ユニコーン

奥田民生、手島いさむ、EBI、阿部義晴、川西幸一らによるロックバンド

ユーモアをふんだんに楽曲に取り入れながら、ポップスとロックの両方の側面が感じられる多様な楽曲が特徴です。

影響を与えたアーティストも多く、日本の音楽が歌謡曲とよばれる音楽からJ-POPへ変化するまでの間、メンバー全員が作詞や作曲にチャレンジし、それぞれがクリエイティヴでキャラがたっていました。

1993年の解散後は奥田民生らそれぞれがソロ活動やプロデュース活動を行なっていましたが、2009年に再始動を発表します。

代表曲に「大迷惑」「スターな男」「働く男」「素晴らしい日々」などがあり、音楽性が多様でアルバム名曲揃いです。

ユニコーンの代表曲「大迷惑」を聴く

PVにオーケストラが出演し、サウンドもオーケストラを大胆に導入していたことも特徴。

歌詞も皮肉とユーモアが混じっていてとても面白い楽曲だと思います。

この1曲だけでもユニコーンというバンドにあるオリジナリティが感じられます。

大迷惑【ユニコーン】は○○にオーケストラが出演?!奥深い歌詞の意味に迫る!ドラマ挿入歌♪コード譜ありの画像

「大迷惑」の歌詞を読み解く

町のはずれで シュヴィドゥヴァー
さりげなく
夢にまで見たマイホーム
青い空
エプロン姿のおねだりワイフ
日なたぼっこはバルコニー
Hey it's a beautiful day
突然 忍び寄る
怪しい係長
悪魔のプレゼント
無理矢理 3年2ヶ月の過酷な一人旅

出典: http://lyrics.jetmute.com/viewlyrics.php?id=2219212

郊外にマイホームを持っている家族の夫が主人公です。

1980年代までは、誰もが自分の家を持つことを夢にみて、あくせく働いていました。

みんなが同じ夢をみていたと言えるでしょう。

でもユニコーンメンバーバンドマン。

そういう共通する夢に疑問を持ち、別の視点を持っている人間です。

だから彼らがサラリーマン生活の負の側面をポップに皮肉を交えながら登場したことは、時代の転換点を示していたと言うこともできると思います。

ここで歌われているのは、平和で幸せな生活が、会社の理不尽な要求によって崩れさり、愛しあう夫婦が引き裂かれる物語です。

この悲しみをどうすりゃいいの
誰が僕を救ってくれるの
君がカンイチ 僕はジュリェット
この世は正に 大迷惑
逆らうと首になる
マイホーム ボツになる
帰りたい 帰れない
二度と出られぬ蟻地獄

出典: http://lyrics.jetmute.com/viewlyrics.php?id=2219212

単身赴任を言い渡された夫の悲しみをロミオとジュリエット、あるいはカンイチとオミヤという引き裂かれる恋人たちの物語になぞらえて表現しているのが非常に面白いですね。

"逆らうと首になる""マイホーム ボツになる"など、社会でまだ問題ともされていなかった企業や組織の理不尽な単身赴任命令を、この歌では鋭く取り上げています。

たとえば、自分の家を手にしてローンを組んだとします。

でも上司の命令に逆らうと、"左遷"のような形で住んでいるところから単身赴任しなければならなくなる。

こういう日本企業や日本の組織の実態は、古くは"島流し"にみられるように、気に入らない人間を遠くへおいやる伝統でもあります。

日本の負の文化であり、なくしていかなければならないものです。

でもこの「大迷惑」が歌われてから30年近くになりますが、日本の企業の体質はほとんど変わっていないというのが実情だと思います。

国技・相撲があらわしている日本

日本の文化は和の文化です。

この和とは輪でもあり、相撲の土俵の輪は、ある境界線なのだと思います。

この和から押し出し合うのが相撲です。

企業や組織の中ではみ出した人間を外へおいやる文化は、島国である日本が古来から持っていた文化でもあり、秩序を維持する仕組みでもあります。

だからといって単身赴任など、人々の生きる権利を奪われたくはないと筆者は思っています。

大迷惑【ユニコーン】は○○にオーケストラが出演?!奥深い歌詞の意味に迫る!ドラマ挿入歌♪コード譜ありの画像

君をこの手で抱きしめたいよ
君の寝顔を見つめてたいよ
君の作った料理食べたいよ
西も東も大迷惑
帰りたい 帰りたい
君は誰 僕はどこ
あれは何 何はアレ
お金なんかはちょっとでいいのだ

出典: http://lyrics.jetmute.com/viewlyrics.php?id=2219212

僕たちが求めているのは真実の愛であり、幸せな家庭です。

でも働く中で自分はなんなのか? 生きていることとはなんなのか?

自分自身も愛する相手も見失ってしまうような過酷な現実があります。

"お金なんかはちょっとでいいのだ"という叫びなど、この歌の最後の部分にはユーモアでくるみながら、人々の叫びがありました。

ずいぶん前のことですが、少年時代にこの歌から自分がどう生きるか考えたことを思い出します。

バブル崩壊後の社会

バブル崩壊前に登場したこの曲は、共同体として機能していた日本社会の崩壊の後にオルタナティヴな社会へと変容する過渡期に生まれた名曲です。

社会の問題がどこにあるのか、そのひとつの側面がポップに歌われています。

バンドブーム以後の音楽がオルタナティヴに、様々な多様性をそなえていった理由は、ひとつの価値観が崩壊し、様々な可能性を探るための大切な時期だったと筆者は考えています。

音楽が多様性を先に体現しています。

その先にはあらゆる文化、そして社会のオルタナティヴへの変化としての情報化社会があるでしょう。

時代は変化しています。

でもその変化の方向性を探るためにも、音というもの、言葉というものが何をえがいてきたのか、知ることはとても大切ですね。

「大迷惑」のコード譜

大迷惑」をアコースティックギターで弾き語るのもいいかもしれませんね。

コード譜が掲載されているサイトへのリンクを貼っておきました。 ぜひ歌ってみてください。