僕達もかつては、いつか素晴らしい人に
憧れていた 君と同じさ

出典: LOVE SONG/作詞:Fukase 作曲:Saori,Nakajin

散々、挑発した子どもたちにかつての自分も同じような気持ちを抱いていたとFukaseが歌います。

Fukaseの子どもたちへの歩み寄りを象徴。

MVではメンバーの演奏シーンがインサートされます。

ピアノを弾くSaori、TEISCOかGuyatoneの古い日本製エレキ・ギターを構えるNakajin.

DJ LOVEはこのMVではドラムを叩きます。

続いてサビです。

様々な仕掛けは現代社会の暗喩

奇怪な動きに溢れた洋館

SEKAI NO OWARI【LOVE SONG】MV解説!辛い環境の子供達…意味深な映像の意味は?の画像

いつだって時間はそう
僕達を楽にさせて
少しずつ麻痺させて
最高な大人にしてくれる

いつだって時間はそう
諦めを教えてくれる
君達をいずれ
素晴らしい人にしてくれる

出典: LOVE SONG/作詞:Fukase 作曲:Saori,Nakajin

古い洋館では様々な道具が奇怪な動きをします

棚から溢れる本や勝手に押し出されるキャッシャー。

ここは狂気の世界なのです

なんだって起こります。

ビリヤードの球の仕掛けがいよいよ大掛かりになり、鉄球がSaoriの脳天に当たるのです。

世界の暴力性を暗示します。

女性に対しても容赦ない世界の姿です。

巨大匿名掲示板の書き込み

このMVの要所要所を担っているのは様々な仕掛けです。

ドミノのように倒れる本。

Nakajinがギターを掻き鳴らすと大きな鉄球が古いテーブルを粉砕します。

様々な仕掛けひとつひとつに現実世界のデフォルメした表現を感じる次第。

Fukaseは時折、ヘッドレス・ベースを弾きながら歌詞を紡ぎます。

悩める子どもの傍にはPCのモニタが置かれている。

「ワロタ」「イタイ」「ボッチ乙」「世界は変わらないよ」

ディスプレイに浮かぶのはまるで巨大匿名掲示板のやりとりみたいな言葉たち。

貧困な言葉の暴力が私たちの社会を蝕みます。

それでもまるで依存症のように巨大匿名掲示板を覗く癖をやめられない子どもたち。

狂気の世界でありながら題材はすべて現実から採用されています。

子どもたちへのシンパシー?

Fukaseの挑発が続く

SEKAI NO OWARI【LOVE SONG】MV解説!辛い環境の子供達…意味深な映像の意味は?の画像

牙を剥き出しにした飼い猫達のよう
可愛いだけが取り柄なのかい?
大人達が作っていく エゴイストで悪い汚い大人像
まっすぐな思想が美しい 傾向
でも君の静寂の悲鳴は僕も知っている
弱いまんま強くなれ なぁKid
どんなに時間がかかっても 僕がここでずっと待ってるから
君の力で立ち上がれ 平気

出典: LOVE SONG/作詞:Fukase 作曲:Saori,Nakajin

辛辣な言葉を相変わらずつぶやきますが、Fukaseの言葉にも愛情が感じられるようになりました。

子どもの核にある良心を信じているのです。

そして子どもがこの厳しい世界を乗り越えて大人になってゆくのだという確信。

まっすぐな心情・信条はそのまま自分の中に持ち続けて、こっちの世界に来てご覧

Fukaseの愛情のある挑発が続きます。

大きな愛をテーマにした狂気の「LOVE SONG」

MVの中で最初は笑っている子どもの写真がめくられていく内に悲鳴を叫ぶ姿に変わります

非常に効果的な演出。

子どもの純粋な笑みを奪い去るこの社会を告発します。

この曲「LOVE SONG」は子どもの純粋な部分への愛と、それが奪われてしまう世界へのアンチ・テーゼ。

誰が誰に恋しているというラブ・ソングではなく、もっと大きな愛がテーマの「LOVE SONG」です

Fukaseの瞳に浮かぶもの

こんなはずじゃなかった

SEKAI NO OWARI【LOVE SONG】MV解説!辛い環境の子供達…意味深な映像の意味は?の画像

歌詞はリフレインです。

こんな大人になってしまったけれども、元々は違ったのだ。

純粋な愛を抱えた少年だった。

きっと立派な人間になってみせると足掻いていたんだよとFukaseの歌詞は伝えます。

彼は思うような大人になれなかったことを恥じ入りながら歌うのです。

カメラを直視して歌うFukaseの瞳には困惑と純粋さが混じり合っています