元REOLのお菊が制作
REOLの活動初期から追いかけているというTeddyLoidの強い希望があったのでしょう。
「Winners feat. Reol & Giga」のMVは元REOLのお菊が制作しています。
そしてこの曲はアニメ「ファイトリーグ ギア・ガジェット・ジェネレーターズ」の主題歌。
TeddyLoidが音楽監修するスマホアプリのゲーム「ファイトリーグ」のアニメ化作品です。
ゲーム設定のCGアニメーションはお菊の得意分野でもあります。
言葉が飛び交う斬新な演出
お菊の巧みな演出がもっとも顕著に表れているのが歌詞の表現方法です。
おそらくReolの歌詞がもっとも視覚にインパクトを与える方法を心得ているのでしょう。
ユニット時代の「ちるちる」のMVで見せたような実験的な詞の見せ方がさらに研ぎ澄まされています。
ラップの一言一言がまるで敵の攻撃のように襲いかかって来るような演出。
ゲームのコマンド内、必殺技の打撃音など様々な手法で言葉が暴走していく様が圧巻。
技法に頼るのではなくあくまで楽曲の世界観をもっとも伝えやすい形を模索した様がよく分かります。
最後に勝ち取るのは勝利
TeddyLoidは「SILENT PLANET」を締めくくる楽曲としてあるテーマ設定を提示しました。
それが「最後に勝利を勝ち取る」ことでした。
Reol、Giga、お菊が合流し一緒にラスボスを倒しにいくという設定はMVにも活かされています。
勇者は最初一人きりで果敢に敵に立ち向かい、あえなく敗れ去る。
そこに徐々に仲間が加わっていきますがボスの力はあまりに強大。
しかし三人の勇者は各自の特性を活かし手を取り合いながら最後にラスボスを倒します。
MVのラスト、高らかにかざされた勝利のフラッグにはTeddyLoidのマーク。
これらの物語がReolの歌詞、TeddyLoidとGigaが共作したビートとシンクロしていくのです。
壮大なプロジェクトを締めくくるのにこれ以上のMVは考えられないでしょう。
パワフルな歌声!Reol作詞の歌詞を紐解く
「Winners feat. Reol & Giga」を聴いた方はお気づきでしょうか。
Reolの歌声がいつになく力強いことに。
彼女は歌入れの翌日に39度の熱を出すほど歌に魂を込めています。
さらに重層的なサウンドを活かすためにサビには5つのテイクが重ねられています。
なぜReolはそこまでの熱量を1曲のためにかけることができるたのでしょう?
負け犬は吠えて覆す
Want to be
Winner Winner Winners
負け犬吠えて覆すのさ
聞こえるだろ?
dear Winners
出典: Winners feat. Reol & Giga/作詞:Reol 作曲:TeddyLoid,Giga
TeddyLoidから提示されたテーマは「最後に勝利を勝ち取る」物語。
Reolは自らの自信のなさを”劣性遺伝子”と自嘲しています。
そこで”負け犬だけど負けたくない”という気持ちを歌詞に込めたのです。
学歴・年収・肩書などが全て”勝ち負け”の価値観で判断される社会。
日本はグローバルスタンダードからは残念ながら取り残されています。
”負け犬の烙印”を押された者には這い上がる選択しか残されていません。
だからこそ”勝ちたい”とファーストバースでReolは吠えます。
嘲った者全てに聞こえるほどの力強い声で”覆してやるよ”と叫ぶのです。
この一瞬を生きる
狂ったみたいに夜な夜な唱える異議
なぜ?お医者様は不在
流動性 君の視線
今だけこちらに頂戴したいんだ
ノーセンキュー、ナンセンス
もっと欲しがれ
命は勝ち負けじゃない
ときめかない瞬間が大嫌い
出典: Winners feat. Reol & Giga/作詞:Reol 作曲:TeddyLoid,Giga
「Winners feat. Reol & Giga」をプロジェクトのラストにした一番の意義。
それは20代のリアルな人生観を突き付けたことではないでしょうか?
”ときめかない瞬間”への嫌悪感はReol世代の代表的な価値観です。
過去の負債のために未来を夢見ることができない世代。
ロスジェネと称された世代が楽観的に見えるほど彼女たちの状況はシリアスです。
だからこそ”今”を大切に生きる。
彼女たちの異議をまともに聞くことができる大人は少数派です。
お医者様でも政治家でも教師でも変わらない。むしろ価値観が真逆かもしれない。
”今この瞬間”を一義にすることは未来への絶望ではありません。
大切な人生の瞬きを一秒たりとも無駄にしないこと。
それこそが”最後に勝利を勝ち取る”唯一の手段なのです。