日暮れはいつも淋しいと
小さな肩をふるわせた
君にくちづけしたと時に
やさしくゆれた白い白いぶらんこ
出典: 白いブランコ/作詞:小平なほみ 作曲:菅原進
公園のブランコは子供たちにも人気の遊具。順番待ちをしている場合もあります。
子供たちを無視してブランコを占拠してしまうのは問題です。
でも安心してください、2人がブランコにゆれている時間はもう子供たちがお家に帰る時間帯。
夕暮れ時の静寂を取り戻した公園にはブランコに並ぶ子供たちの姿はもうありません。
静けさの中で淋しさを口にした君。愛おしくて僕は思い切って愛を伝える行動に出ました。
ブランコのゆれる優しい空気が2人を包みます。優しさの中で育まれていく2人の愛。
ロマンに満ちている「白いブランコ」の歌詞世界は、愛の原風景を思い起こさせてくれます。
季節が変わっても続く愛
夕暮れ時が似合う季節は日没が早くなる夏の終わりから秋。
季節は気温が段々と低くなる秋から初冬に移ります。冷たくなる空気と反比例するように温かくなる2人の心。
恋が育ちやすい季節を「白いブランコ」も知っていたのでしょうか。
心も温めて
君はおぼえているかしら
あの白いブランコ
寒い夜に寄りそってゆれた
あの白いブランコ
出典: 白いブランコ/作詞:小平なほみ 作曲:菅原進
君に問いかける『あの』ブランコの思い出は季節が進みました。
その時は恋が順調に続いていたことも分かります。
夕暮れを過ごした秋から初冬そして冬を迎えました。
キーンと冷たい空気と澄んだ寒空には星も見えているのでしょうか。
寒いと分かっていても2人はいつもの公園の『あの』ブランコにゆられていました。
その時は確かに寒さを感じていたけれど、心の中は寒くありません。
冷え切った空気が思い出になってゆっくりと心に戻ってきます。
心にいつも好きな人がいれば…
忘れられないあの日交わした言葉
誰でもみんなひとりぼっち
誰かを愛していたいのと
冷たいほほを寄せた時に
静かにゆれた白い白いブランコ
出典: 白いブランコ/作詞:小平なほみ 作曲:菅原進
歌詞は冷たい空気の中で過ごす2人の心の扉を静かに開けました。
ゆれるブランコの2人の恋…2人の心の温度は同じでは無いようです。
君がそっと独り言のように恋への不安を口にします。恋に対する不安は好きだからこそ起こること。
好きという言葉を信じているけれど、独りになると急にそれが嘘に思えてきます。
嘘じゃないよねなんて確かめる勇気は持ち合わせていません。
君と僕の間にある好きという気持ちの中でゆれていた君の心。
それでも君はいつも好きな人が心の中にいることを望んでいました。
好きな人・気になる人が心にいるということはその人の幸せを願うこと。
次に会う約束も2人の心を温かくつなぎます。
でも恋に憶病になってしまうあまり下を向く君。
自分の恋に自信が持てないのは優しい君だから?それとも弱気な僕だから?
2人の心の温度を同じ温かさにするために、僕の温もりを君に贈りました。
僕が君が好きという思いが嘘ではないことを信じて欲しいのです。
僕の好きという気持ちで君の心にある不安をすべて消すことが出来たのでしょうか?
君の心の中のゆらぎはまだ止まっていないようです。
2人を包む空気は音のない世界でゆれ続けます。
恋の最終章は…思い出の中
初恋ならなおさらですが2度目の恋だってすべてが上手くいくとは限りません。
恋が上手くいかない原因は星の数ほどあります。
自然消滅という終わり方だって…。
「白いブランコ」にゆれる2人の恋は最終章を迎えます。果たしてその結末は…。
恋の終わりを見届けて…
僕の心に今もゆれる
あの白いブランコ
幼い恋を見つめてくれた
あの白いブランコ
出典: 白いブランコ/作詞:小平なほみ 作曲:菅原進
歌は終わりに近づくにつれ切なさが深まっていきます。恋はもう思い出…2人の恋は終わりました。
『あの』白いブランコは過去の映像として描かれています。
2人の恋を見守るようにゆれていたブランコはもう思い出の中にしかありません。
慣れない恋に2人がゆれていたブランコ。
人を好きになるという思いがとても新鮮でうれしい反面どこかそれに素直になれない…。
恋愛の中にいる多くの人がそんな思いを抱えています。
歌詞の中に2人の恋が終わった理由は出てきません。それを追求する必要も無いのです。
何色にも染まる「白」もありますが、いつまでも染まらない「白」もあります。
白い心のままで終わった2人の恋が、どのような恋だったのかを知っているのは「白いブランコ」だけです。