「7SEEDS」の登場人物たちの気持ちに寄り添うようにmajikoは歌います。
大切なあなたが側にいてくれたら何が起こっても怖くはないと。
ここでmajikoが闇に例えているのは絶望への恐怖心のことなのでしょう。
勇気に満ち溢れた強き人、過去に囚われ1人では何もできない弱き人。
そんな強固に見える強者と弱者の関係性が時に反転する場面が訪れます。
誰もが心の中に弱さを隠し持っていること。
それと同時に誰もが誰かの希望の光になりえるという可能性を提示しているのです。
怖くて何もできないと思ったとき、君が手を繋いでくれたから勇気を振り絞ることができた。
そんな両者の想いが交差するような歌詞が表現されています。
どうして涙が出るんだろ...
魂を浄化してくれるもの
I wonder why
涙が出るんだ
戻らない過去はあるけど
ただ、きみと二人で歩こう
ぬかるんだ道も
願い事の先はここにある
出典: WISH/作詞:majiko 作曲:横山裕章
『WISH』の主人公は時折、涙を流し囁きます。
「どうして涙が出るんだろ?」
人は抑えきれない感情で心が満たされた時に涙を流します。
時にそれは悲しさであり、時には喜びの発露の瞬間です。
『WISH』の主人公は歌の中で様々な感情を表現するために涙を流します。
一般社会では人前で涙を流すことに恥ずかしさを感じる方が多いことでしょう。
だからこそ家族や友人、恋人など偽りなく自分をさらけ出せる人の前で涙を流すことは大切なことなのです。
なぜなら泣くという行為は魂の浄化作用を持っているからです。
このパートではその他、楽曲のテーマともいえる歌詞が登場しています。
それは「道」であり「歩く」という言葉です。
そのことについてはまた後程触れさせていただこうと思っています。
入れ替わる歌の主体
戻らない過去が邪魔をして、
立ち止まったなら
ぼくが新しい思い出をあげる
泣かないでいいんだよ
出典: WISH/作詞:majiko 作曲:横山裕章
ここで歌詞の主体が入れ替わっていることにお気づきでしょうか?
先ほどまで『WISH』の主人公は囚われている過去を回顧し涙を流していたはずです。
しかしこのパートでは涙を流している主人公にもうひとりの主人公が語りかけています。
語り手のすり替わりというのは群像劇を描いた小説でよく用いられるトリックです。
majikoは非常に効果的な手法で応用しています。
『WISH』は弱き者である「ぼく」と勇気をくれる存在である「ぼく」の対話形式になっているのです。
幸せってどこにある?
試練を乗り越えたとき、心から笑い合う2人
高い壁があっても
二人なら超えられる
ほら、笑って見せて
未来へと手を繋いで
出典: WISH/作詞:majiko 作曲:横山裕章
「ぼく」と「君」が歩む道の先には様々な試練が待ち受けていました。
1人では決して乗り越えることができない苦難の道。
2人で助け合うことでその試練に立ち向かうことができるのです。
「7SEEDS」の劇中、強き者として描かれていた人物はあるきっかけで絶望の淵に立たされてしまいます。
それを救うのが弱き者として描かれていた人物だったのです。
誰もが抱える内面の弱さや葛藤。
それを乗り越えたとき2人は心からの笑顔で生きることに歓喜するのです。
2人が歩んだ後に咲き誇る花々
I can’t see how
逃げたくないんだ
苦しい明日が来ても
二人で歩いた道はたくさんの
花が咲くって信じてる
ぼくのそばにいて
出典: WISH/作詞:majiko 作曲:横山裕章
一寸先も闇に閉ざされた未来を私たちは生きています。
その先に待ち受けているのは更なる苦難の連続かもしれないのです。
しかし様々な試練を、時に手を取り合い乗り越えてきた2人は知っています。
本当の喜びは乗り越えた苦難の先にこそあるということを。
2人が歩んできた道には色とりどりの花々が咲き誇っています。
「花」とはすなわち喜びであり幸せなのです。