ユニコーンによる「発光するMV」

アルバム「UC100V」収録曲

私たちのユニコーンは2019年に100周年記念アルバム「UC100V」をリリースしました。

ユニコーンって戦前からあったバンドなの?

そんな声が聴こえそうです。

さすがにそんな訳はなくて大人の遊び心です。

川西幸一・生誕60周年」「ABEDON加入30周年」「ユニコーン再始動10周年

60+30+10=100

それぞれの数字を合わせて100周年だというおじさんたちの悪ふざけです

しかしこの符号に合わせるように素敵なアルバム「UC100V」を届けてくれたのでファンは文句ないはず。

そして今回ご紹介いたします「ZERO」はアルバム「UC100V」の2曲目に収められています。

この「ZERO」のMVで使われる最新技術がすごいと評判です

ユニコーンのメンバーが「発光するMV」。

しかしそもそもこのMVはなぜ発光するのでしょうか?

その謎は歌詞やその他のディテールを読み解かないと分かりません。

MVの謎を歌詞や周辺の事情の考察を含めて解明いたします

その前にまずはYouTubeで「ZERO」の公式MVを御覧ください。

MV「ZERO」の監督はABEDON

ユニコーン【ZERO】MVを徹底解説!ユニコーンがさらに進化した!?ネオンのような映像がカッコイイ!の画像

MVではユニコーンのメンバーがネオンのように発光する姿が捉えられています。

MVの監督はリーダーのABEDON。

ビデオカメラが被写体深度を検知して対象の光や色が増減する最新技術を用いています

この撮影技術に依拠したワン・アイデアのMV。

シンプルに演奏シーンを撮影しながらも光や色の変化を楽しむことができる技術です。

「ZERO」の爽快でありながらクールでもある楽曲の一要素を電気的に増幅した感じを抱きます。

そもそもなぜ光るのか?

一方でなぜABEDONが発光にこだわったのかを解明する必要があります。

第一にアルバム「UC100V」の初回限定盤のジャケットが暗い場所で光る仕様のものであったこと

アルバム・タイトル「UC100V」とは「ユニコーン、100ヴォルト」という意味です。

ユニコーン100周年の100に電圧の単位「VOLTS(複数形)」を付け加えたのでしょう。

なぜ電圧か?

おそらくアルバムの楽曲がほぼエレクトリック・サウンドであることを伝えているはず。

これら楽曲をひとつのエレメントで表すことにこだわった末の発光する蓄電ジャケットなのでしょう。

発光するジャケットは初回限定生産ですのでお早めにGETされることをおすすめいたします。

次に気付くのは「ZERO」の歌詞の冒頭に現れる光についての記述です

やはり歌詞と深い相関性がないとMVで発光する技術は採り入れません。

歌詞を追って見ていきましょう。

光やその色

歌詞に現れるヒントを読み解く

ユニコーン【ZERO】MVを徹底解説!ユニコーンがさらに進化した!?ネオンのような映像がカッコイイ!の画像

ふたつの光が ひとつに重なり
新しい光になる
それらの光は 色付き広がり
七つの海へと飛んだ

出典: ZERO/作詞:ABEDON 作曲:ABEDON

歌い出しです。

やはり歌詞に光に関するラインがありました

それも光の色にまで触れています。

7つの海とは英語の「The Seven Seas」を直訳したもの。

全世界の海のことを表します。

実際にどの海洋のことを指すかは時代や地域によってまちまちです。

虹の色が7つに分類されることと7つの海をかけ合わせています。

カップルふたりの個性が愛し合うことでひとつに交わる。

その際に新たな個性が生まれて全世界を覇権する。

身近な愛から始まる幸福感の横溢を表現しているのです。

「ZERO」の発光するMVは歌詞のこの部分を表現したもの

ただしYouTubeで観ることができるのはショート・ヴァージョンです。

ショート・ヴァージョンでは歌い出しの部分は公開されていません。

全編はMVクリップ集などで公開されるのでしょうか。

早く全編が観たいものです。

歌詞の続きを見ていきましょう。

光のノイズに魅せられて

音楽家とノイズ

ユニコーン【ZERO】MVを徹底解説!ユニコーンがさらに進化した!?ネオンのような映像がカッコイイ!の画像

MVのショート・ヴァージョンはこのラインから始まります。

被写体の深度に応じて光がリアルタイムで増幅される技術です

メンバーが円陣を組んで演奏しています。

その円陣の内側からパンニングしてフォーカスする。

パンニングの際に綺麗な光のノイズのような細かい線が現れる様子が観て取れます

MVの監督のABEDONはこの光のノイズにも魅せられたのでしょう。

積極的にノイズが出る映像を採用します。

音楽家にはフィードバックやハウリングなどの偶発的な音響現象を好む人々が一定数いるのです

自分の思いもしない要素が音楽に持ち込まれること。

ノイズによって自身の音楽に新しい面白みが加わる。

そうした偶発的な現象を映像作品でも楽しみたい気持ちがABEDONにもありそうです

ユニコーンというバンド自体が遊び心に裏付けされた音楽集団。

映像作品でも思い切りよく遊びたい。

MV「ZERO」は彼らの基本姿勢がよく顕れています。

歌詞はカップルふたりの愛の行方をさらに追う様相。

海上に出たふたりによる新たな光の束。

南洋を泳いでいきます。

線=輪郭がネオンライト

MVと歌詞の相関関係