重い扉を押し開けたら 暗い道が続いてて
めげずに歩いたその先に 知らなかった世界

出典: 優しいあの子/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

この歌詞の主人公は新たな環境へと飛び込んだようです。

まずそこへ至るまでの道を開くのが大変でした。

そこにたどり着くまでには、苦難の連続。

そして、先の見えない道筋は「いつまで歩けばいいのだろう」とくじけそうになる日々。

でも、負けずに進んだその先には、これまでに見たことが無かった世界が広がっていました。

これは人生に当てはめてみると理解できるかと思います。

何かに新しくチャレンジして、目標を成し遂げようとする。

この歌詞は人生における、そういった「転機」のことを示しているというわけですね。

努力して目標を達成しようとするけれど、なかなかそうはいかない。

少しは目標に近づいているのだろうか?

それすらも分からないというかなり辛い状況です。

「暗い道」に例えられていましたが、前へ進むのがとても困難な道のりだったことが伺えます。

やっとたどり着いた新しい世界で、主人公はどんなものを見たのでしょうか。読み進めてみましょう。

優しいあの子にも教えたいものとは

氷を散らす風すら 味方にもできるんだなあ
切り取られることのない 丸い大空の色を
優しいあの子にも教えたい ルルル…

出典: 優しいあの子/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

困難な道のりを歩んできた事で主人公は沢山のことを学び、成長しました。

突風であっても、上手く利用することで自分を有利にすることができる。

真っ向から抗うのではなくて、違う道を探して共存する。

そんな意味を感じ取りました。

北海道が舞台となっているということで、過酷な雪国での過ごし方を表しているようにも思えます。

「住めば都(みやこ)」という言葉の通り、過酷な環境でも慣れると逆に心地よく感じてきたのかも。

さて、「優しいあの子」に知らせたいのは一体、どんなことでしょう。

「丸い」と形容詞がついているのは、人間の瞳に映るものだからでしょう。

高層ビルなどに遮られない、どこまでも続いている空。

見上げればそれが視界いっぱいに広がる状態。

都会では見ることのできないこの光景を、主人公は「あの子」に見て欲しいなと思っています。

都会の窓から見る空は、窓の枠に切り取られ四角ですね。

けれど主人公が今見ている空は地球に沿って丸くどこまでも続いています。

この小さな四角と大きな丸の対比が、主人公の気づいた感動だったのかもしれません。

コタンにたどり着く

コタンってどんな意味?

口にする度に泣けるほど 憧れて砕かれて
消えかけた火を胸に抱き たどり着いたコタン
芽吹きを待つ仲間が 麓にも生きていたんだなあ

出典: 優しいあの子/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

「夢」や「目標」を叶えたいという願望をついポロッと口に出してしまう。

それが達成されるまで、まだまだ道のりは長いという事を実感して思わず涙してしまう…

モチベーションが無くなり、希望が潰えそうになった主人公は新天地を目指します。

このままではいけないとどこかで思ったのでしょうか。

ボロボロの精神状態だったようですが、たまたま行き着いた「コタン」に心の平穏を見出します。

「コタン」アイヌ語で「集落」、「村落」を意味する言葉。

何故、「麓」にあるのだと表現しているのか…

それは「夢(目標)」を山の頂上に、そこまでの道のりを登山に例えたからでしょう。

「夢(目標)」という頂上を目指す登山仲間というわけですね。

主人公は一生懸命に山を登っていましたが、挫折し麓へ戻った。

そこには自分に似た境遇の人々がいました。

かつての自分のようにこれから山を登ろうとする人。

また、同じように失敗して麓へ戻ってきた人。

これまでは自分のことしか視界に入っていなかった主人公は、他人の存在に気づいたというわけです。

主人公はコタンで何に気づいた?

自分と同じような境遇の人々を見た主人公は、胸を打たれたのかもしれません。

その人々は諦めない心を持ち、いつか夢にたどり着くことを願っていたのでしょう。

草花が芽吹きを待つように強くしっかりと、消えかけた情熱の火を胸に抱いている姿を見せてくれたのかも。

主人公はそんな仲間たちの強さに気づいたのではないでしょうか。

こころざし半ばで山を下りたとしても、麓に芽吹く諦めない心はまだ消えていないというわけですね。

そして麓にいた仲間たちと同じように、諦めない心が自分の中にもあると気づいたのでは?

仲間たちの思いを感じ取り、主人公の気持ちが前向きになったような気がしますね。

「優しいあの子」の正体は?

怖がりで言いそびれた ありがとうの一言と
日なたでまた会えるなら 丸い大空の色を
優しいあの子にも教えたい ルルル…

出典: 優しいあの子/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

ここで、「優しいあの子」のヒントが少し登場します。

どうやら「コタン」や過去に通って来た道のりで、主人公が世話になった人物のようです。

ついついお礼を言い忘れてしまったこともあり、その「あの子」のことが忘れられない主人公。

自分と同じ景色を見て欲しいなと思っているのでしょう。

「あの子」と再会したいと思っている節も感じられます。

アニメーターとして奮闘する『なつぞら』の主人公なっちゃんを思わず思い浮かべますよね。

この歌詞の主人公がそのまま、なっちゃんなのか…

「優しいあの子」がなっちゃんなのか。

どちらとも取れそうです。

「日なたで~」と歌詞にあるように、「あの子」は日なたを連想させる子なのかもしれませんね。

以前は言えなかったお礼の言葉を、今は大空の色を添えて伝えようとしている主人公。

その言葉と空の景色が「あの子」にとても似合いそうです。

最後に

夢を追いかける主人公と「あの子」の友情を歌った曲