唯一無二の才能とセンス

SKY-HI【What a Wonderful World!!】MV考察!檻の中なのに…美しすぎる…の画像

美しすぎるMVが話題の『What a Wonderful World!!』。

SKY-HIの4thアルバム『JAPRISON』に収録されています。

独特な世界観と癖になるメロディー。

SKY-HIにしか生み出せない音楽がここにあります。

彼の唯一無二の才能とセンスを堪能しませんか?

漠然とした不安を表現

MVは始まりから終わりまで、ずっと奇妙な空気感で進んでいきます。

なんともいえない不可思議さに、いつの間にか心を奪われてはいませんか?

理屈では説明できない微妙な心情。

このMVで表現されているものは、きっと私たちの胸の中でつねにわだかまっているものです。

悲しいとき、嬉しいとき、いつでも心の片隅にある唯一変わらないもの。

普段は身を隠していても、ときおり波のように押しよせてくる不思議な感情が、きっと誰にでもあるはずです。

この感情にあえて名前を付けるとしたら、それは”不安”なのだと思います。

ただそれは明確な何かに対する”不安”ではなく、見えないものに対する漠然とした”不安”です。

そういった誰もが持っている曖昧な心情を、このMVでは見事に表現しています。

『What a Wonderful World!!』は皮肉?

タイトル『What a Wonderful World!!』には、どのような意味があるのか。

曲とMVで表現されている”不安”について掘り下げていくと、タイトルに込められた深い想いが伝わってきました。

檻の中は安全だけど…

この曲とMVのテーマとも呼べる「檻」。

「檻」は不自由の象徴です。

しかし、MVでSKY-HIは特に不自由を不満に思っている素振りはありません。

檻の中に閉じ込められていても、我関せずといった様子です。

もしかしたらSKY-HIは、出ようと思えばいつでも檻の中から出られる状況なのかもしれません。

それでは何故、自ら檻の中にとどまっているのでしょう?

外の世界を恐れているからか。

不自由でも安全であれば良いという考え方なのか。

けれど、SKY-HIもずっと檻の中で良いとは思っていないはず。

このままでいい。いや、このままじゃだめだ。

その相反する考えが、曖昧な不安を生んでいるのだと思います。

檻の中は不自由だけど、安全が保障されている。でも……。

この「でも……」の部分が『What a Wonderful World!!』という曲そのものなのではないでしょうか?

本当にこのままでいいの?

『What a Wonderful World!!』は和訳すると”なんて素晴らしい世界なんだ”という意味。

この曲においてこのタイトルをつけるのは、あきらかに皮肉を含んでいます。

檻の中の世界が素晴らしいはずありません。

しかし、多くの人は檻の中で生きることを望んでいます。

それは、自由の代わりに安全が手に入るから。

囲われた世界で誰かに管理されながら、死ぬまで安全に暮らす。

これこそが最高の世界!

SKY-HIは、そんな皮肉を込めてこの曲を歌っているのでしょう。

そして「本当にこのままでいいの?」と、聴いている人に呼び掛けているのだと思います。

動物たちが意味するもの

MVの中には動物のマスクを被った人々が大勢登場します。

この動物にはどんな意味が込められているのでしょうか?

檻の中にいるのは…?

人間と動物。はたして檻の中にいるのは、どちらなのでしょう?

MVの中で、檻の中にいるSKY-HIが動物たちから果物を投げ込まれているシーンがあります。

本来なら管理する側の立場である人間が、管理される側である動物たちにエサを与えられている。

こういったシーンにも、世間に対する皮肉が詰め込まれています。

動物園で生まれた動物は、自分が檻の中にいることに気がつかないでしょう。

人間もそれと同じように、気づいていないだけで本当は檻の中にいるのかもしれません。

自由を知らなければ、不自由も分からない。

世界の広さを知らなければ、檻から出たいという欲求も湧いてこない。

この動物から果物を投げ入れられるシーンは、無知であることの悲惨さを表現しているのだと思います。

思考の放棄