加山雄三【蒼い星くず】歌詞の意味を徹底解釈♪ひとりで見上げた夜空に何を見た?離れてもいても君が好きの画像

君と別れたあの夜 
思い出させる星空
君の星は あんなに蒼く
どうして今宵は うるんでうるの

出典: 蒼い星くず/作詞:岩谷時子 作曲:弾厚作

別れの日を思い出させる夜空。

見上げながら、主人公は今宵、彼女のことがいろいろ想い出されるようです。

あの日のこと

彼女と別れたのは、夕方若しくは夜だったのでしょうか。

人の記憶というのは不思議で、必ずしも事実とイメージが一致していないこともあります。

実際に別れ話をしたのは昼間であっても、全てが終わってしみじみと見上げた夜空が別れの印象となっていることも。

場合によっては、別れを受け入れることに決心がついた時の光景が残っていたりします。

主人公が彼女と別れた時のイメージは、星の輝く夜。

暗いけれど澄み切った空に輝く星は、別れの辛さと未来への希望を表すようです。

真っ暗な中に輝く頼りない光。

それはこれから先の世界を表しているようで、不安と少しの望みの象徴に感じられます。

仕切り直しのようなあの夜と同じ夜空が、主人公を思い出の世界に誘っています

どうしているかな

ふとした時に、別れた人のことを思い出すことがあります。

彼女、彼はどうしているのかな、と。

別れたあの日に見上げた夜空に良く似た空を見上げながら、主人公は彼女のことを思い出しています。

あの日、あれはまるで自分と彼女のようだと感じた二つの星。

普段は気にすることもない「彼女」の星が今宵はなぜか憂いを含んでいるように見えます。

昨日までは、あっけらかんと明るく輝いていた彼女の星。

今宵の彼女は影を持ち、なんだか泣いているような。

もしかして、彼女は今頃、何か辛い思いをしているのだろうか。

主人公のことを同じように思って、あれこれ後悔しているのではないだろうか。

主人公の男性は、予感のような、独りよがりのような胸騒ぎを感じています。

僕は変わらないよ

加山雄三【蒼い星くず】歌詞の意味を徹底解釈♪ひとりで見上げた夜空に何を見た?離れてもいても君が好きの画像

風よ伝えてよ あの娘に
遠く離れていようと
僕の想いは 変わらない
どうぞ 泣かないで

出典: 蒼い星くず/作詞:岩谷時子 作曲:弾厚作

まるで泣いているかのように、うるんだ彼女の星。

星の向こうにいる彼女に向けて、主人公は想いを伝えます。

離れていても

離れているのは実際の距離でしょうか、それとも心の距離でしょうか。

この曲が生まれた1960年代は、交通網が今ほど発達していません。

インターネットやラインがあるわけでもないので、自宅の電話や手紙が通信手段。

愛し合っていたとしても距離が二人を阻むということもあり得た時代です。

今であれば、簡単に乗り越えられたことが、別れの原因になることも。

嫌いとか、嫌になったではなく、仕方なく別れを選ぶということもあったかもしれません。

諦めから別れを選んだ二人なのであれば、まだどこかで形を変えながら繋がっていることもあります。

一緒にはいられないし、幸せにはしてやれない。

でも、あなたのことを思っているし幸せでいて欲しいと思っているよ。

主人公と恋人の切ない恋の第二章を、星に託しているのかもしれません。

別れのとき

主人公の恋人だった彼女はどんな女性だったのか、なんとなく気になります。

主人公が、自分とは違う星に準える彼女。

普段は気丈な彼女だからこそ、うるんで見える今宵がなんとなく心配になる。

そんなところから、彼女はしっかりとした強さを持つ女性であるように感じられます。

別れの場面でも、感情的に別れてしまったのではなくしっかりと未来を模索した上で結論を出したでしょう。

主人公の良い部分、そして足りない部分も含めきちんと熟考できる女性。

主人公はそんな彼女をきちんと尊重し、理解しているよう。

二人の別れは行き当たりばったりではなく必然であった。

そして、別れなければならない二人でも出会うことには大きな意味があった。

人間同士としての深い心の結びつきが二人の間にはあるようです。

離れていても変わらない、主人公の想いは男としての懐の深さが現れています。

人は一人?

加山雄三の「蒼い星くず」について、独自目線で解説をしてきました。

別れの曲としては明るく、悲しみよりもノリの良さが印象的です。

この曲に出てくる男女は若く健康的で、社会の中で生き生きと生きている二人でしょう。

それぞれに事情を抱えながら愛し合いそして別れがやってきました。

必然のような別れを経てもまだ、人間同士として優しく強く結ばれている二人。

人は誰しも一人ぼっちが基本です。

でも、やはり一人ぼっちではなかったりして。

様々な別れを繰り返し、複雑な糸を紡ぎながら人間は強くなっていく。

別れは関係の終了ではなく、新たな関係の始まりの一歩。

そんなことをふと思わせてくれる一曲です。