大人になってくるとなぜか
素直になるのが難しいね
僕も同じと微笑んで
泣けばいいよと言ってくれた
出典: MILK/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
主人公の苦しそうな様子を、隣でじっと見守っている彼の友人。
普段、私たちは解決策の中で生活しているように思うのです。
精神的にも物理的にも、困ったことに対して解決することが良いと考えることが多いです。
でも友人は無理にアドバイスすることをせず、彼の落ち込みを全て受け入れてくれました。
この包み込むような優しさは、すごくゆっくりと、でも確実にハートに届く優しさだと思うのです。
何が辛いのかもわからないくらい辛い時があります。
きっと友人は、主人公が頑張りすぎて自分が見えなくなっていることがわかったのでしょう。
「君はそのままでいいんだよ」と友人は言ってくれているようです。
ほっとする
主人公はどう頑張っても抱えきれない苦しみを、友人に助けてもらおうとしました。
でもいざその時になると、彼は自分を上手くだせません。
こんな時、頭の中で何を言おうか思考がぐるぐる回転してしまいそうです。
「自分より苦労している人がたくさんいるのはわかってる。」
「自分が甘ったれているのはわかってる。」
そんな風に、彼は言い訳をしたくなったかもしれません。
でも彼の友人がそっと背中に触れた時、自分を守っていた鎧が一気に溶けたのでした。
彼は愚痴を聞いてもらいたかったのではなくて、本当は泣きたかったのだと思うのです。
親友の優しさに触れて、やっと彼はありのままの自分になれたのでしょう。
子供の頃
小学校の思い出
黒いランドセルにボロボロの
勇気と正義をつめこんで
泣きそうにドアを開けたらすぐ
机の下ひざをかかえてた
出典: MILK/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
主人公は子供の頃の心細かった出来事を思い出します。
彼は子供の頃、いじめられていたのかもしれません。
その理由は、学校の教室でひざをかかえている姿が悲しそうだからです。
彼は、勇気を振り絞りやっとの思いで登校していました。
それなのにその想いは報われることなく、下を向かざるを得ない状況なのです。
真意はわかりませんが、子供の緊張感と周囲に馴染めていない感じ伝わります。
繊細で感じやすい子供だったのではないでしょうか。
彼の今の辛い想いは、子供時代とかさなっているようです。
昔も今も、折れそうな心を必死で守って、耐えていたのですね。
励ましの言葉
「男は簡単に泣くんじゃない」
暖かいミルクをくれた笑顔
誰かによりかかり
いつの間にか眠った頃がなつかしい
出典: MILK/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
主人公の子供の頃の記憶から、現代に時間が戻ります。
彼の友人が、ホットミルクを作ってくれたのでした。
彼が励まされた言葉がここのフレーズにでてきます。
ストレートに「頑張れよ!」と言わないところが、より心に刺さる言葉なのではないでしょうか。
友人は、主人公を存分に泣かせておいて「男だろ!」と彼を一喝しています。
もちろん怒ってはいません、むしろ笑顔です。
友人は彼の弱さを肯定した上で、敢えて「男は強い」という一般常識をジョークでいったのだと思うのです。
彼が頑なな気持ちのときは「泣いていいよ」と言い、彼が泣いているときは「強くなれよ」と励ます。
彼がどうやったら元気になるか心得ている、お医者さんのようですね。
友人の優しさにしみじみ感動してしまいます。
取り戻して
泣いた後は
自分と違うことをしてる
人をうらやんだりしたけど
やっぱり僕は僕だから
ダメな自分も好きにならなくちゃ
出典: MILK/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之
主人公は少しづつ自分を取り戻してきました。
もうここまできたら大丈夫でしょう。
どんな状況でも、顔がどの方向に向いているかで今後が変わってくるのではないでしょうか。
友人のお陰で、彼は下を向いていた顔を前に向けることができたのです。
また今までのように上を向くのは時間の問題でしょう。
主人公の魅力はこの素直さと繊細さにあるのではないでしょうか。
きっと友人も、彼のそんなところが大好きなのだと思います。
だから夜に駆け込んできても、優しく受け入れてくれたのでしょう。
主人公も元気になってよかったですね。