突然未来に来てしまった主人公はパニックに陥ります。
誰だっていきなり知らない場所に来てしまったら焦ってしまうものです。
混乱状態になってしまった彼女は、またもやシュールな行動にでます。
それは引用部分の2行目の歌詞に書かれている内容。
なんで!?と思わずツッコミをいれてしまいたくなる気持ちに駆られます。
でもここは考えてはいけません。
そういう世界観なのですから。
めちゃくちゃシュールな光景を受け止めましょう。
しかし普通なら辺りをウロウロするか、その場で立ち尽くしてしまうという感じになりそうですが…。
何を思ってそんな奇行をしようという考えに思い至ったのでしょうか。
未来の自分の家族に会う
この時代の君に会えたら
多分帰る方法がわかるだろう
彼は粘着質に私の家を調べ出し
訪ねるとそこには私の孫が住んでいた
出典: クワガタにチョップしたらタイムスリップした/作詞:家の裏でマンボウが死んでいるP 作曲:家の裏でマンボウが死んでいるP
クワガタをチョップするという奇行に出た主人公はたまたま出くわした警察官と楽しい会話をします。
その結果、未来の自分や家族に会うという話になりました。
歌詞3行目の言葉に少し違和感がありますが、そっとしておきましょう。
それよりも未来の自分に会えばこのシュールな状況も脱出することができるかもしれない。
そんな期待を込めて警察官に調べてもらう主人公。
警察官のおかげで家族(孫)の場所が判明しました。
少しだけ問題が解決できるかもしれないと小さな期待を抱えながら主人公は孫の元へ向かいます。
未来の自分の現状を聞いてしまった
「この時代のあなたはここにいます」と
連れて行かれた先は病院
余命一カ月と言われて今日でちょうど
一カ月になるんです
出典: クワガタにチョップしたらタイムスリップした/作詞:家の裏でマンボウが死んでいるP 作曲:家の裏でマンボウが死んでいるP
孫とも楽しい(?)会話を繰り広げた後、未来の自分が今どうしているのか聞かされます。
話を聞くと余命最終日とのこと。
未来にきて自分の死ぬ日が分かってしまうという結構ショッキングな展開になります。
この時主人公は何を思ったのでしょうか。
普通なら結構重く捉えてしまいそうになります。
いきなり未来になんて来てしまってそこまで頭が回っていないのかもしれません。
しかしこの楽曲の主人公なら。
もしかしたら何も考えていないのかもしれません。
パニックになってクワガタにチョップをする主人公ですから。
実際に未来の自分を会って…
やせ細った老人の顔は
それでも自分だとわかって
未来の自分はこの時を
待っていたかのように喋り出す
出典: クワガタにチョップしたらタイムスリップした/作詞:家の裏でマンボウが死んでいるP 作曲:家の裏でマンボウが死んでいるP
孫に言われるままついてきた主人公は未来の自分と対面します。
老人になっても自分だと分かってしまうあたり、少し怖い所もありますね。
また歌詞引用部分の「この時を~」の部分。
ひょっとすると未来の自分も若い時に未来にきていたのではないかと考えられます。
自分が未来で聞いてきた言葉を過去から来た自分に伝える。
それだけ主人公にとって印象的な言葉だったのでしょう。
そして、過去からきた自分にも伝えたい言葉になった。
未来の主人公は最期の力を振り絞って言葉を紡ぎます。
どんな言葉を過去の主人公に伝えたかったのでしょうか。
自分の死ぬ運命よりも伝えたかったこと
今すべて教えればきっと
今日死ぬ運命さえ変えられるだろう
でも私が語るのはたった一つ
出典: クワガタにチョップしたらタイムスリップした/作詞:家の裏でマンボウが死んでいるP 作曲:家の裏でマンボウが死んでいるP
未来の自分は死ぬ間際にゆっくりと語ります。
過去の自分に歩んできた人生を教えれば未来を変えることができるでしょう。
自分が死ぬ運命さえも。
今ここで、自分が過去の自分に色々助言してやればひょっとすると死ななくてすむかもしれません。
いわば未来の自分にとって死ぬか生きるかの最終選択です。
しかし引用歌詞の3行目で「でも」がついていますね。
未来の自分は過去の自分が死ぬ間際に来ることを知っていながらも助言をするという選択を選ぶことはありませんでした。
未来の自分は自分が死ぬことと引き換えに過去からきた自分に何を伝えたかったのか。
「これから君は何度でも
何度も何度も後悔し
何度も何度も傷ついて
何度も何度も泣くだろう
でもその一つ一つ
噛み締めて時が経つほど
いつの日か熱を帯び
手放しがたくなるから
何も知らずに帰りなさい
私はちゃんと幸せだ」
出典: クワガタにチョップしたらタイムスリップした/作詞:家の裏でマンボウが死んでいるP 作曲:家の裏でマンボウが死んでいるP
未来の自分が伝えたかった言葉。
それはすごくぼんやりとしていて曖昧な言葉でした。
ただ分かるのは死ぬ間際になりながらも「幸せ」だと言える人生を送ったこと。
未来の自分は運命を変えずにそのまま亡くなってしまいます。
亡くなってしまう事と引き換えに幸せだった人生を過去の自分に送った。
自分が生き延びるよりも輝かしくて充実した人生だったのでしょう。
歌詞最後の言葉に隠された意味は?
熱を失う老人に
こぼした涙がクワガタに
触れるや否や瞬いて
いつもの風景に包まれた
まだ青い空の色
出典: クワガタにチョップしたらタイムスリップした/作詞:家の裏でマンボウが死んでいるP 作曲:家の裏でマンボウが死んでいるP
主人公は、無事に過去に帰ってきます。
死に際の自分の言葉を持って帰って来た主人公は何を思うのでしょうか。
未来では何の色味もなかった空。
過去に帰って来たことで再びいつも見慣れた空に包まれます。
見慣れた空には、自分が今生きている時間に戻ってこれた一つの証明。
また最後のフレーズを何回も繰り返し歌っているのも印象的です。