小さく感じさせることも、変幻自在と言わんばかり。
とても素晴らしいことを語っているようでもあり、反対に顔をしかめたくなるような問題発言にも聞こえます。
まるで100点か0点のどちらか。
要するに、ありきたりな状態はとにかく避けたいことが伝わってきます。
なぜなら両極端ではない中間層を選ぶという考え方は保身にすぎないから。
サスフォーはありがちな路線を狙わず派手にぶちかますといった感じです。
実際センチメンタルになることはなく、強気を押し通しています。
ラストのサビはこちら
命がけで歌おう!
さあ歌え 生を受けて
死んだって何かが残るように
出典: Vanessa/作詞:Kazuki Washiyama 作曲:Kazuki Washiyama
とうとう迎えた最後のサビ。
ここではもう歌うのみです。
サスフォーは歴史に爪痕を残すべく、まさに命がけで音楽を生み出していると考えられます。
時代の最先端はいつも今この瞬間。
はるかなる進化の果てに生まれた最新型モデルが、今の私たち人間です。
そして例え誰かが亡くなっても、命の営みそのものは続いていきます。
そう意識してみると、今こうして生きることのありがたさを強く実感しやすいかもしれません。
そんな今ある命を祝して、拍手をしながら音楽を奏でるというわけですね。
その先にあるもの
この最前線 無謀の果て
さあ手を叩け
出典: Vanessa/作詞:Kazuki Washiyama 作曲:Kazuki Washiyama
結局、この歌詞の主人公がワシヤマさん自身だったのかどうかは明らかにはなりませんでした。
むしろ身の丈サイズのワシヤマさんのイメージにはあまりこだわらないほうがいいかもしれません。
確かにこの曲は、サスフォーというバンドの音楽に対する姿勢が描かれているかのような歌詞でした。
しかし、意味は1つだけとは限らず、想像力を働かせることが大切!
つまりこの曲の主人公はあなたです。
そうやってリスナーそれぞれの物語が様々に紡がれていくことが、サスフォーの思い描く未来かもしれませんね。