どんな人だってやり直せることを【追い風】が教えてくれる
個人的にですが、ピアノを弾ける男性ってカッコいいと思います。
そんな考えを持つ人は、意外と多いのではないでしょうか。
ピアノ男子に熱い視線を送ってしまうあなたには、ピアノバンドを自称する「SHE'S」がおすすめです。
今回ご紹介するのは、彼らの6thシングルである【追い風】です。
作詞や作曲も兼ねる井上竜馬の優しくも力強い歌声に、まさに背中を押される1曲だと思います。
カンテレ・フジテレビ系ドラマ「青のSPー学校内警察・嶋田隆平ー」の主題歌としても、話題になりました。
藤原竜也主演のこのドラマは、学校内に警察を置くスクールポリス制度が導入されたという設定の物語です。
藤原演じる主人公の刑事・嶋田隆平が、とある高校に配属されることでドラマはスタートします。
表向きはごく平凡な赤嶺中学校であったが、スクールポリスの嶋田が配属されたことでSNSトラブル、生徒の薬物使用疑惑、盗撮事件、教師のマタハラ、セクハラなど、世間を騒がせる社会問題が次々とあぶりだされていく。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/青のSP―学校内警察・嶋田隆平―
一見普通に見える人々も、何らかの罪を犯していたりするのです。
あるいは、そういった過去を抱えて苦しんでいるのでしょう。
この設定はまさに、SHE'Sの歌う【追い風】になぞらえたかのようではないでしょうか。
しかしこの楽曲は単に、罪を背負う人や暗い過去に苛まれる人を描いたものではありません。
間違いを犯してしまってもまたやり直せるんだと、強く背中を押してくれる楽曲なのです。
犯した罪に自分を責めるばかり
【追い風】の冒頭の歌詞は、前向きさを感じられない暗い内容です。
おそらくは罪を犯してしまった人が、自分を責め、後悔している様子が描かれています。
強がるしかなかった
もう何も 痛まないと
強がる声は 震えていた
一度折れた 花は二度と
輝けないんだと 項垂れていた
出典: 追い風/作詞:井上竜馬 作曲:井上竜馬
人間はみな、弱さを抱えて生きています。
弱いからこそ誰かに頼ることもできるけど、弱さを実感するからこそ、強がるしかない時もあるのでしょう。
過ちを犯してしまうと、周囲の人が離れていく場合もあります。
それを分かってはいるけど、その事実に正面から向き合うのには勇気がいります。
だから強がることで、そのショックを和らげようとしていると考えられないでしょうか。
「そんな風になることは分かってたけど、別にそれで構わないんだよ」
そういう雰囲気を出すことで、自分自身にもそう言い聞かせているのでしょう。
引用歌詞3行目と4行目では、自分を卑下することでショックに向き合わないようにする様子も窺えます。
それでも明日を迎えるしかない
汚れた手と 洗い流した足
消せない記憶と 罪を持って
明日が怖くても 朝日を浴びて
また芽吹いていく
出典: 追い風/作詞:井上竜馬 作曲:井上竜馬
罪を犯した人は、長くその記憶に悩まされることでしょう。
後悔を餌に大きくなるその記憶は、簡単には消し去ることができません。
たとえ、表面上は以前と同じように見えたとしてもです。
心が立ち止まったまま前に進めなくても、明日という日は必ずやって来ます。
気持ちが沈んでいると、次にやって来る朝がよりよいものになるとは考えにくいものです。
しかし、自分を取り巻く状況がどうなっていくかは、気の持ちようによる部分も大きいのではないでしょうか。
明日はもっと悪くなると考えてしまうと、本当にそうなっていくかもしれません。
そんな未来を想像しないのは難しいかもしれないけど、せめて気持ちだけは前向きでありたいですね。
固い土から青々とした芽が出るように希望を持ってほしいと、歌詞が語りかけてくるような気がします。
信じ支える人が傍にいてくれる
もう一度だけ 立ち上がってよ
哀しみも糧になるから
積み重ねたもの 失くしても
僕らは傍にいるから
出典: 追い風/作詞:井上竜馬 作曲:井上竜馬
罪の意識に苛まれるその人を、SHE'Sの言葉が優しく励まします。
引用歌詞の1行目の語りかけるような歌詞には、相手に負担をかけまいとする心遣いすら感じられます。
後悔して悲しんだりする気持ちは辛いものですが、それとてまったくの無駄ではないのです。
今まで築き上げてきたものが一瞬にしてなくなってしまっても、また積み上げていくしかありません。
そんな気持ちでいるなら、寄り添ってくれる人はきっといる。
自分のことを信じて支えようとしている人の存在があることを、思い出させてくれる歌詞です。