生き急ぐ主人公
君の声が 君の声が
頭かすめては焦る
こんなままじゃ こんなままじゃ
僕はここで息絶える
出典: 青春病/作詞:藤井風 作曲:藤井風
ここでは主人公の焦燥感が表現されています。
青春という時代特有の生き急いでいる様子を表現しているのでしょう。
「君」というのが恋人なのか友人なのか分かりませんが、彼が好意を寄せていることは間違いありません。
その存在が彼を生き急がせていることが分かります。
このままでは自分という存在が無くなってしまう。
それはアイデンティティを喪失するような体験なのでしょう。
今のままでは自分が自分でいられなくなってしまうと、気が気でない様子です。
いつの間にか夜になった
止まることなく走り続けてきた
本当はそんな風に思いたいだけだった
ちょっと進んでまたちょっと下がっては
気付けばもう暗い空
出典: 青春病/作詞:藤井風 作曲:藤井風
彼は今までずっと走り続けてきたと自分では思っていました。
しかし、実はそうではなかったと気が付いたのでしょう。
焦燥感に駆られた先で冷静になった彼は、自分が実はそこまで前に進んでいなかったことに気付かされます。
冷静になって周りを見渡せば、もう空は暗く夜になろうとしているのです。
空が暗いということは今までの時間が終わろうとしていたり、変化していたりすることを意味しているのでしょう。
もう青春時代が終わろうとしているということを表していると考えられます。
自分と対峙する主人公
そうか 結局は皆つながってるから
寂しいよね 苦しいよね
なんて 自分をなだめてるヒマなんて無かった
出典: 青春病/作詞:藤井風 作曲:藤井風
ここでいう「つながり」というのは仲間たちとの友情を意味しているのでしょうか。
このつながりによって、彼は今まで自分自身の心情と向き合う暇もなかったのかもしれません。
しかし今、自分と対峙しているのでしょう。
それは先述までのパートにおける彼の青春時代と大人の狭間にいることで生じている葛藤が原因と考えられます。
自分自身について考えた結果、現実に直面し冷静さを取り戻そうとしているのでしょう。
変わっていく主人公
青春の衝動
止まることなく走り続けてゆけ
何かが僕にいつでも急かすけど
どこへ向かって走り続けんだっけ
気付けばまた明ける空
出典: 青春病/作詞:藤井風 作曲:藤井風
自分の中の何かによって突き動かされている主人公。
これも青春時代のどこか向こう見ずで衝動的な状態を指しているように感じられます。
何によってそうなっているのかは分からないけれど、ただ身体が自分を前へと進ませる。
そんな状態がずっと続いていることに対して、疑問を感じながら日々の生活をしているのでしょう。
疑問を持っても次の日が来て、結論が出ないまま毎日を過ごす。
青春によって突き動かされていることに自覚的になりながらも、まだ彼はそのままでいるのです。
大人になっていく
無常の水面が波立てば
ため息混じりの朝焼けが
いつかは消えゆく身であれば
こだわらせるな罰当たりが
出典: 青春病/作詞:藤井風 作曲:藤井風
ここでは無常という言葉からも分かる通り、全ては変化するものであるということを表現しています。
青春がいつかは終わっていくということを自覚して、それを肯定しているのだと考えられるでしょう。
青春は終わっても良いし、終わらせないようにしなくても良い。
主人公は今、そう思っているのでしょう。
ここでは彼の大人としての面が強調されているのを感じます。
若さを持っていた彼が、朝を迎えることで大人へと変わっていく様子を表現しているのでしょうか。