吉田山田「母のうた」
「母のうた」は吉田山田の4thアルバム「47」に収録されている楽曲です。
「47」は2016年3月にリリースされましたが、2015年11月にリリースした11thシングル「未来/Today,Tonight」にも収録されました。
「日々」に次ぐ人気曲
「母のうた」は11thシングルに収録されていますが、通常盤のみで初回限定盤には収録されていません。
一般的には逆のパターンだと思うので珍しい1曲といえるでしょう。
有線のリクエストランキングで上位に入ったのにも関わらず、どのCDに収録されているのか分からない、と問い合わせが殺到したそうです。
吉田山田といえば、NHK「みんなのうた」に書き下ろした「日々」が有名ですが、「母のうた」はそれに次ぐ吉田山田の人気曲です。
両A面シングルのカップリング曲と知らずに聴いている人も多いでしょう。
表題曲、カップリングなどに関わらず、良い歌はちゃんと良い歌として広まっていくのでしょう。
「母のうた」は母への思いがテーマ
「母のうた」はタイトル通り、母に対する思いが歌詞のテーマになっています。作詞作曲は吉田結威さんが担当しています。
吉田結威さんが初めて自分の母に作った歌で、いつも感謝している母に対して素直になれない気持ちを歌にしようと思ったのがきっかけだったようです。
なので、誰かに共感してもらいという思いは全く無く、母の吉田レイコさん一人に捧げた歌だと語っています。
誰かに歌っているわけではなく1人に捧げた歌だからこそ、響いてくるのでしょう。
歌詞解説
不器用だけど温かい歌詞
空いたミネラルウォーターのラベルもないペットボトルに
煮出した麦茶入れる母の口うるささが恋しいです
出典: 母のうた/作詞:吉田結威 作曲:吉田結威
かなり実家感を感じる歌詞です。
ペットボトルを買うよりも手間は掛かりますが、自分でお茶を作る方が安く済ますことが出来ます。
そして他のペットボトルと見分けるためにもラベルを剥がすのでしょう。
どこの実家でも同じようなものでしょう。親と離れて暮らしていると懐かしく感じます。
ホントは優しくしたくて 何故だかいつも出来なくて
駅まで向かう帰り道 自分の幼さが嫌になる
出典: 母のうた/作詞:吉田結威 作曲:吉田結威
優しくしたいけど出来ない。素直になれない男の子は女の子よりも多いのではないでしょうか。
分かっているのに素直になれません。いつまで経っても小さな反抗期のような気持ちでいてしまうのです。
誰かといる時は考えなくても、1人になってしまった時ほど考えてしまうものです。
あと何年 あと何回
あと何年 あと何回
出典: 母のうた/作詞:吉田結威 作曲:吉田結威
あと何年、あと何回…。この歌詞に心を掴まれた人が多いでしょう。
具体的なことを言っているわけではないですが、親のことを考えてしまいます。
あと何回会えるのだとう、あと何回実家に帰れるだろう、あと何年生きられるのだろう…。
吉田結威さんが母に対して思うことと、この曲を聴いた方が思うことはきっと違うはずです。
具体的に伝えないからこそ、リスナーのそれぞれの人生に当てはめることが出来る空白が生まれているのでしょう。
私が大人になり あなたの背を越えた時は
照れたように笑いながら 一体何を想っていたのですか
出典: 母のうた/作詞:吉田結威 作曲:吉田結威
沢山の男の子は成長し、小学校高学年、中学生くらいで母の身長を越えることが多いです。
筆者も同じような経験をしていますが、その時の母の気持ちを考えたことはありませんでした。「母のうた」を聴くまでは。
母はきっと嬉しかったと思います。ですが、きっと嬉しさだけではないいろんな感情があったはずです。
誇らしい気持ちにもなると思うし、生まれた時のことだって思い出したかもしれません。年を取ったな、と自分のことを考えていたかもしれません。
きっと同じ経験をした多くの母が、この曲を聴いて当時の心境を思い出しているでしょう。