「青春はリストカット」に込められた想い
今回ご紹介する「青春はリストカット」はR指定が2013年4月24日にリリースしたシングル。
タイトルから過激な歌詞が想像できますね。
この楽曲ではショッキングな表現が多く含まれています。
人によっては、こういったダークなテーマに抵抗を感じることもあるかもしれません。
しかし、この楽曲に表現されているのは「リストカット」そのものではないと思います。
「リストカット」の背景に隠れた少年少女の心の叫びを歌っているのです。
目を背けることなくこういったテーマを表現する点が、ヴィジュアル系らしいですね。
特にR指定は「精神的に病んでいる人」を肯定するスタンスのバンド。
楽曲のリリースやライブを通して、悩める人へ居場所を与えているのではないでしょうか。
多くの若者に支持を得ているのには理由があるはずです。
今回はこの楽曲に込められた悲痛な心情を読み解いていきます。
MVをチェック
「青春はリストカット」のMVは、思い詰めている少女に制服姿のVoマモが話しかける構成のストーリーになっています。
制服姿が思った以上に似合っていて、ファンからしたら素晴らしいサービスショットといえます。
ぜひ、MVをご覧ください♪
なお、ショッキングな映像も含まれているので、苦手な方は気を付けていただけると幸いです。
ショッキングな展開
放課後の学校で少女が虚ろな表情をしているところから楽曲はスタートしました。
そこにVoマモが現れ、彼女の心情を代弁するかのように歌い上げます。
ラストに向けて少女の情緒不安定さはピークに達し、リストカットに及んでしまいました…。
そして、最後には恐らく失血で倒れてしまう少女。
それでは、歌詞に込められた彼女の悲痛な叫びを読み解いていきましょう。
精神的に不安定な少女
通学に対する憂鬱感
ムカつくくらい晴れた月曜
昨日の事嘲笑うようだ
気怠い朝のムードが
不安症掻き立てる
出典: 青春はリストカット/作詞:マモ 作曲:マモ
学校生活を憂鬱に感じている場合、週末明けの「月曜」には抵抗を感じるはず。
「サザエさん症候群」なんて言葉もありますね。
この楽曲の主人公も、月曜から始まった学校生活に嫌悪感を抱いている様子です。
特に、精神的にトラブルを抱えていると「午前中が辛い」といわれています。
この歌詞で「朝」をネガティブに受け入れている理由の一つでもあるでしょう。
主人公が抱えている不安定な精神状態は、登校によってさらに助長されていますね。
冷静に見せても心の中で騒めいている
かぼちゃだらけの群れイメージで
冷静保ってみるのはいいが
やっぱりダメみたいだね
メンタル的無理
出典: 青春はリストカット/作詞:マモ 作曲:マモ
「緊張したら観客をかぼちゃだと思え」という言葉があります。
主人公は情緒不安定な心を落ち着かせるため、周囲の人を「かぼちゃ」だと言い聞かせたようです。
つまり、周りに過敏に反応してしまう状況を乗り切ろうとしているのだと思います。
それでもやっぱりうまくいかない。
どうしても憂鬱な気持ちから逃れることができないのですね。
これが少女の心の叫び
みんな嫌い嫌い嫌い
登校拒否繰り返す
ずっと辛い辛い辛い
精神薬をください
夕暮れに黄昏て
平行線を描くよ
三センチの弱さ
否めない
出典: 青春はリストカット/作詞:マモ 作曲:マモ
この主人公は、登校拒否の経験していたのですね。
休み明けの学校は酷く心が乱れることでしょう。
そして、周囲の人間の「嫌な側面」で頭がいっぱいになってしまうようです。
「他人が嫌い」という感情は、「自分が嫌い」という気持ちの延長線上にあることが多いです。
自分へ向けている感情を他人へ反映させてしまう「投影」という心理。
つまりここで少女が言っている「辛い」は、「他人が嫌い」という意味だけではありません。
自分自身もズタズタに傷つき、他人すら許せなくなった状態が苦痛なのです。
この辛い状況を、投薬により対処しようとしています。
彼女自身の力では心のバランスを上手にとることができないのでしょう。
ここで描いた「平行線」は曲のタイトル「リストカット」のことだと思います。
あと3センチのところで踏みとどまったのでしょう。
「リストカット」しようとして、ためらっている状況が想像できます。