時に失うことを恐れすぎて
踏み出せない日もあるけれど
カッコつけなくていいんだよ
もううつむかないで
出典: 秋、晴れ。僕に風が吹いた。/作詞:タハラノブヒロ 作曲:タハラノブヒロ
変化することはプラスの要素だけではありません。
既に安定している状態を変えていくことは、リスクを伴います。
よほどのことがない限り、現状維持が最も安心なのです。
しかし人は、そんな安心感の中に長く浸りすぎると変化に恐れを抱くようになる。
そしていつしか、かつてのように一歩を踏み出せなくなるのです。
踏み出すことで得られること。同じく、踏み出すことで失うこと。
いつでもその両者を天秤にかけてしまう。
そしてその天秤が揺れ動く様を見ながら、恐れを抱いてしまうものなのです。
それでも主人公の僕は、踏み出すことを諦めきれない。
一歩踏み出したい、変わりたいと、胸の奥にしまった理想を追い続けています。
そんな僕を後押ししてくれるのが、この部分の歌詞でしょう。
「いま」がスタートライン
まだゆずれない僕だけの思いは
今もこの胸焦がしてる
誰よりも気付いていたんだろう
まだ終わりじゃないよ
変わらない明日を嘆くよりも
変わりたい今日を生きればいい
出典: 秋、晴れ。僕に風が吹いた。/作詞:タハラノブヒロ 作曲:タハラノブヒロ
主人公の僕がずっと抱えている大きな理想。
きっと主人公だけでなく、誰しもが抱えているのでしょう。
ここまで、その理想のために踏み出したくてもできなかった僕が描かれていました。
しかしここでようやく、僕は強く前を向き始めます。
過ぎ去ってしまった時間を嘆いていても仕方がない。
「変わろう」と決意できた、その瞬間こそが大切なのだ。
そう訴えかけてくる歌詞は、「いま」こそがスタートラインだと教えてくれます。
成長した僕の姿
この曲は基本的に主人公の僕を軸に展開されています。
しかし最後の最後で、主人公の僕は成長した姿を見せているのです。
周りを巻き込む僕の優しさ
毎日が始まりだって気付いたなら
僕らどこまでも行けるはず
出典: 秋、晴れ。僕に風が吹いた。/作詞:タハラノブヒロ 作曲:タハラノブヒロ
僕の成長が感じ取れる部分というのが、この部分です。
僕「ら」と周りを巻き込んでいることにお気づきですか?
僕は悩みに悩んで、悩みぬいた結果、前に踏み出す勇気を得ました。
そんな僕は、同じように想いをくすぶらせている人たちに手を差し伸べます。
自分ができたのだから、みんなもできる。だから一緒に踏み出そう。
そんな想いで、最後の最後に僕「ら」といっているのでしょう。
くすぶる想いの行く先
さて、タイトルで提起しているこの問題。
その答えですが、曲中盤の歌詞の中にありました。
想いは遠く先の未来へ
何気なく今
歩き出したこの小さな一歩が
何十年先の 僕の未来へと繋がるよ
出典: 秋、晴れ。僕に風が吹いた。/作詞:タハラノブヒロ 作曲:タハラノブヒロ
どんな状況であっても僕が抱えている想いは、その時々、生きているいま現在のものです。
そうして日々積み重ねていくくすぶる想い。
それは最終的に「いま」という枠を大きく飛び越えて、その先の僕の未来へと繋がるのです。
過去、そしていま現在にくすぶらせている想いが、はるか遠く先、未来の僕を作る。
だから、踏み出せなかったもどかしさ、世界の変化に取り残された切なさ…
それらは全て、大切な大切な想いなのだ、ということを教えてくれているのです。
過去、現在、そして未来へ
想いの行く先については、この部分からも読み取ることができます。