歌詞を作ったのは直木賞作家
先に生まれたのは…
『青年は荒野をめざす』(せいねんはこうやをめざす)は五木寛之が1967年に書いた小説。当時若い男性に人気のあった週刊『平凡パンチ』に、1967年3月から10月まで連載した青春小説。ザ・フォーク・クルセダーズが同名の楽曲(作詩:五木寛之)を歌っており、テレビ映画にもなっている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/青年は荒野をめざす
初めは小説のタイトルだったのですね。
曲が生まれ、TV番組の原作にもなるベストセラーでした。
同じ1976年に五木寛之さんは直木賞を受賞しています。
原作ともいえる「青年は荒野をめざす」のあらすじも確認しておきましょう。
小説は全部で8章に分れていて、20歳になったばかりの若者のヨーロッパでのジャズ音楽と女と酒の自分発見の旅をつづる。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/青年は荒野をめざす
今ならば自分探しの旅といえますね。
目指した場所と目的が時代を感じさせます。
でも未知の世界は、青年にとって平坦な場所では無かったのでしょう。
グループにとっても旅立ちの歌
独りの青年の新たな出発を綴った歌詞は、グループへの贈り物にもなっていました。
『青年は荒野をめざす』(五木寛之作詞)が本グループとして最後のシングル曲になり、1968年12月に発売されている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ザ・フォーク・クルセダーズ
楽曲がリリースされた同年10月にザ・フォーク・クルセダーズは解散を表明しました。
この曲はメンバーそれぞれが、次へ向かうための楽曲でもあったのです。
歌のための詞を作ることは五木寛之さんの作家生活の原点にもなっています。
「作詞家:五木寛之」の代表作でもある「青年は荒野をめざす」。
沢山のバックグラウンドを持った楽曲ですが、歌詞にはどのようなストーリーが綴られているのでしょうか。
この後は歌詞の考察を始めましょう。
決意表明から始まる歌詞
真っ先に告げるのは
ひとりで行くんだ 幸せに背を向けて
さらば恋人よ なつかしい歌よ友よ
出典: 青年は荒野をめざす/作詞:五木寛之 作曲:加藤和彦
独りぼっちなどとはいわせない、強い決意で歌は始まります。
歌の主人公は、慣れ親しんだ土地を離れることを決めたようです。
今までもこれからも「幸せ」が続くはずの場所なのでしょう。
安定した所にある平穏な毎日に拒否を示した態度。
それは必ずここから出ていくことを決めた、頑なな心を表しています。
真っ先にその決意を告げたのが「恋人」であることに胸がキュンとしますね。
別れの言葉を「さらば」と表したのは、メロディーに乗りやすい語感の良さもあるのでしょうか。
ローマ字にすると「SARABA」と母音が「あ」でつながる一言。歌声も耳に心地よく残ります。
たった3文字で告げるさよならには、収まりきれない思いが詰まっているでしょう。
でもそれは「懐かしい」ものとして思い出にするのです。
一緒に歌った「歌」、そこにいた「友」を忘れることはありません。