majikoの魅力的な表現
「狂おしい」ほどの愛情と怒り
繊細さと力強さを併せ持つ歌声で、独自の世界を表現し続けるmajiko。
彼女の表現には「心の叫び」ともいえる、強い精神力が感じられます。
2019年1月23日に発売された「狂おしいほど僕には美しい」もその一つ。
消え入りそうなささやき声から始まり、サビでは引き裂けるようなパワフルな歌唱を聴かせてくれるのです。
タイトルに相応しい「狂おしい」ほどの愛情と怒りを詰め込んだ言葉が炸裂します。
アルバム「COLOR」のリード曲
溢れだす色彩
「狂おしいほど僕には美しい」はアルバム「COLOR」のリード曲。
「COLOR」の全曲をご紹介した映像がYouTubeにアップされているので、見てみましょう。
美術館でいくつもの絵を眺めるような視点で、楽曲が切り替わっていきますね。
アルバム名である「COLOR(=色)」は、各楽曲の持つ「色彩」を表現しているのではないでしょうか。
majiko自身、今回のアルバムでは「自分を表現すること」を意識したそうです。
「狂おしいほど僕には美しい」の絵を見てみましょう。
美しい花が咲き誇り、天使のような鳥が飛び回っています。
ところがその絵はバキバキにひび割れてしまっている…。
「美しさ」と「痛み」が両立した世界であることがうかがえます。
タイトルに込められた意味
「僕なんかには…」
「狂おしいほど僕には美しい」というタイトルは、とてもインパクトがありますね。
「には」という言葉を使っているのが気になりました。
まるで「僕なんかには恐れ多い」といわんばかり。
「愛情」は心を癒して豊かにしてくれるもの。
でも、他人から受ける「愛情」に慣れていない場合、「愛情」の受け取り方が分からなくなることがあります。
また、自分からどうやって「愛情」を注げばいいのか戸惑ってしまうことも。
主人公は「愛情」に対して不器用なのが読み取れます。
何に悶えている?
この楽曲には「世界にむけた愛情」が満ち溢れています。
ところが、主人公は自分以外の世界との関わり方が分からないようです。
なぜなら心に深い傷を負っているから。
「世界が美しすぎる」というニュアンスからは、「自分が美しくない」という認知もうかがえます。
また同じ経験をしたくないから固く閉ざした心。
喪失してしまった自信。
本当は素直に愛したいのに、それができない苦しさに悶えているのです。
閉鎖感が漂うMV
どこを彷徨っている?
majikoの魅力は歌唱力や楽曲の世界感に留まりません。
歌唱する姿もとても素敵。
MVでは全身を使った表現が印象的です。
呆然と宙を見つめるmajiko。
次第に何かに翻弄されるようになり、狂ったように彷徨い歩きます。
そもそも、彼女は一体何に戸惑い、どこを彷徨っているのでしょうか?
カーテンの閉じた薄暗い室内、屋内駐車場の中、日の当たらない雑居ビルの間…。
どれも「閉鎖感」が漂っている場所です。
ちなみにこれらの映像は中国で撮影されたとのこと。
アジア圏特有の独特な雰囲気が漂っていますね。