曲調は作品に合わせて制作された!
作曲者e-ZUKAさんによると「かわいくて少し不気味」な『カーニヴァル』の作風に合わせて制作されたそうです。
イントロのアコーディオンが物悲しい印象も与えており、作品にぴったりな曲になっていますね。
OPで流れているものとCDに収録されているものは、違う構成になっています。
聞き比べてみると良いかもしれませんね。
意味深な歌詞の解釈
独自の解釈で紐解いていきます!
前提として作詞をしたKISHOWさんが語った、下記の歌詞の説明を踏まえながら、紐解いていこうと思います。
「誰かに伝えたいことはないけれど、歌にすると自然と溢れてくる」
「それぐらい音楽に偏愛している」
ラブソングとしての解釈も可能なので、そちらの側面でも独自の解釈をつづります。
あくまで、解釈は人それぞれです。
ご留意ください。
臆病で不器用な主人公
見える愛の種類は果てなく
孤独とひきかえに染まる lie
色採々の音をつらぬいて
身体が放つ美味なる温度
出典: 偏愛の輪舞曲/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
愛には色んな種類があります。
家族愛、友愛、性愛、博愛…などなど…。
愛の形は色んな愛が組み合わさってできたものと言えるでしょう。
一言では表せない愛を主人公は感じています。
「lie」は英語で「嘘」です。
嘘をついてまで何に染まるのでしょう。
それは「色採々の音」に…そして「身体が放つ美味なる温度」に染まるのです。
「身体が放つ美味なる温度」は高揚感で上がった体温が心地よいという状態を表しています。
「色採々の音」…これは音楽のことなのではないでしょうか。
MVを観るとピエロと化した自分を観て笑う観客の声や拍手、と解釈することもできそうです。
いずれにしても自分を偽っている主人公の姿が浮かび上がりますね。
たまに溢れるくせに迷って
見つけた新しさに頼って
夜の訪れを待つ花のように
光を畏れてる
出典: 偏愛の輪舞曲/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
「溢れる」ものはきっと「愛」でしょう。
愛を抑えきれないのに「迷って」「新しさに頼って」気持ちをごまかしているのです。
「夜の訪れを待つ花のように」…どんな花なんでしょうか。
きっと夜しか花が咲かないサボテン「月下美人」のような花かもしれませんね。
「月下美人」の花言葉は「はかない美」、「はかない恋」、「あでやかな美人」です。
この場合「はかない恋」と解釈するのが正しそうですね。
「はかない恋」がしおれてしまう…成就しないのではないかと「光を畏れてる」…。
つまり秘めた気持ちが明らかになって、壊れてしまうことを主人公は怖がっているのです。
恋や愛に対して臆病で気持ちを伝えることができない人物像が浮かび上がってきますね。
更に内面を独白する主人公
回れ消えゆくまで
その身を焦がす全てさらけ出せ
しなやかに
雫は見つめる
出典: 偏愛の輪舞曲/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
抑えられない気持ちを主人公なりにさらけ出そうとしているのでしょう。
「回れ消えゆくまで」という部分からは抑えられない気持ちを昇華したいという思いがうかがえます。
「しなやかに」見つめている「雫」とは一体何でしょうか。
ここで、MVのピエロのメイクを思い出してください!
涙を流しているようなメイクでした。
つまり、「雫」はピエロを演じる自分のことではないでしょうか。
あくまで、個人的な解釈ですが、ピエロを演じている自分が、思い悩む自分を他人のように見つめているのでは?
少し、深読みしすぎたかもしれませんが、個々の部分は人によって感じ方が違うかもしれませんね。
苦悩する主人公がたどり着いた先は…?
苦悩に導かれた欠片は
無数の塊に零れて
心は儚く見える光の
忠実な共鳴板
灯せまどろむまで甘やかな手触りで
熱冷めぬなら踊れ
シルエットは揺れる
出典: 偏愛の輪舞曲/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
「無数の魂」…観客?
「忠実な共鳴板」…楽器?
「シルエットは揺れる」…照明が当たった人影?
…これらから連想させられるものは、ズバリ、「ライブ」ですね。
もしくはピエロとして演じるステージとも捉えられます。
主人公はこの空間を楽しんでいることが伝わりますね。
仮初めの楽園を魅せる術はあるのに
その場所へ行くチケットがない
幻を掴み取って
それも真実と泣いて
偏ったこの想いの比重は
悲しみを増していくだけなのか
出典: 偏愛の輪舞曲/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
しかし、主人公は嘘をついてピエロになって「仮初めの楽園」を演じているのです。
でも自分は本当の「楽園」には行くことはできません。
ここでの「楽園」は「想いが成就して結ばれた状態」だと思われます。
幻しか手に入れられないけれど、それも現実だと無理やり納得して泣いています。
そして、「偏ったこの想い」そう、タイトルにもなっている「偏愛」です。
「偏愛」を成就できず、想いは募りますが、想いを明かせないため苦悩は増えていくばかり。
そんな状態を主人公は嘆いているのです。