大人になっても夢を見ていたい敗者
地方都市のキャバクラのソファ
彼女は運命を呪う
水割りを作りわけながら
大舞台をずっと夢見てる
出典: Baby,Don't Cry/作詞:後藤 正文 作曲:後藤 正文
都会で活躍するチャンスに恵まれなかったのか、地元の水商売に就いた彼女。
ここで登場する彼女は、先程の少女が成長した未来の姿かもしれません。
現状に対して「こんなはずではなかったのに」と不満を感じています。
成人してある程度いい年なのでしょうが、都会で銀幕デビュー(今時はTVデビューでしょうか)という野望は持っており、諦めていません。
アイドル戦国時代の昨今、チャンスは多いけれど敗者も多いのが現実でしょう。
熾烈な競争を勝ち抜き成功できるのはほんの一握り。
敗者にスポットが当てられる機会は少なく隠れがちですが、Gotchは鋭い視点ですくい上げると共に見事作品へと昇華させています。
CメロではGotchの真意がストレートに表現される
夢や希望で進む時代ではない
だけどすべてがクソってわけでもない
出典: Baby,Don't Cry/作詞:後藤 正文 作曲:後藤 正文
大量生産大量消費の時代は終わりました。
リーマンショックと長引く不況で消費は冷え込み、給料は上がらないのに消費税は上がる一方です。
CDを買う文化は確実に廃れて来ていますし、会社も安泰とは限らず先が読めない時代になりました。
ビッグになると人生大逆転を思い描いたり、頑張っていれば報われる時代ではないのは確かです。
しかし時代が変わって良くなった事もありました。
スマホやSNSの普及で個人でも情報を発信しやすくなり、YouTubeに代表されるようにアーティストは簡単に作品を公開できるようになっています。
インスタ映えに象徴されるように、人と共有してつながる仕組みは充実していると言えるでしょう。
そしてイケイケな時代でないからこそ、じっくり自身の心を見つめたり、幸せを独占せずにみんなで分かち合って喜べるのかもしれません。
生きる意味を問うよりも簡単さ
一度きりの命さ だからこそ
ほら 笑ってよ ベイビー
出典: Baby,Don't Cry/作詞:後藤 正文 作曲:後藤 正文
なんでここにいるんだろう?
なんで生きてるんだろう?
なんでこんなことになったんだろう?
自問自答すればするほど頭の中は混乱していきます。
過去や存在の意義を問う前に「ほら 笑ってよ」とGotchはアドバイス。
笑って人生の答えが出るかどうかはわかりませんが、筆者に置き換えてみても身近な人が悲しんでいるより笑っている方が嬉しいです。
曲名の「Baby, Don't Cry」は日本語にすると「愛しい人よ、泣かないで」となりますが、「泣かないで=笑って」という意味合いにも取れます。
「笑う門に福来たる」という言葉もあながち嘘っぱちではないと思いますし、笑っている間は悲しい気持ちを忘れられるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
Gotchの「Baby,Dont Cry」は、地方都市の若者に焦点を当ててGotch流に優しく寄り添い励ます歌でした。
彼の詞世界をもっと知りたくなった読者には以下の記事がおすすめです。
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ASIAN KUNG-FU GENERATION。アジアンカンフージェネレーションは略してアジカン。結成から22年が経ち、ベテランというステージに上がり立ち続けるロックバンドです。ボーカルとギターにプラスして作詞作曲を担当する後藤正文さん、通称「ゴッチ」。文学に例えられる、彼の作る歌詞を徹底解説させていただきます。
アジカンのフロントマンを長年務めるGotchのセンス溢れる言葉選びに刺激を受けることでしょう。
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