秦基博【エンドロール】
初のEP盤に収録された隠れた名曲
2006年にメジャーデビューし、優しい歌声と繊細な歌詞で人々の心を掴んできた秦基博。
そんな彼が発表した初のEP盤【エンドロールEP】に収録されている、【エンドロール】が今回ご紹介する楽曲です。
EPとは、収録されている曲数が通常のアルバムよりも少ないCD。
いわゆる「ミニアルバム」のようなもので、【エンドロールEP】には全6曲が収録されています。
その中の1つに収録されている【エンドロール】は切なく、悲しいバラード。
大切な人を忘れられない…そんな時に聴けば涙がきっと止まらなくなるでしょう。
冬の季節にぴったりなこのラブソングの世界をどうぞお楽しみください。
【エンドロール】が描く物語
別れた人との思い出を振り返る
この楽曲の主人公は、別れた恋人を忘れられない男性です。
季節は冬。かつて恋人と過ごした季節で、男性は1人立ち止まったまま。
男性の心には、未練と後悔がたくさん詰まっているのです。
なぜ男性と恋人は別れることになってしまったのでしょうか?
歌詞を紐解いていきましょう。
押し寄せてくる後悔
思い出の場所
シャーベット 都会の雪は すぐに融けて消えてしまうんだ
あっけないラストシーン いつか君と歩いてた道
冷たく 濁ってく アスファルトは後悔の色
僕には ただひとつ 小さな温もりも守れなかった
出典: エンドロール/作詞:秦基博 作曲:秦基博
それでは早速、1番の歌詞を解説していきましょう。
かつて主人公の男性が恋人と過ごした都会の街には、雪が降り積もります。
男性は、もう既に恋人と別れた後。
思い出の地に恋人はおらず、男性は1人きりでその街を歩いています。
みなさんも経験があるかもしれませんが、恋人と別れたばかりの頃はどこもかしこも思い出だらけで辛くなってしまうもの。
そのため、幸せだった頃の思い出に溢れた街を歩いていると、男性に大きな後悔が次々に押し寄せてきたのです。
ここの歌詞で後悔の象徴になっているのは、融けた雪とそれによって濡れたアスファルト。
綺麗で美しいはずの雪景色の中で、それを汚してしまう唯一のものなのです。
後悔の中身
ねぇ いつもなんで 僕はどうして 肝心なことだけが言えないで
ねぇ 今になって もう遅いって ずっと あの日のままで
君はいない ひとりきりの街で 舞う雪を見ていた
出典: エンドロール/作詞:秦基博 作曲:秦基博
ここで、男性が抱える後悔の中身が明らかに。
1行目から男性はかつての恋人に愛情を十分に伝えられなかったということが分かります。
きっと別れたのもこれが理由なんでしょう。
特に男性は愛情をなかなか口にはできないもの。
日常での何気ない言葉や時には喧嘩して相手を傷つける言葉は言えても、「大切だ」と想っている気持ちは伝えなかったのです。
それに今になって男性は気づきましたが、後悔先に立たず。
恋人は自分の元を去ってしまい、綺麗な雪景色を一緒に見ることはできなくなってしまいました。