「ちょっと疲れた、鬱だ」

そんな呟きを思わせるこの部分の歌詞

いつもとは180度異なる、素のUVERworldの姿を垣間見ているかのようです。

また、歌詞にあるように、すでに多くのものを手に入れている彼ら。

ときに空虚さに襲われてしまうのも分かるような気がしませんか?

あまりに欲しいものが手に入りすぎると、人は生きる意味を見失いやすいですから…

この行は、なんとなく“大人の事情”を思わせます。

もしかすると、“ファンの求める曲と、作りたい曲との矛盾”を指しているのかもしれません。

UVERworldの本音が窺える歌詞です。

逃避行願望…?

oh ノンフィクション you know? いわば鼓動のラビリンス
眠りにつくことまでも惜しんで なんで歌ってるんだろう?
腐れきった music market ならば殻をポイ get please!
digital native lyrics と time code 持って 帰ろ 帰ろ ねえ言ってよ

出典: 畢生皐月プロローグ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞

音楽人である彼ら。

「たまには音の世界から解放されたい」という願いが垣間見える歌詞です。

彼らは寝ても覚めても音楽のことばかりが頭を巡っているでしょう。

「音楽はこよなく愛している、だけどたまには音楽と無縁の世界でボーッとしたい」…。

いくら人生をかけた音楽活動だとしても、ずっと音に触れているとまったくの別次元に逃避行したくなる気持ちも分かります。

非凡であるということは、ある意味酷ですね。

ですが、凡人が欲しても手にし得ないものを数多く手にしている彼ら

ファンには眩しすぎる存在ですが、これはただの“ないものねだり”なのでしょう。

才能に恵まれすぎたゆえのハイレベルな苦悩。

贅沢な悩みで羨ましいかぎりですが、ご本人たちからすると意外と精神的な苦労が多いのかも…?

複雑な精神状態

歌詞のフレーズに注目していきましょう。

鼓動という言葉が再度登場します。

1番目の歌詞では「プリズム」というフレーズで、曲がった感情を表していました。

それが、2番目ではラビリンスというフレーズに。

ラビリンスとは、複雑、迷宮、迷い込むなどの意味があります。

よって、揺れ動く複雑な感情という意味として捉えることができます。

やはり辛い精神状態には変わりません。

汚れた音楽市場、業界

さらに、日々音楽活動をしている彼ならではのフレーズ、ミュージックマーケットに注目。

訳すると「音楽市場」であり広くいうと「音楽業界」といえるでしょう。

それを歌詞中では「腐りきった」と揶揄しています。

現実世界の彼にしかわからない大人の事情ともいえる業界の闇があるのでしょう。

ある業界で売れるということはそれだけ多くの上の組織と関わる機会が増えます。

そのため、様々なしがらみもつきまといます。

そんな汚れた世界から時に抜け出したくなる彼の本音が綴られています。

この1行がすごく侘しい…

やってきたことさえも全部 意味も無いよな

出典: 畢生皐月プロローグ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞

天才的な音楽的才能を持っている彼らでも、そんなふうに思うのですね。

ふだんは音楽に対する“絶対的自信”を隠すことのないUVERworld

華麗な実績を全否定するような気持ちに陥ることもあるとは…。

ここまで落ちに落ちてしまうと、再浮上するのにパワーが要ります。

でも、それは常人の話

UVERworldの音楽への熱量は半端ではありません。

ときにこんな冴えない思いに見舞われても、彼らは何度でも力一杯ファンに音を届けてくれます。

気持ちの上でだけ逃げてみる

そうやってまた逃げる
生きるって面倒くさいな

出典: 畢生皐月プロローグ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞

 自虐気味な歌詞

たまには何もない世界でのんびりしたいのでしょうね。

常に気を張っていなくてはならない有名人ならではの気疲れもあるかもしれません。

もともとヤンチャ気質のUVERworld。

普段はそれを抑えているため、フラストレーションはジワジワと蓄積していきそうです。

逃げたい気持ちを吐露している詞は、“ファンには見せない強がりの裏側”なのでしょうね。

また、生きることに対してはっきりと「めんどくさい」という投げやりな言葉が吐かれるサビ。

朝起きるとき、しんどい状況が続くときなど、人の頭にそんな思いが掠めるときは少なくないでしょう。

アーティストでも誰でもそんな思いになるときはあるのですね。