『セーラー服と機関銃』は、赤川次郎の青春ミステリー長編小説シリーズ。父を事故で亡くし天涯孤独になった高校2年生の女子・星泉が、遠い血縁に当たる弱小貧乏暴力団「目高組」の四代目を継ぐことになり、4人の子分と共に対立するヤクザと戦う、というストーリー。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/セーラー服と機関銃
なかなか厳しい内容のストーリーですね。高校2年であれば、楽しみの方が多い時間があったはず。
でも反社会的勢力に飛び込むことを、選んでしまいます。
衣装はセーラー服ですが手にしたのは殺傷能力が高い武器。
小説や映画の中のことと分かっていても、演じる薬師丸ひろ子さんを応援したくなります。
厳しい世界に飛び込む前に少しでもやすらげる時間を作ってあげたいけれど、旅立ちの時が迫ります。
手を伸ばして引き留めようとしても、もう遅いようです。
冷えた心と身体のままでこの部屋を出る君を見送ります。
主題歌だけどイメージソング
展開するのは恋模様
都会は 秒刻みの あわただしさ
恋も コンクリートの 籠の中
君がめぐり逢う
愛に 疲れたら
きっともどっておいで
出典: 夢の途中/作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお
映画の主題歌として作られた「夢の途中」。依頼当初にタイトルやストーリーは分かっていたはずですね。
でも歌詞にはセーラー服も機関銃も出てきません。
どちらかというと全体的にラブストーリーがつづられています。
今なら「Jk 組長就任」などとネットで拡散され炎上間違いなしの事件。
予測も予想もしがたい世界を、オブラートで包むように恋愛物語に書き換えました。
戻る場所があれば、行きつく先が厳しくても旅立つ勇気が湧いてきます。
記憶の中に残れば
愛した男たちを 想い出に替えて
いつの日にか 僕のことを 想い出すがいい
ただ心の中の 片隅にでも 小さくメモして
出典: 夢の途中/作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお
「セーラー服と機関銃」に主演をした薬師丸ひろ子さんは、役と同じ高校2年生でした。
当初は歌う予定ではなかったので、歌詞の内容は年齢に相応しい内容になっていません。
想い出に替えられる男子の人数は、それほど多いとは思えません。
もちろん初恋から数えて、片手より多い人数がいる恋多き乙女の存在は否定しませんよ。
でもそこを薬師丸ひろ子さんの、大人になる寸前の少女の声で歌ったことも、ヒットにつながる要因となりました。
来生たかおさんは歌詞を大切にしながらも、いつものようにのめり込むことなく歌いました。
売上げ枚数から判断すると、薬師丸ひろ子押しが断然多かったのは分かります。
作詞家である姉の来生えつこの世界を歌うのは、弟である自分というプライドは失われていません。
想い出の中にはその他大勢の男子がいても、君が自分のことを忘れる訳はない、という自信もうかがえます。
タイトル「夢の途中」、楽曲の主人公は来生たかおさんですよね。
重いほどの未来があると信じて
笑顔で言うさよなら
スーツケース いっぱいにつめこんだ
希望という名の 重い荷物を
君は 軽々と
きっと持ち上げて
笑顔みせるだろう
出典: 夢の途中/作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお
歌の初めにでてきた『さよならは 別れの言葉じゃない』はここにつながります。
手を振ってさよならと気軽に口にする別れの挨拶。それは旅立ちをする時に告げる言葉にもなります。
「夢の途中」であれば、夢を実現させるための旅立ちもありますね。
夢に向かうための荷物が希望であることに安心します。
不安でいっぱいなはずの心を見せないための笑顔に、切なさを感じます。
ホントは泣きたいのに、涙をこらえるように笑顔を作る君。
プレッシャーと大きな荷物で、押しつぶされないことを僕は願います。
この部屋にいれば、君は辛い思いをすることなく僕の愛の中にいられるのに、僕は君が出ていくのを見ているだけ。
否定はしません、過去も未来も
愛した男たちを かがやきに替えて
いつの日にか 僕のことを 想い出すがいい
ただ心の 片隅にでも 小さくメモして
出典: 夢の途中/作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお