楽曲について
THE ORAL CIGARETTESの楽曲『Slowly but surely I go on』。
壮大なバラードソングに込められた想いは、ありのままに描いた優しさと弱さです。
聴くだけで穏やかな気分になり、少しずつ前を向いていこうと思わされる1曲。
2020年4月22日にYouTubeに公開され、公開3ヶ月にして、再生回数は30万回を超えています。
彼ら自身が「第2章」と掲げている5thアルバム「SUCK MY WORLD」の収録曲。
オーラルのアルバムの締めくくりは、私たちを包み込むかのような温かさと不安定な想いが内包されています。
- 2016年にリリースされたアルバム「FIXION」の最終曲『Everything』
- 2017年にリリースされたアルバム「UNOFFICIAL」の最終曲『LOVE』
- 2018年にリリースされたアルバム「Kisses and Kills」の最終曲『ReI』
どれもバラード調かつ歌詞に込められた想いは聴き手の心にスッと入り込んでくるものばかり。
そんな楽曲たちに続いていくであろう当楽曲についてみていきます。
少しずつでもいい
明日に希望を
願う今日を
絶やさぬよう明日を
I'll be braver than before
Don't give up and I must go
出典: Slowly but surely I go on/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也,板井直樹
ここでは、「更に勇敢になって、諦めることなく進み続けていく」といっています。
何か具体的な物事に対して述べているわけではありません。
自分たちが呼吸をしているこの瞬間を大切にしていきたいという確固たる想い。
それは、聴き手が持っている各々の状況に寄り添うことができるのです。
彼らにとっては、【THE ORAL CIGARETTES】として生きていくことの奇跡を実感しているのでしょう。
その中で垣間見える葛藤の先にあるのは、明日も同じように1秒1秒を描いていきたいという信念。
視界が明るくなって開けていくような感覚があります。
バラード調で1文字1文字を噛みしめるように謳い上げている姿も、また魅力的です。
いつだって「今」が始まり
誓うそっと
枯れないようずっと
Slowly but surely I go on
照らしていくはずさ
これがFirst Day
出典: Slowly but surely I go on/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也,板井直樹
ここで初めてタイトルの『Slowly but surely I go on』というフレーズが登場します。
意味としては「少しずつでも確かに1歩ずつ進んでいく」といったところでしょうか。
そして注目すべきは、歌詞5行目の「これが~」の部分。
変わろうとした日、進むことが出来た日を過去に置き去りにしたままではいけないといっています。
その瞬間はいつだって「今」なのです。
「昨日変われた」のではなく、「今日変わる」。
どこまでも堅実で前向きな想いを持っているからこそ、彼らもここまで大きなバンドになったのでしょう。
1度、胸に秘めた想いは、消えることのない火となって燃え続けていきます。
これまでに幾度となく経験してきた暗い過去や憂いを感じた場面。
山中拓也の喉にポリープが出来てしまい、ライブを中断せざるを得なかったあの日を想い返してしまいます。
そんな日々を乗り越えてきた彼らが放つ想いの強さは計り知れないほどです。
過去の弱さ
段々と失う自信
僕が僕であることに意味を
求めすぎた 期待したかな
誰かが犯した罪と罰も
黙ることで許せたかい
出典: Slowly but surely I go on/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也,板井直樹
自分が描こうとしている自分に対して考え込み過ぎた結果、分からなくなってしまった。
私はこうでなくてはいけない、私ならやり遂げられるといった自己追及心。
それを持つことは人生を豊かにできる武器になります。
しかしながら、あまりにも大きくなりすぎてしまうと、自分自身を苦しめることになります。
そうして段々と自分自身に自信が持てなくなっている様子が感じられるフレーズ。
気が付けば、自分の想いを口に出すことも少なくなって、全てを抑え込むような生き方になってしまったのです。
歌詞の後半では、過去の自分自身に問い直しているように感じられます。
「あの日、自分を押し殺していた状況で本当に良かったのだろうか?」
変わろうとしている、あるいは、変われている今があるからこそ言える言葉でもあるのです。
抑え込む日々
あぁ生きてる自分を
恥じらいまた隠してしまうんだろう
自分に嘘を またつくんだろう
出典: Slowly but surely I go on/作詞:山中拓也 作曲:山中拓也,板井直樹