PuppyBOOの歌詞はジャニーズセンスが山盛り!
ジャニーズ的言語感覚を理解した作詞家
Hey!Say!JUMPの楽曲制作は、馬飼野康二などの大御所に発注されているほか、川浦正大やh-wonderなどの若手作家にも、チャンスを与えています。
この「PuppyBoo」では、志田敏夫が作曲を、九州出身のインディーズアーティスト、亜美が作詞を担当しています。
亜美さんは、KinKi Kidsのツアーにボーカルで参加したことからつながりが生まれ、KAT-TUNや関ジャニ∞などにも楽曲を提供しています。
まだ終わらないの? That’s your work 手伝わないけど
送ってやろうか? 待っててやるから
余計ドタバタ Pretty Girl
がんばり屋なのは Yes, I know 口にしないけど
無茶苦茶しないで 倒れたら困る 君よりも僕がさ
急に黙り込んでさ 頬赤くしてるけど
あれ?なんにもさ、おかしなことは言ってないけどなぁ
ダメだよ ユア・マイPuppy Boo 見えなくなるほど離れちゃ
優しい首輪みたいに 手を繋いじゃうぞ
出典: PuppyBoo/作詞:亜美 作曲:志田敏夫
ストーリーや心象風景を詩的に描く…といったポエトリーとしての作詞ではなく、言葉のリズムやフィーリングを優先した詞です。
少年が少女をからかうように話しかける内容が、ジャニーズファンの心理に寄り添っている。これこそ「ジャニーズ戦略」です。
亜美さんは、戦略を理解し感覚を共有した上で、それを実現しています。このセンスは"余人をもって代えがたい"としか言えないでしょう。
ところで、曲名の「Puppy Boo」は一体、どういう意味なのか?これは作詞した亜美が自身のブログで漏らしています。
これは、彼女が造った言葉で特段の意味はない…
う〜ん…
中味よりも言葉のリズムが大切なんですかね〜。
歌割りも戦術のひとつ
Hey!Say!JUMPは、V6と同様のスタイルとして、2つのユニット「Hey!Say!7」と「Hey!Say!BEST」に分割されています。
この「PuppyBoo」は9人全員で歌っていますが、ヴァースによってユニットを分け、カラーを立てる戦術を取りました。
基本となっている考えは「ファンが感情移入しやすいパフォーマンス」であって、ジャニーズ全てに共通したモットーです。
伊野尾慧) まだ終わらないの?That's your work 手伝わないけど
髙木雄也) 送ってやろうか? 待っててやるから
髙木雄也・伊野尾慧) 余計ドタバタ Pretty Girl
有岡大貴) がんばり屋なのはYes! I know 口にしないけど
知念侑李) 無茶苦茶しないで 倒れたら困る
知念侑李・有岡大貴) 君よりも僕がさ
出典: Puppy Boo/作詞:亜美 作曲:志田敏夫
ひとつひとつのヴァースが独立した「話しかけ」になっていて、男の子と女の子の会話にも聞こえます。
つまり、ユニットのファンも個別のファンも、それぞれが「自分に話しかけている」ように歌詞を受け取れるわけです。
ブログに亜美さんは「後は自由に解釈して〜」と書いていますが、会話も意味もたわいないのに、仕掛けは巧みとしか言いようがありません。
数あるJファミリーの中で"超王道"を行く!
ジャニーズは"見かけだけ"ではない!
"ジャニーズ事務所所属"と聞いただけで、「ああ、あのヒトタチね」とお思いになる方も多いでしょう。いわく「少年趣味」「角兵衛獅子」「見かけだけ」…。
確かに独特の集団で、そう思われる根拠も実際に散見されるかも知れません。ここでは、そういった見方が「相当に的外れ」なことをご説明します。
さらに、所属タレントの中で、ジャニーズ事務所のプロデューサーが、Hey!Say!Jumpを最も重要視しているユニットである理由と由来由歴をお伝えしましょう。
どうして"ジャニーズ事務所"所属タレントは独特なのか?
歌って踊る男子ユニットと言うと、例えばEXILEだとかDaPumpだとか、"男臭い"グループが浮かぶでしょう。ジャニーズ事務所に所属しているユニットと、どこが違うのでしょう?
決定的に異なっているコンセプトが"思春期"なのです。身体は成長期初期、心はまだそれ以前の少年であることが、"ジャニーズ"たるべき条件です。
ジャニーズ事務所のキャラクターデザインを総指揮しているジャニー喜多川氏が、日本のショービジネス界でキャリアをスタートさせたのは、ほぼ70年近く前でした。
もともと、第二次世界大戦後に駐留米軍の仕事をしていた喜多川氏は、東京で少年野球チームの指導もしていて、その野球チームの名前が「ジャニーズ」でした。
チームのメンバーの中にダンスが好きな選手が数人いて、ハリウッドに憧れがあった喜多川氏が、彼らをタレントとして育て始めます。これが「初代ジャニーズ」の4人でした。
"大人の気配"は遥か彼方でなければならない
例えば美空ひばりさんは、思春期の遥か手前の少女時代にデビューしています。歌舞伎俳優でもローティーンで一幕ものを演じることがあります。
喜多川氏の感覚では、これらは"早熟の天才"であって、「少年美」ではありません。一芸に秀でていることが、かえって初々しさを阻害します。
少年愛やLGBTと同一概念でジャニーズ戦略が論じられることがありますが、喜多川氏の美意識は、これとは全く異なる根拠に基づいています。
人間なら、ゆりかごで無邪気に笑う赤ちゃんに、血縁がなくとも理屈抜きの愛情を感じることがあるはずです。これは"性愛"や"近親愛"ではありません。
哲学用語なら「エロス」ではなく、「アガペー」にあたります。
喜多川氏は、これが"エンターテインメントの構成要素"になり得ると感じたわけです。
大人になる気配すら感じられない少年だからこそ、幅広いターゲットに「かわいい」と感じさせる空間が提供できる、という狙いです。
Hey!Say!JUMPは、その戦略のど真ん中=王道といえる位置づけなのです。