いつもの牙ひとつ無い僕だなんて思ってるの? No No No
瞳を閉じた途端狙いをさだめ襲いかかるよ

出典: 僕はVampire/作詞:森月キャス 作曲:Stephan Elfgren

「いつもの牙ひとつ無い僕」とありますが、この文字列から読み取れることはひとつ。

主人公は普段は人間の姿をしているのです

バンパイアは比較的人類に近いフォルムをしています。

それでも夜にだけ、それももしかしたら深夜にだけ牙や赤い目などのバンパイア要素が顔を出すのかもしれません。

あるいは自分の意思次第で人間の姿を保っていられるのかもしれません。

そこは定かではありませんが、常にバンパイアの姿ではないということ、そして君の前では人間の姿でいることがわかります。

瞳を閉じてくれないと本当の姿を出せない切なさ

瞳を閉じた途端狙いをさだめ襲いかかるのは、それでも人間だと思っていてほしかったからなのかもしれません。

瞳を閉じた状態であれば、人間の姿からバンパイアの姿へと変わった自分を見られることはありませんから。

今まではコントロールできていたそれが、愛の衝動が破裂しそうなことによっていよいよ抑えきれなくなってきたのです。

太陽が君を夢に変えても

夜明けが来て 太陽が君を夢に変えても
十字架背負わされても この愛は不滅さ

出典: 僕はVampire/作詞:森月キャス 作曲:Stephan Elfgren

さて、歌詞の中に夜明けが現れます。

悲しいことにバンパイアは日光を浴びると死んでしまう生き物。

人類とは生活のサイクルが、住む世界が違います。

君は主人公を普通の人間だと思っているので、夜明けと共に帰っていく自分を見送る主人公の悲しみを察することはきっとできません。

世界が眠っている間の短い時間しか会えないけれど、そのうち気持ちのいい午後に一緒に散歩をしたり出来る。

おしゃれなテラスの下でコーヒーを飲むことが出来る。

そのくらいに考えているかもしれません。

楽観的とも思えますが、主人公がバンパイアであることを知らない君にはしかたのないことです。

けれどそんな日は訪れません

そんな日は訪れない

日光の下を歩けないバンパイアはそれを誰よりも知っているから、一人寂しく眠りにつきます。

そう、太陽が君を夢に変えるのです。

それでは、「十字架背負わされても この愛は不滅さ」とはどうでしょうか。

ご存知の通り、十字架はバンパイアが苦手とするアイテム。撃退するためのアイテムの大定番ですね。

バンパイアにとって『十字架』とは?

【僕はVampire/Hey! Say! JUMP】歌詞の意味がヤバイ?!フルコーラスの動画あり!の画像

ここからは少し深読みになってしまうかもしれませんが、十字架は約束、契りの際にも使われるアイテムです。

わかりやすい例だと、十字架は教会にあります。教会では結婚式が、つまりは契りが行われます。

主人公は、自身は招待した恋の迷宮に迷い込んだ君と、なんらかの契りを交わしたのかもしれません

そして、契りを交わした際や、勿論悪い意味合いのときにも使われますが、そういったときには十字架を背負うことになるんです。

十字架を苦手とするバンパイアが十字架を背負うというのは、見様によっては死ぬより苦しいことでしょう。

あえてポップな言い方をしますが、世界一臭いフルーツといわれるドリアンを鼻に詰めて生活するようなものです。

これはちょっと違ったかもな。すまん。

常に継続する苦しみを味わいながら生き続け、その苦しみを全て受け入れられる程に君の事を愛している、ということなのでしょう。

この愛は不滅、とはそういうことで、たとえこの身が滅んでも、そこに存在している愛だけは消えることはないのです。

そう、これが言いたかった。なんだドリアンって。ふざけてんのか。

僕はVampire

上記の歌詞の後、しつこいくらいに何度も「僕はVampire」という言葉が繰り返されます。

これは主人公の葛藤を意味しています。

繰り返される主人公の葛藤

自分はバンパイア。しかし人間の女性に恋をして、契りを交わしてしまった。それでも愛は不滅。十字架を背負うことも厭わない。

しかし、君は幸せなのだろうか。僕は人間ではないのに。バンパイアなのに。

そんな葛藤が、苦悩が、透けて見えるこの繰り返しはとてつもなく美しいのです。

歌詞の中で何度も何度も繰り返し出てくる「僕はVampire」は単なる自己紹介ではありません

そしてやってくる夜明け